OM-D E-M1 Mark IIで写す「0.0555555556秒の奇跡」
コミュニケーションの重要性。自分らしい作品制作を心がけて…ビューティーフォトグラファー・髙桑正義さんインタビュー
2017年1月25日 07:00
オリンパスの新たなフラッグシップモデル「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」(以下E-M1 Mark II)。満を持して登場しただけあり、フルサイズ一眼レフに迫る高性能が話題になっています。
そんなE-M1 Mark IIを使用する若手写真家に、自分の作品や撮影スタイルについて語ってもらうのがこのコーナー。仕事におけるE-M1 Mark IIの印象も聞いてみました。
第2回目は現在活躍中のビューティーフォトグラファー、髙桑正義さんが登場します。(編集部)
※タイトルの「0.0555555556秒」とは、E-M1 Mark IIの秒18コマのコマ間速度。E-M1 Mark IIの性能を現すキーワードの一つとして選びました。
現在はどのような仕事をされていますか。
様々な業界、媒体の広告撮影をしています。広告ですので、人物のみならず、商品、建築、フードなどの撮影もしています。
基本的にご依頼いただいた仕事はお断りすることはしていません。水中と上空の撮影を除いては……カナヅチ、高所恐怖症なので(笑)。
今日は人物、明日は商品と、様々なジャンルのアートディレクターのイメージラフを写真で再現していくのはすごく楽しいですね。
写真を撮るようになったきっかけは?
大学卒業後、4年間、印刷会社に勤めていたのがきっかけです。小さな会社だったので営業からカメラマンのキャスティング、撮影立会い、デザイン現場、印刷と様々な工程を全て見てきました。予算の限られた仕事の場合、撮影立会いで学んだテクニックを使用し自身で購入したカメラ、照明機材で撮影していました。
カメラ専門誌を読み漁り、必要に応じては機材も購入しつつ、本に書かれているテクニックを全て試していくうちに、イメージした通りのものを撮れるようになっていきました。それがどんどん楽しくなってきて、やがて仕事をしながら専門学校にも通い始めました。そして、専門学校を卒業と同時に退社して、フリーランスフォトグラファーになりました。
ファッション/ビューティーフォトグラファーにとって大切だと感じることは?
簡単にまとめると3点あります。
大切に感じることは、"知識"と"コミュニケーション能力"と"ディレクション能力”の3点です。
ファッション、ビューティー写真はカメラマン一人では撮れません。一つのイメージを作るためにデザイナー、ヘアメイク、スタイリストなど、様々なスタッフが必要になります。
彼らとコミュニケーションを取りながら、そのブランド、商品はどのようなもので、どう使うのか、どう見せたいのかを考え、どういうテーマ、コンセプトで、女性像はどうするかを考えるのです。
これらのキーワードひとつひとつをすり合わせていくためにも"ディレクション能力"と”知識”は必要不可欠です。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
代表的な方だけを挙げるとすれば、日本であれば魚住誠一さん、土井浩一郎さん。海外であれば、ヴィンセント・ペータースさん、マイケル・トンプソンさんです。
印刷会社に勤めていてカメラ専門誌を読み漁っていた時代に、ポートレートの巨匠、魚住誠一さんのような写真を撮りたくて色々と試しては、失敗を繰り返していました。
ビューティー写真に特化したいという思いを抱き、週4で作品撮影を行っていた時代には、土井浩一郎さん、マイケル・トンプソンさんの美しいライティングを参考に、ひたすら撮り続けています。
ヴィンセント・ペータースさんは今でもずっと追いかけ続けている写真家です。
その影響は自分の作品のどんなところに現れていますか?
わかりやすいところでは光の捉え方、扱い方です。今回の作品では定常光ライティングでの撮影なので、ヴィンセント・ペータースさんの世界観が反映されています。
彼らから受けた影響を自分の中で噛み砕き、自身の価値観と掛け合わせることで作品が生まれ、自分自身の“色”もできあがっていくのだと思います。
広告写真家にとって作品とは?
プロモーション用のツールですので、"髙桑正義"という個性や色を見せることが重要なツールだと考えています。
そのため、自分が好きだと思える作品・自分の信念に基づいたコンセプトのある作品づくりを心がけています。常に「自分らしさ」「自分ならでは」を追求していますね。
自分の作品とOM-D E-M1 Mark IIの相性は?
私の撮影スタイル・作品のテイストと相性がいいと感じました。手ぶれに強く、軽くて性能も良いですね。
連写性能や画質が思った以上に良くなっていて、作品の幅を広げてくれると感じました。AF性能は前後左右どの方向の素早い動きにもちゃんと追随するので、安心感がありました。
このカメラで新たな写真表現に挑戦したくなりました。
今後取り組みたいシリーズやテーマは?
2012年、ニューヨーク最大のコンペティションでビューティー作品“THE FACE”が佳作をいただいたのを機に、美しい骨格とメイクの美しさを表現するBeauty Project “THE FACE”と、被写体のありのままの姿をモノクロによって捉えたポートレートプロジェクト“THE FACE”を現在も続けています。
2017年には入ってからは、女性の美しいボディラインを捉えたラインヌードの作品を撮り始めています。仕事とは別の世界観を作り出していきたいと思っております。
告知があればぜひ!
ビューティー、ポートレート、前述のヌードプロジェクト作品に登場していただけるモデルを随時募集しています。
Beauty photographer Seigi Takakuwa:http://www.seigi-photograph.com/
撮影:髙桑正義
モデル:川辺優紀子(ベンヌ)
スタイリスト:長尾淳史
ヘアメイク:石沢結希
発売中のデジタルカメラマガジン2017年2月号に、髙桑さんによるE-M1 Mark IIを使った撮影テクニックが掲載されています。こちらもあわせてどうぞ。