デジカメドレスアップ主義:開眼するオート110レンズ

OLYMPUS PEN E-P3 + PENTAX-110 50mm F2.8
Reported by澤村徹

  • ボディ:OLYMPUS PEN E-P3
  • レンズ:ペンタックスPENTAX-110 50mm F2.8
  • マウントアダプター:RJ Camera P110i-MFT(muk select)
  • ケース:Leather Factory Roberu オリンパスPEN E-P3ホルダー&ストラップ グリーン(カメラピープルストア)
  • ストラップ:weiche Brise オーバルスタッズタイプ カメラストラップ 18mm幅
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 マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、奇しくも110フィルムとほぼ同サイズだ。110フィルムを使うカメラはペンタックスのオート110が有名だが、このオート110レンズをマイクロフォーサーズ機に付けると、レンズ本来の画角で撮影できる。そのため、以前からマイクロフォーサーズ用オート110アダプターは密かな人気アイテムだ。muk selectから新型のオート110マウントアダプターが登場したので、早速そのアドバンテージを探ってみよう。

 オート110は絞りをボディ側に搭載していたため、マウントアダプター経由でオート110レンズを使うと、常時開放撮影という制約があった。この問題を解消したマウントアダプターが、今回紹介する絞り内蔵オート110マウントアダプターだ。マウントアダプター内部に絞り羽根を組み込み、オート110レンズが実絞りで使用できる。この製品を心待ちしていた人も少なくないだろう。

 絞り内蔵マウントアダプターは、すでにキヤノンEFマウントやコンタックス645マウントなど、電磁絞りを採用したレンズ向けに発売されている。この絞り内蔵アダプターで時折問題となるが、ケラレの発生だ。なにしろ後玉のさらに後方に絞りがあるため、レンズによっては中間絞りあたりでケラレが発生し、十分な被写界深度が得られないことがある。当然ながら、絞り羽根は本来の位置にあってはじめて、絞りとして滞りなく機能するのだ。

 その点オート110レンズはこうしたマイナートラブルと無縁だ。もともとボディ側(後玉の後方)に絞りがあるカメラ構造なので、マウントアダプター側で絞り込んでもケラレがほぼ発生しない。また、被写界深度も順当に深くなり、実用的な絞り内蔵マウントアダプターといえるだろう。ただし、絞りレバーはクリック感がなく、また絞り指標も付いていない。絞り優先AEで開放時のシャッタースピードを確認しておき、シャッタースピードの数値を頼りに一段ずつ絞っていくとよいだろう。

向かって左側のレバーで、マウントアダプター内部の絞りをコントロールする50mm F2.8は110レンズのなかでは大きい部類で、E-P3に付けた際にサイズ感がよい
ロベルのレザーケースは背面が大きく空いたデザインで、背面ボタンの操作がしやすいレザーケース底面には三脚用の穴が開いている。実用面に配慮したスタイルだ
RJ Camera製の絞り内蔵オート110マウントアダプターは、muk selectにて9,800円だ最小絞りはF11相当となる。レバーの動きはかなり軽く、撮影時に若干に注意が必要となる

 ドレスアップ面はレザーファクトリーロベルのレザーケースを選んでみた。E-P3のグリップを外して装着するタイプで、往年のペンFを彷彿をさせるフラットなスタイルにまとまる。牛タンニン染めオイルレザーは自然なムラ感があり、新品の状態で使い込んだような風合いだ。また、同素材のロングストラップがセットになっている。

 ストラップはヴァイヒィエ・ブリーゼの新作をピックアップしてみた。18mm幅とやや幅広のストラップで、このブランドが得意とするスタッズ仕様だ。ただし、粒の小さいオーバルスタッズを使っているため、オーソドックスなスタッズストラップよりもエレガントな表情だ。同ブランドのアイテムは受注生産なので、レザー、ラインストーン、スタッズのバリエーションは、オーダー時に好みのものを指定できる。

ロベルのE-P3ホルダー&ストラップは1万4,700円。カメラピープルストアで販売している側面のフックボタンを外すと、ケーズをずらすだけで本体底面にイージーアクセスできる
ヴァイヒィエ・ブリーゼのオーバルスタッズタイプカメラストラップは3万8,010円だ小さなスタッズを正確に打ち付け、洗練された模様を描く。裏革付きでスタッズの足が隠されている
取り付けはオーソドックスな二重リング式だ。両端にバックルがあり、長さ調整に対応する

 オート110レンズは開放でもそれなりにシャープで、1本数千円のコストパフォーマンスのよいレンズとして定評があった。樹脂製鏡胴のレンズが多く、軽量でハンドリングしやすいという点も人気の理由だろう。今回、デジタル環境ではじめて絞りが使えるようになったわけだが、線がやや太いものの、すっきりとしたシャープさが印象的だ。むろん、絞ると被写界深度が深くなり、最小絞りでもケラレはない。なお、作例はRAW撮影したものをLightroomでストレート現像している。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしの撮影画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。
E-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F4相当 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mmE-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/1,600秒 / F4相当 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm
E-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/320秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mmE-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/160秒 / F5.6相当 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm
E-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/1,000秒 / F5.6相当 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mmE-P3 / PENTAX-110 50mm F2.8 / 4,032×3,024 / 1/160秒 / F5.6相当 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 50mm


(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2012/6/6 00:00