動物園の撮り方
"動物園っぽさ”をなくすには?
人工物をなるべく入れない工夫を伝授
(2015/4/17 08:00)
人工物をなるべく入れない工夫をして撮ってみましょう
“動物園で撮ったとは思えない動物写真”とは、言い換えれば“自然の中で生き生きと生息しているような動物写真”ということになるでしょう。そのためには動物園にはつきものの人工物をどう処理するかが大きなポイントになります。
人間の目というのは都合よくできていて、自分の見たいものだけを見ています。例えば、群衆の中でも自分の好きな人は一瞬にして見付られますよね。それと同じように動物園ではお目当ての動物しか見ていないので、周りにあるいろいろなものが目に入っていても“見えていない”のです。
ところがカメラは違います。ファインダーに入っているものはすべて写し撮ってしまい、あとで写真を見て「あーこれさえ写っていなければなぁ」と残念がることになります。「どこで撮ったの?!」と思わせるような写真を動物園で撮るには、人工物をなるべく写さないこと、これが大きなポイントなのです。
これらの人工物を写真に入れ込まないようにするためのテクニックを次でご紹介します。
テクニック1:背景に人工物が入らない位置に自分が動く
動物が動くのを待つのではなく、まずは自分で動いてみましょう。単純に左右に数m動くだけで人工物が写らなくなることもあります。
ここではキリンの後ろに白い建物が写っていたので、右に動いて撮影しました。少し動くだけでもこのように背景から消えるのです。
じゃまな檻や金網を消して撮ってみましょう
動物たちの多くは檻や金網で囲まれた中にいます。普通に撮ると動物の前にそれらが写り込んでしまって「これさえなければなぁ」とがっかりした経験がある人も少なくないはず。実はこの檻や網を消すことができるのです。
檻や金網の中で動物を飼うのは動物園の宿命です。しかし写真を撮る側からすれば正直じゃまな存在ですね。実はその檻や金網を消す方法があるのです。
やり方は簡単。まずは望遠レンズを使うこと。第1章で望遠レンズは背景や前景をぼかして、プロっぽい写真が撮れるといいましたが、その特性を利用するのです。次に絞り値を開放にすること。そして、3つ目はなるべく檻や金網に近づいて撮ること。こうすることで手前の檻や金網は極端にぼけて見えなくなってしまうのです。
ただし檻や金網には危険のない範囲で近づくようにしましょう。もちろん人止め柵を乗り越えての撮影は絶対に禁止ですよ。
この方法ですべての檻や金網が消えるというわけではありません。動物の展示方法によって状況がそれぞれ違うからです。それを次でくわしく説明しましょう。
4つの条件がそろっていても消えない場合もあります
動物園の檻や金網にはさまざまな種類があります。太い細いはもちろん、粗い網、細かい網、ステンレスで光り輝くもの、ピアノ線で黒く塗られたものなど。
その中でも下の写真のように、特に太くて頑丈な檻と、網目の細かい金網は左ページで紹介した4つの条件がそろっていても完全に消えないときがあります。
太くて頑丈な檻の場合、レンズを近づける位置によっては運良く消える場合があります。それには上の図のように檻と檻の間にレンズの口径を合わせることがポイントになります。
この場合でもステンレスのように白っぽい檻だったり、太陽の光が強く当たっていると、どうしても写真全体がぼーっと煙ったようになってしまいます。ただし、このような檻には危険な動物が飼われていることが多いのでくれぐれも注意して撮影するようにしましょう。
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この記事は、インプレス刊の書籍「世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 動物園&水族館の撮り方編」から抜粋しています。
動物園や水族館の人工物といえば、ガラスの映り込みもやっかいですよね。書籍では、ガラスの映り込みを消す方法についても触れています。その他たくさんのテクニックが満載です!