インタビュー

CP+来場者の8割が「リアル&オンラインの複合開催」希望

事務局に聞くCP+2021 ONLINE総括

CP+史上初のオンライン開催となったカメラ映像機器ショー「CP+2021 ONLINE」(2021年2月25日〜28日)から、ひと月半が経過した。主催者であるCIPA(カメラ映像機器工業会)のCP+事務局に、その振り返りと今後の展望について聞いた。

——CP+2021 ONLINEを終えて、今回の印象を聞かせてください。

CP+事務局(以下同):オンライン開催は初の試みで、手探りでの運営となりましたが、出展社をはじめ多くの皆様のご協力により、無事CP+2021 ONLINEを開催することができました。コロナ禍の厳しい社会状況の中で、オンラインという新しいツールを得て、皆様にCP+を楽しんでいただけたことは意義があると思います。

——来場者のデータから、どのような分析が得られましたか?

今回の登録来場者数は5万人で、来場者の80%が満足しているという回答でした。また地方在住の来場者が増加するなど、オンライン開催ならではの効果が見られました。

来場者層は前回(CP+2019)と大きくは変わらず、従来のコアユーザー層が中心と考えられます。一眼ユーザーが多く、特にミラーレスユーザーの比率が増えています。

写真撮影のスキルは中級者が多いですが、動画撮影のスキルについては大半が初心者で、動画のヘビーユーザーは少ない傾向でした。

————どのようなコンテンツが人気でしたか?

出展社の特設サイトでは、各社工夫をこらしたセミナーが数多く見受けられました。ライブ配信やオンライン会議ツールを活用して、従来の会場では難しかった、写真家や映像クリエーターと来場者の双方向コミュニケーションも行われていました。

コンテンツとしては、写真家だけではなく、Vloggerや映像クリエイターなどが登場する動画分野のセミナーも多く、好評でした。また、「先生が教える」というスタンスだけではなく、ユーザー目線で「マニアとして語る」といった新しいタイプのトークショーや、コスプレイヤーなど他分野とのコラボレーション企画も人気でした。

——事務局として、好評だった点や次に繋げたいポイントはありますか?

好評だったのは、
・オンライン開催により地方在住者も参加できる
・自宅から、好きな時に、見たいコンテンツが見られる
・会期後1か月間アーカイブが公開されていたので、多くのコンテンツがじっくり楽しめる
・セミナーなど、各社の工夫を凝らしたコンテンツが充実していて楽しかった
といった点がありました。コロナ禍の中で、オンラインであってもCP+を開催したことに対して感謝の声をいただきました。

今後に繋げたい点としては、CP+のWebサイトにアクセスしたものの、来場登録しなかったという方(特に若年層や女性)も多かったため、来場者数が伸びる余地はまだ非常に大きいものがあります。この方々のエンゲージメントをどう高めるかが課題です。

また、各種メディアへの情報提供や、SNSの有効活用など、事前のPR活動を工夫することで、若年層を中心にさらなる集客が可能だと思われます。オンラインでも、ワクワクするようなお祭り感やイベントとしての一体感をもっと醸成したいと考えています。

——今回のCP+について多く寄せられた要望は、どんなものがありましたか? 今後の展望も聞かせてください。

要望については、「実機をタッチ&トライしたい」という声が圧倒的に多くありました。開催形態は、8割の方がリアルとオンラインの複合開催を望んでいます。

来場者アンケート(7,512件回収)の集計結果より。CP+2021 ONLINE会期中に、事前登録のうえログインした人が対象。

次回のCP+は、2022年2月24日(木)〜27日(日)の開催を予定しています。リアルとオンラインでは互いに異なるメリットがあり、できれば両者の複合開催をしたいのですが、社会状況などに応じて柔軟に対応するつもりです。今回得た多くの声を次回以降に活かして、より魅力的なショーにしていきたいと思います。

中期的には、「Tradition & Evolution」をコンセプトに、伝統的な写真文化と新しい映像文化の両方のユーザーに満足してもらえるような、楽しくてためになるショーを目指していきます。

本誌:鈴木誠