写真展

宮嶋康彦写真展「アジアモンスーン」

(コニカミノルタプラザ)

海風に吹かれながら、ながらく日本海沿岸の浦々を歩いてきた。北東アジアの政情は、戦後最悪といわれるほど悪化するなか、いにしえから沿岸に張りついて漁(すなどり)をしてきた人たちの表情には変わりがないように見える。

ユーラシア大陸に乳房のように突き出た朝鮮半島。その乳を飲んで育った時代が、この国にはあった。

長崎の北の海上に位置する対馬には、多くの渡来仏が祀られている。中国系の北魏仏、朝鮮系の新羅、百済、高麗仏など百余の仏像が今も祈りの対象となっている。ただ、それらの仏像の多くは、打ち壊しの疵や火中痕がみとめられ、動乱と思想の変遷を語りながら鎮もっている。

大和朝廷に国譲りをした出雲族とは誰か。渡来人はどのように土着し、倭人と混血したのか。遣隋・唐使の往来、仏教伝来、水稲の伝播、倭寇の跳梁、本邦初渡来の象や麒麟、河馬でさえ、アジア固有の季節風を帆に受けて渡来した。

かつて日本海はアジア的活力に満ちた時代があった。「魏志倭人伝」は南北に市糴(してき:交易して米を買い入れる)する島民を記して、海上を往き来する海の民の存在を伝えた。

いま、わたしたちに吹く風は心地よいだろうか。かつてアジアの民が、季節風をとらえて自由に往来した風は、いまも変わりがないのだろうか。

(写真展情報より)

  • ・会場:コニカミノルタプラザ(ギャラリーC)
  • ・住所:東京都新宿区新宿3-26-11新宿高野ビル4階(フルーツの高野4階)
  • ・会期:2014年10月21日火曜日〜2014年10月30日木曜日
  • ・時間:10時30分〜19時(最終日15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

(本誌:折本幸治)