写真展告知

ロベール・ドアノー写真展:パリ郊外 ~城壁の外側~

蝶々エリの子ども、サンドニ 1945年 ©Atelier Robert Doisneau/Contact

富士フイルム株式会社は、フランスの国民的写真家とも称されるロベール・ドアノーの写真展を、第1部「パリ郊外 ~城壁の外側~」と第2部「“永遠の3秒”の原点(仮題)」の2期にわたって開催する。

第1部の開催は、8月29日(木)~10月30日(水)。第2部は、10月31日(木)~12月26日(木)。

パリを中心に庶民の日常をとらえた写真で高い評価を受け、1951年にニューヨーク近代美術館で開催された《5人のフランス人写真家》展の出品作家に選ばれたロベール・ドアノーによる写真展。

第1部では、同氏を語る上で切り離すことのできない場所「パリ郊外」の作品を展示する(第2部の詳細は、後日発表)。

作品点数は、全紙・半切サイズなど、フィルムによるモノクロ作品を約30点(予定)。なお、展示作品は銀塩印画紙を使用したオリジナルプリントを使用しているという。

“イメージの釣り人”とも評される類まれな洞察力と遊び心に満ちた感覚で、日常に潜むドラマをとらえ独自の世界を築き上げた写真家ロベール・ドアノー。「パリ郊外」は、写真家ロベール・ドアノーを語る上で切り離すことのできない場所です。1912年、パリ南郊外にあるジャンティイに生まれ、生涯を通じて郊外に暮らし続けました。かつてはパリを取り囲む城壁で隔てられていた郊外は、中心から疎外された貧困層や移民の暮らす場所でした。

十代から働くことを余儀なくされていたドアノーは、石版工のディプロマを取得後、19歳で写真家アンドレ・ヴィニョーの助手になり、1932年、念願だったローライフレックスを購入します。「カメラを身体の中心で構えるので、撮影するには背中を曲げなければならず、これが被写体に敬意を払っているような形になる」と語っている通り、上から覗き込む姿勢で撮影するこのカメラは、内気なドアノーには最適なものでした。このカメラとともに、人々とは十分な距離を取りながら郊外の風景を精力的に撮り始めます。「考えようによっては恥ずかしがりも悪いものではない。内気な性格のおかげで人と距離を置くことができた。その結果、被写体の周りに空間が現れ、これこそ私が撮りたいものだったのだから」と語っていたドアノーは、決して恵まれているとは言えない人々の生活とその背景となった郊外の風景による傑出した作品を残しました。それは、自分が生まれ育った土地と人々に対する愛憎半ばする複雑なドアノーの心情が反映されたものだったのかもしれません。

撮りためられたパリ郊外の写真は、詩人のブレーズ・サンドラールの後押しにより、1949年、ドアノー初の写真集となる『パリ郊外』として出版されます。「市場価値ゼロ」の烙印を押された300点の写真が収録された本書は、写真家ロベール・ドアノーの才能を知らしめる重要な礎となりました。

本展ではロベール・ドアノーの「パリ郊外」の作品を展示することで、本年没後30年を迎えるドアノーの原点に迫ります。

写真展情報

小さなテラス、アルキュイユ 1945年 ©Atelier Robert Doisneau/Contact
日曜日の朝、アルキュイユ・カシャン 1945年 ©Atelier Robert Doisneau/Contact

会場

FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館

開催期間

第1部「パリ郊外 ~城壁の外側~」:8月29日(木)~10月30日(水)
第2部「“永遠の3秒”の原点(仮題)」:10月31日(木)~12月26日(木)

開催時間

10時00分~19時00分(入館は終了10分前まで)

休館日

会期中無休

入館料

無料

主催

富士フイルム株式会社

後援

港区教育委員会

企画協力

アトリエ・ロベール・ドアノー

企画

コンタクト

ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)

1912年、パリ郊外ヴァル・ド・マルヌ県ジャンティイ生まれ。石版工の技術取得のためパリのエコール・エスティエンヌで学んだ後、写真家アンドレ・ヴィニョーの助手となる。1934年、ルノー社に産業カメラマンとして入社。1939年、フリーとして活動を開始。1992年、オックスフォード近代美術館で大回顧展を開催。1994年没(享年82)。ニエプス賞(1956年)、フランス写真大賞(1983年)など受賞多数。