写真展告知

蔵真墨写真展:香港 ひざし まなざし

(コミュニケーションギャラリーふげん社)10月7日~10月31日

(c)Masumi Kura

2012年の秋と、2019年から2020年にかけての年末年始に香港に滞在して撮影した。旅に出ることはその土地を知ることであり、離れた場所から自分が生まれ育った場所、生活している場所を考えることでもある。

私より香港と縁が深い人は多くいて、私は香港が直面している問題の当事者ではないけれど、難しい状況を生きている人たちに寄り添うことができないか。私の写真は日常を記録したさりげないものではあるけれど。

2012年の滞在時は香港と中国(メインランド)の経済のときで中国からの買い物客、観光客が街じゅうにいた。街は賑やかで、騒々しいほどの活気にあふれていた。香港では出身地、人種、宗教の異なる人たちが狭い土地の中でうまく棲み分けて生活し、与えられた自由をもとに経済活動を行う。高齢化は日本より進んでおり、フィリピーナの介助を受ける高齢者をよく見かける。そのような生活方法は合理的で、見習うべき点が多くある。

2019年になると市民は経済よりも自由を重視するようになっていたが、その雲行きはあやしい。すでに台湾やイギリスへの移住を進めている香港市民も多い。そして、何をするにも不自由なコロナの時代となってしまった。

何か問題があるとき、相手を変化させることは難しいけれど、自分が変わることはできる。過ごしやすい場所へ移動し、生き延びること、これも一つの方法だ。香港人と世界中の誰でもの近未来が穏やかなものであってほしい。

2021年 初秋

蔵 真墨

作家ステートメント

(c)Masumi Kura
(c)Masumi Kura

会場

コミュニケーションギャラリーふげん社
東京都目黒区下目黒5-3-12

開催期間

2020年10月7日(木)~10月31日(日)

開催時間

火曜日~金曜日:12時00分~19時00分
土曜日・日曜日:12時00分~18時00分

休廊

月曜日

ギャラリートーク(蔵真墨×楢橋朝子)

10月16日(土)14時00分~15時30分
参加費:1,000円(会場観覧・オンライン配信)

作者プロフィール

1975年、富山県氷見市生まれ
同志社大学文学部英文学科卒業
東京ビジュアルアーツ写真学科に学ぶ
2001年に作品発表を始め、以降国内外で発表を続けている。
2010年、第10回さがみはら写真新人奨励賞受賞。
2017年、横浜・韓国アーティスト交流プログラム「続・朝鮮通信使 2017」に参加。

近年のおもな展覧会に「日本の新進作家 vol.11 この世界とわたしのどこか」(2012年・東京都写真美術館)、 「Adventures of Kura」(2015年・BMW PHOTO SPACE、韓国・釜山)、2015年「FOUR FROM JAPAN : CONTEMPORARY PHOTOGRAPHY」(2015年・コンデナストギャラリー、ニューヨーク)。

おもな写真集に『kura』『蔵のお伊勢参り』『氷見』(蒼穹舎)、 『Men are Beautiful』(Urgent Press)、おもな収蔵先に 東京都写真美術館、サンフランシスコ近代美術館、沖縄県立博物館・美術館。