イベントレポート

地下鉄半蔵門線の最新車両が有楽町線に!? 東京メトロのレアな撮影会に潜入

東京メトロとはとバスは、撮影イベント「ミッドナイト新富町☆彡」を2月8日(土)9日(日)に開催した。半蔵門線の新車両を有楽町線の駅で撮影できるというレアな企画だ。ここではその模様をお伝えする。

オリエンテーションに登場した東京メトロの社員。左から運転士の青木さん、イベントのダイヤを組んだ運転部の米元さん、車掌の佐藤さん

被写体は営業運転前の新車両

半蔵門線の現行車両である18000系を特別に有楽町線の新富町駅に停車させて撮れるというイベントで、東京メトロとはとバスの共同企画としては2023年の「有楽町線全線開業35周年×副都心線全線開業15周年 記念撮影会」に続くものとなる。

今回被写体となる車両は18000系のなかでも12編成目に当たる最新車両の「18112編成」。この編成はまだ営業運転には使われておらず、現在は搭載機器の試験中という。営業運転に使われる時期は未定とのこと。

有楽町線の駅に半蔵門線の車両が停まる珍しい光景
半蔵門線の18112編成
最終列車後のイベントなので光掲示板(発車標)は消えている

「18000系が有楽町線を走ることはこの先、多分ない。本当に貴重な機会」(東京メトロ 運転部 米元さん)という珍しさもあり、今回のイベントは参加費が3万円と高価にもかかわらず30名分のチケットが完売した(キャンセルがあり参加は26名)。

東京メトロによると、車両工場からの輸送を除けば18112編成を一般の人が撮れる機会は初めてではないかとのこと。

撮影地として新富町駅が選ばれたのは、2本の線路の間に柱が無く反対側のホームから撮影がしやすいため。トンネル側も撮りやすく、ファンの間では撮影スポットになっているそうだ。また車両については、ちょうど新車両が来たタイミングということで18112編成が選ばれたそう。このイベントのために有楽町線駅に移動させている。

新富町駅の案内表示

記念乗車券や改札鋏が展示

今回は最終列車後の撮影ということで深夜に行われた。ちなみに、今回のような深夜の撮影会は東京メトロとしては初めてとなる。

参加者は2月8日(土)の23時40分に「銀座キャピタルホテル 茜」に集合。オリエンテーションを経て、日付が変わった1時30分頃から撮影が始まった。銀座キャピタルホテル 茜ははとバスが運営するホテル。新富町駅前にあることからオリエンテーションの場として提供した。

銀座キャピタルホテル 茜

オリエンテーションでは今回のイベントを発案した現役の運転士と車掌が司会を務めた。撮影についての説明などが伝えられたほか、Q&Aやじゃんけん大会が行われ盛り上がった。じゃんけん大会で勝ち残った参加者には行き先表示のリクエストができる特典もあった。

オリエンテーションの様子
司会の運転士と車掌は半蔵門線の担当。参加者の質問を受けてのトークも盛り上がった

オリエンテーション会場には充電やクリーニングができるコーナーが設けられたほか、記念乗車券など関連アイテムの展示もあった。

充電とクリーニングのコーナー
資料の展示コーナー
半蔵門線の記念乗車券
有楽町線の記念乗車券
営団時代に使われていた改札鋏も展示

参加者には東京メトロ24時間券2枚やトートバッグなどのグッズがプレゼントされた。

参加者へのプレゼント品
オリジナル台紙の24時間券

撮影は約2時間半とたっぷり

オリエンテーション終了後はさっそく新富町駅へ。出入り口はシャッターが閉まっている時間なので、これを開けてホームに向かった。

深夜なのでシャッターを開けて駅に向かう
動いていない自動改札機を通るのも貴重な体験

撮影場所は2番線(和光市方面行き)で、18112編成は1番線(新木場方面行き)に入線した。列車の正面も撮れるようにホームの中程に停車させた。

「試運転」の表示でホームに入ってきた18112編成

通常はホームでの三脚や脚立の使用はできないとのことだが、今回は特別に三脚と脚立の使用が認められた。また撮影しているホームには列車が来ないので、ホームドアギリギリから撮影できた。普段撮れない絵を狙えるのはこのイベントならではだろう。

超望遠レンズで狙う参加者
車両近くで撮影することもできた。先頭車両がこの位置で停まるのもまた珍しい

募集時には広角レンズのほか、200mm以上の望遠レンズの持参が推奨されていた。特にイベント後半のトンネル内撮影は列車までの距離があるためだ。参加者のレンズを見ると超望遠域を含むズームレンズが多かったようだ。

18112編成は新車でピカピカ。窓から見える車内や足回りも真新しいのが印象的だった。

新車両らしくきれいな姿
「ミッドナイト新富町☆彡」のマークを車内に掲示
新木場方面の先頭車両は「18012」
ホームドア越しに見たところ
足まわりもきれいな状態
車内の様子

有楽町線・副都心線17000系とのツーショットも

イベント後半は18112編成を新木場方面に動かし、トンネル内に停まっているシーンでの撮影となった。停車位置は参加者の意見も聞いて調整するなどの対応があった。

トンネル内を撮影する参加者

ホームからトンネルにかけてはカーブしており、ホームから写しやすい。トンネル内の光やレールの反射も相まって美しく列車を捉えることができたのではないだろうか。

新木場方面に向かってカーブしているため撮りやすい
最後尾の車両番号は「18112」
行き先表示のリクエストに応えた「青山一丁目」
こちらは「水天宮前」を表示したところ

最後は18112編成の隣に新木場方面から来た有楽町線・副都心線17000系が並んで停車。このシーンは事前の告知が無かったサプライズ。珍しい組み合わせのツーショットが撮れる趣向になっていた。

ツーショットはともに「渋谷」行きの表示

東京メトロ、はとバスとも要望を聞きながら今後もこうしたイベントを企画していきたいと話していた。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。