イベントレポート
“フードフォト”でLEDライティングを学ぶ…フォトグラファー向けセミナー「GINZA Imaging Academy」が開催
カラーマネジメントや色・露出の計測などもレクチャー
2024年12月12日 13:06
銀座十字屋ディリゲント事業部が、フォトグラファー向けのセミナー「GINZA Imaging Academy Vol.1」を同事業部のショールームで12月10日(火)に開催した。ここではその模様をお伝えする。
GINZA Imaging Academyはプロレベルの撮影手法を伝授する有料のセミナー。今回が第1回となりテーマは「フードフォト」。参加費は3,300円で定員20名(先着)だが早々に埋まったとのこと。
講師はフードフォトグラファーの久保田翔也さん。撮影も手がける傍ら、日本フードフォトグラファー協会を立ち上げ、代表理事を務めている。
久保田さんによるとフードフォトの需要は高く、業界でフォトグラファーは不足の傾向という。撮影は平日の昼間が多いことなどから女性にも向く仕事とのこと。実際、今回のセミナー参加者も半数ほどが女性だった。
参加者の多くははすでにプロのフードフォトグラファーとして活躍している人で、さらなるスキルアップを目指して参加した人が多かったようだ。
今回セコニック、ヴィンチェロ、EIZOも参加しており、機材のデモンストレーションもあった。
セミナーでは久保田さんが4つのシーンで実際にセッティングと撮影を行い、撮影風景やその結果を参加者が確認できるようになっていた。
シンプルなライティングでも効果的
最初はケーキの撮影。メイン光はストロボで、最初にCalibriteのカラーチャート「Passport Photo 2」を撮影して、転送先の「Capture One」でホワイトバランスを正確に調整する方法などを説明した。また、露出計で被写体のハイライトやシャドウを計測し、適切な差が出るようにセッティングを行っていた。
ストロボは逆光で1灯。被写体の高さが低いので、ストロボも低くセッティングするのがコツという。今回は手前を落とすために、ストロボ側と手前で明るさに3段の差を付けた。
ストロボ1灯でも十分完成度は高いが、さらにLEDライトを追加して別の色を追加した。LEDライトはストロボと異なり、本体で色温度が変えられるのがメリットとのこと。LEDから赤っぽい光を出すことで、温かみのある完成写真になった。
アートレで光を拡散
続いてはチョコレートの撮影。ココアパウダーをバックにしてチョコレートを置いていく。きれいに並べるよりも無造作に置くと良い感じになるそうだ。
1灯の逆光のライティングで、ストロボの前にはアートレを垂らして拡散させている。アートレはストロボとの距離によって光の拡散具合を調節できるのでフードフォトではお勧めとのこと。
俯瞰撮影では三脚をセッティングする場合もあるが、飲食店での撮影は短時間で終わらせる必要があるため、このように椅子に乗って上から撮ることも多いそう。
マカロンを潰してシズル感を出す
3つ目はマカロンの撮影。単にマカロンだけを写すのではなく、小道具としてスパイス類を散らすのが効果的という。中でも八角は様々なシーンで使えるとのことで、「困ったら八角」と話していた。
また、マカロンを敢えて潰したりちぎったりしているのは海外でよく見られる手法だそうで、こうすることでマカロンのサクッとした食感を表現できるという。
ケーキに人物を加えてレベルアップ
最後は時節柄ということでホールケーキの撮影となった。食べ物だけを撮るのではなく、人物の手などを入れるのもフードフォトのテクニックとしてよくあるバリエーションとのこと。
今回はケーキを持っている人の手を入れるほか、人物に白い服を着せて白バックに白いケーキというコンセプトで撮影された。白地に白の被写体となるが、サイド光を使うことで、背景からケーキが分離した立体感のある写真になった。
撮って出しでは真っ白のケーキだが、レタッチで緑や青の成分を少し加えることでより雰囲気のある写真になるそうだ。レタッチの際は、1度正しいホワイトバランスにして、そこから調整するようにしたいとのこと。
EIZOのカラーマネジメントモニター「CG2700S」と「CS2740」が用意された。モニターの色が正しくないと安心して写真を出せないため、良いディスプレイとキャリブレーションが重要と話していた。
Calibriteの測色器によるキャリブレーションのデモも行われ、参加者がカラーマネジメントに関する質問をするシーンも見られた。