イベントレポート

いまが旬の「桜」を撮ろう!「インプレス桜フォト祭り」開催

デジカメ Watchを運営する弊社インプレスは、無料フォトイベント「インプレス桜フォト祭り」を3月18日・19日に開催した。特別協賛はアドビ、協賛はインテル、EIZO、エプソン、H&Y、コシナ、ニコン。

「桜の写真」をメインテーマとして、9人の写真家がそれぞれの視点、得意分野から撮影テクニックやレタッチを伝授するセミナーと、協賛各社による製品展示ブースからなるイベント。参加写真家は星野佑佳さん、清家道子さん、萩原れいこさん、高木慎平さん、亀山岳史さん、小春ハルカさん、秦達夫さん、チャーリィ古庄さん(順不同)。

本記事では3月18日実施分のセミナーおよびブース展示について簡単にお伝えする。セミナーの内容としては撮影テクニックや使用機材の解説をはじめ、ロケーションの見つけ方やアングル、撮影時間帯、開花時期など、桜をメインテーマに据えたセミナーならではの話題にも言及した。レタッチでは「Photoshop」および「Lightroom Classic」を使ったテクニックを紹介している。

セミナー会場
協賛企業の展示ブース

京都が輝く『桜シーズン』間近! 古都×桜写真の仕上げ方——星野佑佳さん

星野佑佳さん

星野佑佳さんのセミナーは「京都が輝く『桜シーズン』間近! 古都×桜写真の仕上げ方」。伏見や西山、東寺、祇園白川など桜の名所を桜写真の作品とともに紹介し、桜の撮影におすすめのスポットや時間帯、記憶色の再現を念頭に置いたレタッチ方法について解説した。

Lightroom Classicを使ったレタッチテクニックでは、「マスク」から「空を選択」して調整する方法がお気に入りだと話した。レタッチ時の便利機能としては、一部だけを明るくできる「円形グラデーション」のほか、調整途中のパラメータを残しておけるスナップショット機能の活用を勧めていた。

地明りによってどうしても明るさにむらが出たり色味の偏りが気になる場合は、「マスク」機能で軽減する方法を提案した

「桜」風景写真をわたしならこう作る! 撮影&写真編集トーク——清家道子さん&萩原れいこさん

清家道子さん(右)と萩原れいこさん(左)

清家道子さんと萩原れいこさんのセミナーは「『桜』風景写真をわたしならこう作る! 撮影&写真編集トーク」。両者がお互いに自身の作品を見せながら、撮影時の状況や撮影意図を解説した。

作品には撮影地を併記しており、構図の意図や作品ごとの設定などについても言及。萩原さんは画面を柔らかい描写にしたいときは、撮影モードをポートレートに合わせて撮影しているという。

清家さんの現像方法としては、「自動調整」のパラメータを起点に、自分のイメージへ近づけるようにパラメータを探っていく方法を採っているとした。セミナーでは特に「HSL」を使った調整を重点的に解説し、青空の調整において青の輝度を調整することで、PLフィルターを使ったかのような鮮やかな色味に調整する方法を紹介した。

桜の時期にだけ撮れる様々な風景写真の作例を解説した

「桜」ロケーション活用術 春の人物写真の撮影・レタッチ——高木慎平さん

高木慎平さん

高木慎平さんのセミナーは「『桜』ロケーション活用術 春の人物写真の撮影・レタッチ」。桜のあるロケーションで撮るポートレートに臨む際の心がけやコツについて伝授した。

ポートレートに限れば、撮影場所は桜の名所である必要はなく、たった一本の桜であっても、きれいなポートレートは十分に撮影できるとした。完成度を上げるのであれば、同じ時期に咲く菜の花などほかの色どりも加えて撮ると良いという。

現像では、白っぽくなりがちな桜色の調整について言及。あらかじめアンダー気味に撮っておき、トーンカーブで作った桜の記憶色をベースに、全体の色温度や露光量、コントラスト、彩度などを調整して仕上げる手法を紹介した。

仮にその日は思ったような写真が撮れなくても、撮影の機会そのものを楽しめるよう努めることが次に繋がるとした

思い出に残る桜ファミリーフォトの撮影・レタッチ実践講座——亀山岳史さん

亀山岳史さん

亀山岳史さんのセミナーは「思い出に残る桜ファミリーフォトの撮影・レタッチ実践講座」。撮影に関わる用品の活用や、シーンごとの定番パターンを習得することで写真の上達を目指す方向性を示した。

具体的には、踏み台や脚立に被写体となる人物を乗せて背の高い花の畑に埋もれないようにする、撮影時間帯を早朝や夕方に設定し、印象的な真横からの光を使うなどの方法を紹介。また、視点の高さや背景整理、レンズの効果など写真の持つ要素を分解して見ることで、定番のパターンを習得する方法について解説した。

まずは写真の見方を覚えて様々な定番パターンを覚えていけば、シーンに対応する引き出しを増やして写真が上達するという

桜・春花の繊細さを表現する花クローズアップ写真——吉住志穂さん

吉住志穂さん

吉住志穂さんのセミナーは、「桜・春花の繊細さを表現する花クローズアップ写真」。写真を撮るうえで最も重要な視点として「被写体に対して感じたイメージをどう表現するか」を挙げていた。

テクニックはイメージを表現するための方法論であるという基本を確認しつつ、表現したいイメージに合わせて光を選ぶ、アングルを工夫する、背景との距離を考えるなどの実践的な解説を行なった。例えば「元気なイメージで菜の花を撮る」場合は、順光の面に絞って被写体を選ぶ、空を大きく入れるためにアオリのアングルにする、広角レンズで寄るといった方法を挙げている。

撮りたいイメージを具体的に持ち、テクニックを駆使して狙った画に近づけていく

別会場で協賛企業のセミナーも

会場は上下2層に分かれており、メイン会場となる上層のセミナーとは別に、協賛企業のブースがある下層でもセミナーを実施するタイミングがあった。18日は星野佑佳さんと徳川印刷の小池りかさんがそれぞれニコンイメージングジャパンとエプソンの協賛枠でセミナーを実施した。

星野佑佳さんのセミナーは「東日本の桜、おすすめ撮影ポイント&お役立ちテクニック」と題して、関東圏から訪れやすい信州、南東北の桜撮影スポットを紹介。星野さんは関西在住だが、桜の季節は関東以北にも撮影に出かけることがあるといい、その理由として、北の方に行くほどに桜の色が色鮮やかなピンクになる点に惹かれていると説明した。

テクニックとしては、お気に入りの桜を見つけたら、同じ樹を様々な時間帯で撮ることを紹介。特に夕方以降は光の状態が刻一刻と変わっていくので、少し早めに行ってどんどんシャッターを切るよう勧めていた。

同じ風景でも、時間帯によって大きく表情を変えるさまを楽しむのも風景写真の楽しみ

小池りかさんのセミナーは、「作品の魅力を引き出す用紙選び」。性質の異なる複数の用紙にプリントした写真の見え方や質感、色の出方などを比較し、参加者に違いを尋ねながら進行する参加型のセミナーとなっていた。

ここでは写真用紙の「紙白」や表面処理によってプリントした写真の描写が変わってしまうことを念頭に、写真で伝えたいことに合わせて用紙を選ぶという視点を示した。

写真のプリントと展示を考えるのであれば避けては通れない用紙選びで必要となる視点を示した

展示された新製品

EIZOのブースでは、2月に発売した液晶モニター「ColorEdge CS2400S」と「ColorEdge CG2700X」を展示。Photoshopでレタッチを試せたほか、画面とプリントの見え方を合わせるカラーマッチングについても説明していた。

ColorEdge CSシリーズとして初めて出荷時の個体調整値を記録した調整レポートを同梱した「ColorEdge CS2400」

H&Yは、マグネット式レンズフィルター「REVORING Swiftシステム」を展示。静止画/動画用のフードや角型フィルタなどをマグネット式のアタッチメントで簡単に交換できる。プロ向けのため販売は直販のみだが、この日は割引価格で販売していた。

マグネットによる簡易フィルター交換システム「REVORING」シリーズ

コシナはフォクトレンダーブランドののZ/X/E/マイクロフォーサーズ/ライカMの各マウントレンズを展示。新製品としてはZマウントの「SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL」を展示していた。対応マウントのカメラを持っていればその場で試すこともでき、装着時のフォルムや操作感などで試用した来場者を沸かせていた。

コシナはZマウントなど5種のマウントでフォクトレンダーの交換レンズを展示
エプソンのプリンター「SC-PX1VL」「SC-P9550」で出力した秦達夫さんの桜写真展「壱花繚乱」も併催された
関根慎一