イベントレポート

カメラの“進化の芽“を探す。「すごい!たのしい!ちょっとヘン?! 〇〇なカメラ大集合」日本カメラ博物館で開幕

日本カメラ博物館(東京・千代田区)は、特別展「すごい!たのしい!ちょっとヘン?! 〇〇なカメラ大集合」を6月28日(火)から10月16日(日)にかけて開催する。入館料は一般300円、中学生以下無料。

なお、会場に「あなたにとっての“○○なカメラ“」を持参し、受付でそのカメラに対する一言コメントを記入すると、博物館への入館料が100円割引になるという。

ものづくりへのチャレンジ精神から生み出された「すごい」「たのしい」「ちょっとヘン」な特徴をもった“〇〇な”カメラを展示する。カメラが実用化されてから約180年の歴史の中で誕生した、独創的な機構やデザインをもつカメラ、歴史の中で脚光を浴びたカメラのほか、そうした歴史の中で埋もれてしまいがちなカメラにもスポットをあてるという。

特徴的な外観を持つ、ル・マルチフォト(1924年。マルチフォト)1本のレンズを装着した場合は9コマ、2本装着すると3コマのステレオ写真を撮影できるカメラ。レンズの着脱はバヨネット式

同館学芸員の山本氏は今回の企画趣旨について、「いろんなカメラの進化や発展の中で、残ったものや短命に終わったものもある。歴史の中で幹となるカメラを取り上げることは多いが、普段はスポットが当たらないようなカメラにも、それぞれに魅力がある」と話す。また、そうした歴史の中で生まれた一風変わったカメラにも、カメラが発展を遂げてきた“進化の芽”があるのではないかと感じているという。

続けて、「そういう視点で見てみると、ただのおもしろカメラではなく、“何かをやろうとした”のだということも見えてくるような気がします」とコメント。そうした歴史の中で誕生した“新しい発想のカメラ”から発せられるエネルギーを感じて欲しいという。

複合カメラ“カメラ×○○”

ラジオや音楽プレーヤーといった、複合的な機能を持ち合わせたカメラ。カメラ付き携帯電話も複合機器という視点でみることができる。今やスマートフォンがその代表格となっているが、カメラ機能はなくてはならないものとなっている。学芸員の山本氏は「“へんなオモシロカメラ”と括ることもできるが、こういう発想から何かが生まれるのではないか」と話す。

ラメラ(1959年。興和光機製作所)ラジオの一部に超小型カメラが組み込まれている。ボディーカラーは白、黒、赤、緑、青がある
シャープ J-SH04(2000年。シャープ)「カメラ付き携帯」として初の実用的な携帯電話

外装素材の変化

カメラの外装素材の進化の過程が展示されている。木から金属、そして樹脂。素材の変化とともにカメラも次第に高性能化を果たしてきた。

「素材は変われどそれぞれに良さがある。たとえば木製のカメラはまさに工芸品のようにも見えます。いろんなことを試してきたのだという、チャレンジの過程をご覧いただきたい。そして、価値観が多様化した中でいろんなものの良さを見つけて欲しいと思います」(学芸員山本氏)。

外装が木製のカメラ
外装に金属を使用したカメラ。チタン製や“チタンカラー“のものも並ぶ

きらびやかなカメラたち。豊富なカラーバリエーション

カメラの外装色といえばブラックやシルバーがポピュラーだが、ここでは、デザイナーとコラボした鮮やかな色合いのカメラや、きらびやかなゴールドを身にまとったカメラが展示されている。

デザインにも“必然性”を求められる昨今のカメラだが、見た目に楽しいカメラたちの数々をここに見ることができる。

ニコン FA ゴールド(1984年。日本光学工業・現ニコン)第一回のカメラグランプリ受賞を記念して製造されたモデル
リコー R1 ゴールド(1996年。リコー)。同機が世界各国で5つの賞を受賞した記念として限定50台で生産したモデル。24金メッキを使用している
AF-E QD クレージュ(1984年。ミノルタカメラ・現コニカミノルタ)フランスのアンドレ・クレージュがトータルファッションの一環として外装をデザインした

遊び心以外の何物でもないカメラ

1978年にコカ・コーラが宣伝用に企画した「かんカメラ」。110フィルムを使用する。これが定型となり、以降は多くの宣伝用かんカメラが登場した。

「かんカメラ」の数々。初めて登場したのは1978年。コカ・コーラ社がプレゼントや宣伝用に企画したもので、のちに表面のプリントを変える形でいろんな会社が制作した
本誌:宮本義朗