イベントレポート

日本カメラ博物館 開館30周年記念 特別展 カメラと写真家

著名写真家が使った当時のカメラとは

日本カメラ博物館は、開館30周年記念特別展「カメラと写真家 〜機材と表現の180年史〜」を2019年10月29日に開催した。期間は2020年3月22日まで。

明治時代、日本にカメラ機材と技術が伝わって以来180年にわたるカメラ史を、それぞれの時代に活躍した写真家のエピソードとともに振り返る趣旨の展覧会。日本カメラ博物館に寄贈された写真家たちの旧蔵品だけでなく、プリントや写真集も併せて展示している。

大正期からデジタルカメラ黎明期までのカメラを展示しており、これに対応する形で、幅広い世代の写真家が紹介されている。例を挙げると、福原信三、安井仲治、小石清、渡辺淳、木村伊兵衛、林忠彦、名取洋之助、三木淳、大倉舜二、大竹省二、広田尚敬、水谷章人、植田正治、篠山紀信、佐々木崑など(順不同、敬称略)。

それぞれの写真家に対応する形で愛用のカメラが置かれており、プロの道具として使われるカメラの変遷が俯瞰できる仕掛けが見どころ。写真表現手法の多様化とカメラ製造技術の発展が不可分であることも重要な展示テーマとして位置付けられている。

展示会場
展示の基本的な構成は、上からプリント、パネル、機材、写真集や掲載誌などの資料という順番。

展示としてはこのほか、日本カメラ博物館の運営主体である日本写真機検査協会(JCII)がかつて行なっていた日本製カメラの輸出検査に関連する資料や、カメラの歴史の中でも特殊な外装を施した製品、宇宙用カメラ、スライディングボックス式の「堆錦カメラ」、デジタル機器向けの歴代記録メディアなども用意しており、カメラ史、写真史の両面で、貴重な資料が閲覧できる機会となっている。

以下、展示の一部を紹介する。

堆錦写真機とダゲレオタイプカメラ。
福原信三、福原路草、安井仲治が愛用した木製一眼レフカメラ。
木村伊兵衛のローライフレックス オートマット。
名取洋之助のニコンSPは本人が所有していた旧蔵品。
写真家の旧蔵品と作品を併せて閲覧できる点が展示の特徴となっている。
JCIIの検査用基準カメラ。
ゴールド外装の特殊外装カメラとして展示されていた「ニコンFAゴールド」と「ペンタックスLXゴールド」。後列には2010年発売の「K-r」もある。
植田正治が愛用したものと同じ機種のカメラ。
ユージン・スミスのオリンパスペンFT。
デジタルカメラ創成期に関する展示。イメージセンサーのほか携帯電話やアクションカム、フロッピーディスクなどの記録メディアが展示されている。

開催概要

会場:日本カメラ博物館
住所:東京都千代田区一番町25番地JCII一番町ビル地下1階
会期:2019年10月29日(火)〜2020年3月22日(日)
時間:10時〜17時
休館:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
入場料:一般300円、中学生以下無料、団体(10名以上)200円

関根慎一