イベントレポート

国際的ポートフォリオレビュー「Review Santa Fe Photo Festival」レポート

作家とレビュアーが1対1で作品を論評 作家同士の活発なコミュニケーションも

日本において、写真作家が自らの作品を美術館やギャラリーでの写真展、そして所蔵にこぎつけるためには賞を獲って名前を知らしめるか、つてを辿って各所へ持ち込みをするのが一般的だ。

しかし現在欧米の写真業界では「ポートフォリオレビュー」というイベントが年々その存在感を増している。

できるだけ多くの専門家に作品(=ポートフォリオ)を見せたい作家と、常に新しい才能を探しているキュレーター/ギャラリスト/編集者が一堂に会し、一対一で論評(=レビュー)をしていくという両サイドにとって効率の良いスタイルだ。

10月26日から4日間に渡りアメリカ・サンタフェで開催された国際的ポートフォリオレビューイベント「CENTER Review Santa Fe」。

アメリカを代表する美術館やギャラリーから40人を超えるレビュアーと、事前の作品選考で100人に絞られた写真作家が世界中から集まった。

会場となったドゥルーリープラザホテルのメインホールには各レビュアーのテーブルがずらりと並ぶ。

作家は20分間という短いレビューセッションの中で最も効果的に作品を売り込むために、工夫を凝らしたポートフォリオを見せながら概要を説明する。

なぜそのテーマを選んだのか、作品の社会的意義やプロジェクトのゴールは? などレビュアーから鋭い質問が次々に投げかけられ、お互いのビジネスチャンスを探っていく。

その場で買い取り交渉や写真展の誘いまで至ることは稀だが、イベントをきっかけにして時間をかけて信頼を積み上げていくこと、会期中にレビュアーだけでなく沢山の人とつながりを作ることの重要性を多くの関係者が強調していたのが印象的だった。

それを証明するかのようにロビーでは連日写真をはさんで作家同士の活発な交流が行われ、誰でも自由に全員の写真にアクセスできるオープンイベントでは会場いっぱいに観客が訪れ、更なるネットワークが築かれていくのが見て取れた。

最後に、今回初めてポートフォリオレビューに参加した写真家のMichael Hitoshiさんにお話を伺った。

Michael Hitoshiさん http://www.michaelhitoshi.com

−−どのようなことを目的として参加しましたか?

世界トップクラスの専門家と直接話して、どのようなものが求められているのか肌で感じたかったためです。

−−実際に参加してみてどんな感想を持ちましたか?

世界中から集まっている人たちと交流することで、日本にいてはなかなか持てない視点の発見やレベルの高い刺激がたくさんあり、とても勉強になりました。

−−レビューの結果をうけて、これからどうしていきたいですか?

いくつか手ごたえのある交渉ができたので、まずは扉の入り口に立ったということで気を抜かずに発展させていきたいです。

会場で作品を説明するMichael Hitoshiさん。

小澤明子

1983年東京生まれ。2001年日本大学藝術学部写真学科入学。2004年NYへ移住。帰国後、宮本直孝氏に師事。2012年よりフリー。