イベントレポート
タムロン主催「鉄道写真トークショー 広田尚敬×矢野直美×板見浩史」が開催
鉄道博物館に100名の鉄道写真ファンが集う
2017年10月19日 07:19
株式会社タムロンは10月11日、埼玉県さいたま市の鉄道博物館内で「タムロン鉄道風景コンテスト 第10回開催記念 鉄道写真トークショー 広田尚敬×矢野直美×板見浩史」を開催した。
タムロン鉄道風景コンテストの過去10年分の作品を振り返りながら、鉄道写真の魅力を語るイベント。同コンテストの審査員である写真家の広田尚敬さんとフォトライターの矢野直美さんを迎え、フォトエディターの板見浩史さんが司会進行を務めた。8月末までに応募した参加希望者の中から、抽選で100名が招待された。
同コンテストの10年を振り返って「応募作品が毎回バラエティに富んでいて、僕らが引っ張られる感じがある」と印象を語った広田さん。「今年は応募総数が5,809点。"ゴハチ(C58型蒸気機関車)の9番"だね」と、会場に集まった鉄道ファン向けの語呂合わせを披露した。
タムロン鉄道風景コンテストは、広田尚敬さんと矢野直美さんが第1回から第10回まで、一貫して審査員を務めている。一般的なフォトコンテストでは審査員が1人ずつ寸評を述べるが、このコンテストでは2人が掛け合いのように振り返るのがスタイルとなった。筆者は第3回から毎年取材しているが、この和やかな進行が変わったことはない。
トークショーは第1回「一般の部」の大賞作品からスタート。京都駅の0番ホームを撮影した作品を、人物の配置、パンタグラフの入り具合、奥の線路の見え方、この車両はどこへ向かうのかなど、以降の作品も写真的・鉄道的に様々な視点で振り返った。
審査員の作品も披露
トークショーの後半では、審査員の両氏によるベストショットが紹介された。
「列車で行って、歩く」が広田さんの主な撮影スタイル。車窓から見た景色を求めて戻るのでなく、列車を降りてさらに前へ進むことが多いのだとか。「歩くといい写真が撮れる」と広田さんが語るのは、地面に接地して目線が低く、いろんなものが見えてくるというのがその理由。撮影に出る際には「今日は反射望遠の500mmだけでいこう」などと決め、出かけた先で標準レンズが使いたくなったとしても、その気持ちは無視するのだという。
矢野さんは鉄道写真を「知らない者どうしがレールで繋がったり、幸せを運んでくれるもの」と表現。「自分がいいと思ったものが一番伝わる。気持ちが乗っているものは誰にも伝わると思う」と述べ、広田さんも強く同意。加えて「コンテストには自分が気に入った作品を出すのがいいと思う。現場に行ったら頭をカラにして、現場の良さをつかまえるようにすると、いい写真が撮れます」と広田さんがアドバイスし、イベントを締めくくった。