デジタルカメラマガジン
「ハイポジション」と「ローポジション」で印象的な写真に!
写真表現における様々な“High”と“Low”のテクニックを披露 3月号特集より
Reported by デジカメWatch編集部(2016/2/19 12:36)
2月20日発売の最新刊「デジタルカメラマガジン2016年3月号」の特集は、「写真はHigh&Low いつもよりカッコ良くなる 撮影+レタッチテクニック」です。人気写真家が写真表現における様々な“High”と“Low”のテクニックを披露。ここではその中からハイポジションとローポジションについて採り上げます。
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「ハイポジション」と「ローポジション」の基本テクニック
(写真・文:中原一雄)
立ったままの目の高さと同じアイレベルで撮影した写真は、安心感は出るが面白みのないものになってしまう恐れがある。ハイポジションの撮影は俯瞰的な視点での撮影となるため空間の広がりを表現しやすく、写真に客観性が増してくる。
一方、ローポジションは地面が近くなるため、臨場感を表現しやすく主観的な要素が増してくる。非日常の視点のため意外性も出しやすい。撮影ポジションの効果は遠近両方に被写体があるシーンで効果を感じやすい。
ハイポジションに適したシーン
- 人混みの中で混雑を表現
- 奥行きを強調する風景
ローポジションに適したシーン
- 水面への映り込みを立体的に
- 雑踏の中で足元をとらえる
- 小さな花をアップで見せる
- 視線を合わせた子どもやペット
ハイポジション:前ボケを使ってのぞきの効果を高める
(写真・文:鶴巻育子)
カメラの位置をアイレベルよりさらに高い位置、ハイポジションにすると、見渡しているような雰囲気が出る。のぞいているような表現になり、被写体のフォルムやラインが強調されるのも特徴だ。
上の写真は陸橋からホームで電車を待つ人物を撮影したものだが、手を上に伸ばしたかなり高い位置からほぼ俯瞰で撮影している。ハイポジションから狙う場合は、チルト式の背面液晶モニターで確認できるカメラが圧倒的に有利だ。
ハイポジションでの撮影は、写真全体に地面が写る割合が多くなるため、平面的になりやすい。そのため、手前にある金網をあえて入れて前ボケを作ると、立体感が出る。前ボケを入れることで、そっと上からのぞいているような写真になった。
金網に近づけば、大きくぼける前ボケを作ることができる。明るいレンズの場合は開放F値で近づきすぎると、ぼけすぎてしまい、ディテールが失われてしまうこともあるので注意が必要だ。夕方の時間でちょうど金網に太陽が当たり、暗いホームの地面と重なったことで、存在感が増してくれたのは良かった。
ローポジション:被写体に近接して遠近感と勢いを表現する
(写真・文:佐々木啓太)
ローポジションで撮影すると、見慣れた街が不思議な光景になる。また、魚眼レンズを使うと風景に広がりが出るので、いつも見ている街角に不思議な雰囲気や勢いのような迫力が加わる。
上の写真のようにどこにでもある駐車場でも特別な風景のように感じられるのだ。魚眼レンズはもともと最短撮影距離が短いレンズが多く、主要被写体に近づいて独特の歪みを強調する表現でよく使われる。
そういった意味ではローポジションと相性が良い。地面すれすれのローポジションにレンズを構えて、ピントはプレートに合わせている。このような苦しい体勢での撮影には可動式の背面液晶モニターが役に立つ。
一般的に魚眼レンズは被写界深度が深いので、背景をぼかしたい場合はなるべくF値は明るく設定したい。ここでは開
放から少し絞ったF2.8にしたが、背景の車との距離が離れているので大きくぼけた。
背景のボケがさらに凹凸模様のデフォルメを目立たせている。ちなみに、この非日常的なイメージを強調するために、クロスプロセスのフィルターをかけた。
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このほかにも、本誌には旬の情報が盛りだくさんです。
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