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キヤノン、「EF 100-400mm」を16年ぶりにリニューアル

新コーティング採用。最短撮影距離は半減。回転式ズームに

 キヤノンは、望遠ズームレンズ「EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS II USM」を12月下旬に発売する。価格は税別30万円。

 1998年に発売した「EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS USM」の後継モデル。16年ぶりのリニューアルとなった。

 レンズ構成は蛍石1枚、スーパーUDレンズ1枚を含む16群21枚。色収差を低減したほか、画面周辺の画質を高めた。既存の「EF 70-200mm F2.8 L IS II USM」と同等以上の画質を実現したとする。従来同様、非球面レンズは使用していない。

レンズ構成(紫:蛍石、緑:スーパーUD)。ASCは後から5枚目のレンズに採用

 加えて逆光によるフレアやゴーストを大幅に抑制するというコーティング「ASC」(エア・スフィア・コーティング)を初採用した。蒸着膜上に空気の球を含んだ「超低屈折率層」を形成することで、特に垂直に近い角度で入射する光に対して高い反射防止効果を発揮するという。

 レンズ最前面と最後面にはフッ素コーティングを施し、汚れがつきにくく、付着しても落としやすくした。

 最短撮影距離は従来の全域1.8mから同0.98mに短縮。最大撮影倍率が0.20倍から0.31倍に上がり、クローズアップ撮影にも対応するとしている。

 手ブレ補正の効果は従来の1.5段分(CIPA基準)から4段分(同)に向上。流し撮り用の「ISモード2」では従来よりもブレ検知を敏感にし、ファインダーの見えを改善したほか、揺り戻しも低減した。

スイッチ部

 従来品は直進式ズームだったが、新レンズは回転式ズームになった。また、ホールディングの位置が前後しないためバランスに優れるという。ただし、インナーズームでは無いため全長は変化する。

 直進式ズームのメリットであったズーミングのスピーディーさを実現するため、ズームリングの回転角を95度と狭く設定している。

 ズームリング(前)とピントリング(後)の間には、ズームリングのトルク負荷を調整できる調整リングを引き続き備える。従来品は調整リングの僅かな回転に対するトルク負荷の変化が大きいため調整が難しかったが、あらたに、リングの回転に応じて少しずつ負荷が変化する構造を採用。調整が容易になったとしている。トルクは無段階で調整可能。

トルク負荷を調整できる調整リングを装備

 三脚座は台座部分と、カメラと一体になったリング部分を分割できる新構造とした。これまでと異なり、レンズをカメラに装着したまま三脚などから外すことができ、手持ち撮影との切り替えが容易になった。また、三脚座のリングとレンズを一体型にしたことで、レンズのスムーズな回転が可能になった。

 同梱のレンズフードは、開閉式のフィルター操作窓を備えた新型(ET-83D)に変更。フードをしたままPLフィルターなどの回転操作が可能となっている。

ET-83D

 フィルター径は従来と同じ77mm。絞り羽根は従来の8枚から9枚に増えた。

 最大径×全長は94×193mm(従来品は92×189mm)。三脚座無しの重量は約1,570g(同1,380g)、三脚座有りの重量は約1,640g(同1,530g)。

(本誌:武石修)