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APS-C高級コンパクトデジカメ「FUJIFILM X100T」

X100シリーズ新モデル 光学ファインダーなのにピント位置を拡大表示

 富士フイルムは、レンズ一体型デジタルカメラ「FUJIFILM X100T」を11月に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は税別14万5,000円前後の見込み。シルバーとブラックを用意する。

 2013年に発売した「FUJIFILM X100S」の後継モデル。新たに従来の「ハイブリッドビューファインダー」を進化させた「アドバンスト・ハイブリッドビューファインダー」などを搭載した。

 ハイブリッドビューファインダーは、光学ファインダー像に液晶パネルの情報を重ねて表示する「OVFモード」と、液晶パネルのライブビュー映像をそのまま表示する「EVFモード」を切り替えられる富士フイルム独自のファインダー。今回、両モードとも機能を拡張した。

 X100TのOVFモードでは新たに、光学像の一部をNDフィルターで遮蔽し、その部分にフォーカスエリアのライブビュー映像を拡大表示可能になった。光学ファインダーでのMF撮影時に、ライブビュー並みの正確なピント合わせが期待できる。本機能は世界初だとしている。

 この際、拡大表示部分にデジタルスプリットイメージやピーキング表示も行える。表示倍率の変更も可能。

アドバンスト・ハイブリッドビューファインダーのOVFモードの拡大表示イメージ(左)とその仕組み(右)

 また「リアルタイムパララックス補正」機能も搭載。MF撮影時にブライトフレームが被写体との距離応じてリアルタイムで自動補正されるため、より正確な撮影範囲を確認できる。さらに、ブライトフレームのカバー率が92%に向上。より高精度に撮影範囲を表示する。

 一方EVFモードでは、表示タイムラグをX100S比で1/5という約0.01秒に短縮した。また、撮影シーンの明るさに応じてEVF表示の明るさが自動制御されるようになった他、暗所でも最大フレームレートを維持するように改善。滑らかな表示が可能になったという。フィルムシミュレーションなどの効果もEVFに反映できるようになった。カメラを縦位置にすると、ファインダー内情報も縦表示になる。EVFは約236万ドットの0.48型。

 撮像素子は従来機と同じで、APS-CサイズのX-Trans CMOS IIセンサー(有効1,630万画素)。引き続き光学ローパスフィルターは非搭載。画像処理エンジンの改良で、最高感度はISO25600からISO51200に向上した。回折ボケなどを補正する「点像復元処理」も搭載する。60fpsのフルHD動画も撮影可能。

 レンズも従来と同じ35mm判換算での焦点距離35mm相当F2の単焦点レンズを採用。

 フィルムシミュレーションには新たに、深みのある色合いと柔らかな陰影を表現するという「クラシッククローム」が加わった。

 像面位相差AFを継承し、約0.08秒のAFとしている。起動時間は約0.5秒、シャッタータイムラグは約0.01秒、撮影間隔は約0.5秒となっている。連写速度は最大6コマ/秒。

 新たに1/32,000秒の電子シャッターを搭載した。晴天の雪原や海岸などの明るいシーンにおいて、開放絞りで撮影しても露出オーバーしにくくなる。シャッター音が発生しないため、音に敏感な動物などの撮影にも向く。

 従来機では絞りを1/3段ずつ変更する際に、レンズ鏡胴の絞りリングと背面のコマンドレバーを併用する必要があったが、今回は絞りリングのみで1/3段ずつの変更が可能になった。

 また露出補正ダイヤルが±3段までの設定に対応した。ファンクションボタンは7つ。

 液晶モニターは約104万ドットの3型。従来は約46万ドットの2.8型だった。

 記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。無線LAN機能も搭載し、スマートフォンからのリモート撮影なども可能。

 電源はリチウムイオン充電池「NP-95」。撮影可能枚数は約330枚。

 外形寸法は126.5×74.4×52.4mm。本体のみの重量は約400g、バッテリーと記録メディアを含む重量は約440g。

 専用ハンドグリップ 「MHG-X100」を新たに用意する。なお、既存のワイドコンバージョンレンズ「WCL-X100」(35mm判換算28mm相当になる)とテレコンバージョンレンズ「TCL-X100」(同50mm相当)も使用できる。

【9月11日】記事初出時、撮影可能枚数を350枚と記載しておりましたが、正しくは330枚です。

【16時30分】記事初出時「EVFモードでは、表示タイムラグを世界最短という0.05秒に短縮した」と記述していましたが、正しくはEVFタイムラグが約0.01秒でした。該当部分を修正しています。

(本誌:武石修)