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X-Trans CMOS IIセンサー採用の「FUJIFILM X100S」

〜解像力が向上。AFも高速化

 富士フイルム株式会社は、レンズ一体型デジタルカメラ「FUJIFILM X100S」を2月16日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は13万円前後の見込み。

 2011年3月発売の「FUJIFILM X100」の後継モデル。基本的なスタイリングは踏襲しつつも、撮像素子、AF、ファインダーなどに手が加えられている。同社の高品位ライン「Xシリーズ」の新製品のひとつで、米国ラスベガスで開催中のイベント「2013 International CES」で発表された。

 カラーはシルバーのみ。X100にあったブラックエディションは用意されない。

 撮像素子には新開発のAPS-Cサイズ「X-Trans CMOS II」センサーを採用。レンズ交換式の「FUJIFILM X-Pro1」や「FUJIFILM X-E1」と同様、光学ローパスフィルターを必要としないX-Trans CMOS技術を使用している。有効画素数は、X-Pro1、X-E1と同じく1,630万画素。

 また、回折現象などの光学的影響を補正する点像復元技術を導入。光学的に起る現象を信号処理技術でリカバーするもので、F16などの小絞りの状態でも、細部のシャープネスや立体感が得られるとしている。この技術は同時発表の「FUJIFILM X20」でも採用されている。

 なお、X100は一般的なベイヤーフィルターの有効1,230万画素CMOSセンサーだった。X100Sでは、X100から約25%の解像力向上、約30%以上の低ノイズ化を実現したという。最高感度はISO6400。拡張モードでISO25600。

 14bit RAWでの記録も今回から可能になった。

 X-Trans CMOS IIセンサーには、位相差画素が配置された。これにより、コントラストAFのみだったX100と異なり、撮像面位相差AFが使用可能になっている。撮像面位相差AFとコントラストAFの切替は、被写体やシーンにあわせて自動で切り替わるタイプ。富士フイルムではこれを「インテリジェントハイブリッドAF」と呼ぶ。

 最高AF速度は約0.08秒(ハイパフォーマンス時)。富士フイルムでは「世界最速」としている(4/3型以上の撮像素子を搭載したデジタルカメラにおいて)。同条件でのX100は0.22秒。

 また、新開発のEXRプロセッサーIIの搭載による反応性の良さも特徴としている。例えば、起動時間は約0.5秒、シャッタータイムラグは約0.01秒、撮影間隔は約0.5秒。フル解像度での連写は最大6コマ/秒となっている。

 X100の象徴でもある「ハイブリッドビューファインダー」も継承した。ただし144万ドットだった電子ビューファインダー(EVF)の画素数が236万ドットとなり、より高精細な表示となっている。光学ファインダー(OVF)時の特徴はX100と同じ。

 液晶モニターのスペックは変わらず、2.8型約46万ドット。

 その他ユニークな機能としては、位相差画素を利用した「デジタルスプリットイメージ」が挙げられる。本来、AF用に利用される位相差画素だが、そこから得られた画像を写し出し、マニュアルフォーカス機能の一つとして位置づけたもの。左右にずれた像を手動で一致させることにより、ピントを合わせる。銀塩カメラのファインダーにおけるスプリットイメージを思わせる機能で、マクロや絞り開放での撮影時に有利という。

 また、フォーカスピーキング機能も表示が改善された。

 レンズはX100と共通。35mm判換算で焦点距離35mm相当となる単焦点のフジノン23mm F2を搭載する。両面非球面レンズや高屈折率ガラスなどを含む6群8枚で構成。

 最短撮影距離は10cm。9枚羽根の円形絞りを採用する。3絞り相当のNDフィルターも継承した。

 なお、X100用のワイドコンバージョンレンズ「WCL-X100」も利用できる。装着することで、35mm判換算で焦点距離28mm相当の画角になる。

ワイドコンバージョンレンズ「WCL-X100」を装着できる

 X-Pro1から導入された機能も取り入れられている。フィルムシミュレーションにはプロネガ2種が追加。さらに多重露出撮影も可能になった。これはX-Pro1と同様、光学ファインダー内で多重露出の状況を確認しながら撮影できるという点が他社製品にない特徴。

 また、「トイカメラ」「ミニチュア」「ポップカラー」といった一連の「アドバンスドフィルター」も内蔵した。

 動画機能は、X100の1,280×720/24fpsから1,920×1080/60fpsに格上げされた。像面位相差AFの採用により、動画時のAFもスムーズになったという。

 外観はX100とほぼ同様。ただし細かく見ると、背面のRAWボタンがQボタン(クイックメニューを呼び出す)になっているほか、ビューファインダー切替レバーの形状が変わり、前面には「S」のエンブレムが追加。また、シャッタースピードダイヤルの「A」と「4000」の間隔も若干広がっている。露出補正ダイヤルのトルクも変更したという。

  記録メディアは、SDXC(UHS-I対応)/SDHC/SDメモリーカードおよび内蔵メモリー。撮影枚数は約330枚。

 外形寸法は126.5×74.4×53.9mm。質量は約445g。

 専用アクセサリーとして、レザーケース「LC-X100S」(オープン価格)を用意する。

【2013年1月8日】記事初出時「最高感度はISO640。」と記載しておりましたが、正しくは「最高感度はISO6400。」です。

【2013年1月8日】店頭予想価格を追記しました。

(本誌:折本幸治)