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カメラの存在意義を問うシグマ、創業に立ち返り「SIGMA」ロゴを刷新

技術を芸術にまで高めて創作に貢献 シグマ財団の設立も

シグマ代表の山木和人氏

株式会社シグマは2月24日(月・祝)、新しいビジュアルアイデンティティ(VI)を公開した。同日から運用を開始している。

発表会が行われたシグマ本社
国内外から多くの関係者が詰めかけた

「SIGMA」ロゴを刷新

「SIGMA」のワードマーク(ロゴ)を刷新したほか、創業時から使用していたシンボルマークを再解釈して新たな形にした。

新ワードマーク
新シンボルマーク

新しいVIは新製品、Webサイト、ソーシャルメディア、製品パッケージなどで順次適用される。

同日にシグマ本社で開催された新製品発表会で同社代表の山木和人氏は、2012年に発売した最初のArtレンズ「35mm F1.4 DG HSM」に触れた。

「このレンズは高性能な交換レンズの新基準を打ち立て、高い評価を得た。しかし、それ以来技術は大きく進化し、撮影デバイスとしてスマートフォンが欠かせないものとなるにつれて、カメラというものの存在意義が問われるようになった」

こうした問題意識を提起。シグマとしてどのように貢献できるかを考えたという。

35mm F1.4 DG HSM

結果、「創業時の精神に立ち返るべき」との結論に達し、山木氏の父親でシグマ創業社の山木道広氏の言葉「技術はそれ自体が芸術である」を引き合いに出した。

その上で、「技術を芸術の域に高めることで写真家に最高の製品を提供する。これによって写真や映像表現の芸術に貢献できる。新VIは写真の想像力を解き放つ使命を反映した」と新VI策定の経緯を話した。

シグマ創業者の山木道広氏
「人は幸せなときに写真を撮る。私たちは人々の幸せな瞬間のために働いている」という道広氏の言葉で、家業を継ぐことを決意したという子供時代の山木和人氏(左)

今回「スマートフォンがカメラとして広く使われる中、カメラの存在意義を見直した」製品が同日発表された新ミラーレスカメラ「Sigma BF」でもある。

「Sigma BF」(上)は新ワードマークになっている。下の「SIGMA fp」は従来のワードマーク
Sigma BFのパッケージは大きく新シンボルマークが入っている
同日に発表された新レンズの1つ「Sigma 16-300mm F3.5-6.7 DC OS|Contemporary」も新しいロゴになっている

アート活動を推進する「シグマ財団」を設立

また、アートへのコミットメントを前進させる取り組みとして、「シグマ財団」の設立準備を進めていることも明らかにした。山木氏は「世界の写真文化の発展に貢献し、良い作品との出会いを多くの人に提供する」とその目的を語った。

最初のプロジェクトとして、写真家のジュリア・ヘッタ氏とソルヴェ・スンズボ氏の作品による写真集を制作するという。

ジュリア・ヘッタ氏とソルヴェ・スンズボ氏

ヘッタ氏はファッションとアートフォトグラフィーを中心に活動しているフォトグラファー。シグマ唯一の生産拠点がある会津の人々や街並みを撮影したとのことだ。

ジュリア・ヘッタ氏の作品

またファッションフォトグラファーおよび映像作家のスンズボ氏は、自身が撮影した花の写真を元にAIで作品を生成。新たな芸術作品を模索している。

ソルヴェ・スンズボ氏の作品

これらのプロジェクトの詳細は後日紹介するとしている。

山木氏は「VI刷新やシグマ財団の設立など新しい取り組みはあるが、私たちのやるべきことはベストオブベストの製品を届けること。これは変わらないので心配しないで欲しい」と締めくくった。

シグマは1973年から全ての製品を会津で作っている。「これからも変わらず”Made in Aizu”を続けていく」(山木氏)

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。