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iPadに対応した左手デバイス「TourBox Elite Plus」を夏コミで見てきた
2024年8月23日 18:10
コミックマーケット104の会場で、TourBox Tech社の新製品「TourBox Elite Plus」が展示された。
コミックマーケット(通称:コミケ)は、同人誌即売会として知られる世界最大規模のイベントで、東京ビッグサイトで年2回(夏と冬)開催される。漫画やアニメ、ゲームなどのポップカルチャーファンが集まり、近年ではクリエイター向け製品を扱う企業の出展も増えている。
そんな中コミケに展示されたのが、左手デバイスの「TourBox Elite Plus」。今回、iPadOS対応という進化を遂げた新製品について、担当者に話を聞いた。
iPadOSへの対応が最大の進化
TourBox Elite Plusの最大の特徴は、iPadOSに対応したことである。担当者は「iPadでのお絵描きや画像編集に全く新しいワークフローをもたらします」と語り、その意義を強調した。
発売日は未定だが、9月1日(日)から予約を開始する。価格は従来品「TourBox Elite(直販価格:4万5,860円)」より若干高くなる見込みだが、明確な金額は決まっていないとのことだ。カラーはトランスルーセントのみとなる。
製品自体は従来の「TourBox Elite」と同様で、操作性も変わらない。ノブやダイヤル、ボタンなどを手の感覚だけで操作できるよう工夫されており、ディスプレイから目を離すことなく作業できる操作性を重視した設計となっている。
「例えば、Adobe Lightroomでのパラメーター調整を、マウスやキーボードを使わずに片手で完結できるんです」と担当者。デモ用に使われていたイラスト制作ソフトを操作する限りでは、確かに視線を画面から離すことなく、スムーズに操作できた。
iPadでもAdobe PhotoshopやLightroom、Affinity Photoなどの写真編集ソフトが多く配布されている。そういったソフトと組み合わせることで、写真編集の作業をより効率化できる。
ソフトウェアで機能拡張
iPadでの操作コマンドは、PCなどと同様に専用アプリで登録可能だ。各ダイヤルに操作ショートカットが埋め込めるため、自身のワークフローに合わせてカスタマイズできる。
iPadのイラスト制作ツール「Procreate」のジェスチャー操作に対応する世界初のデバイスだという。イラスト制作においては、キャンバスの回転やズームを直感的に操作できる点で評価されることが多いとのこと。
イラストレーターが主流だが、写真家や動画編集者も
同デバイスのユーザー層は、イラストレーターが60〜70%を占める一方で、残りを写真家と動画編集者が半々で占めているという。
海外、特にアメリカでは動画クリエイターが多く、iPadで使用したいとの要望も多かったとのこと。
写真用途においては、セレクトからレタッチ作業まで幅広く活用できるといい、特にレタッチ作業ではペンタブレットと組み合わせて使われるケースが多いそうだ。既存ユーザーからは、ディスプレイから目を離さずパラメーターや各種コマンド入力など、操作できる点が高く評価されているとのことで、この特徴は写真編集ワークフローの効率化に大きく貢献していると考えられる。
TourBoxのラインアップ
今回発表された「TourBox Elite Plus」のほか、「TourBox Elite」「TourBox NEO」「TourBox Lite」の計4種類をラインアップ。ユーザーのニーズや予算に合わせて選択できるよう設計されている。Elite PlusとEliteは高機能モデルで、NEOはミドルクラス、Liteはエントリーモデルとして位置づけられているようだ。
今後の展開と期待
TourBox Tech社の担当者は、「ハードウェアの基本形状は維持しつつ、ソフトウェアで機能を追加していく方針です」と今後の展開を語った。写真編集ソフトとの連携強化など、フォトグラファーのニーズに応える機能拡張が期待される。
同社のコミケ出展は今回で2回目。TourBoxの利用ユーザー層の過半数はイラストレーターが占めるが、写真家や動画クリエイターにも注目されつつある。多様なクリエイティブ分野での活用を見据え、今後も様々な場でプロモーションを展開していくという。
iPadで創作活動を行うフォトグラファーおよびビデオグラファーにとって、TourBox Elite Plusはよい選択肢となりそうだ。