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富士フイルムの若手応援企画「ポートフォリオレビュー/アワード 2022」受賞者決定。レビュワーの選評も公開

レビュワー(講評する講師)を担当した写真家4名

富士フイルムは10月11日、富士フイルムフォトサロンの若手写真家応援プロジェクト「ポートフォリオレビュー/アワード 2022」のアワード受賞者4名を発表した。

45歳以下の写真家・写真家を志す人から作品を募集し、プロ写真家からのアドバイスと、優秀作品に対して写真展開催の機会を提供する企画。

大西みつぐ氏、尾仲浩二氏、高砂淳二氏、広川泰士氏がレビュワーとして、事前審査を通過した44名の参加者に対してレビューを実施。一次選考を通過した12名の新たな作品でファイナリストレビューを行い、10月にアワード受賞者4名が決まった。

アワード受賞者は、各推薦写真家、企画者、富士フイルムのサポートを受けながら、3月に開催するフジフイルム スクエアでの個展に向けて準備を進める。

アワード受賞者紹介(引用。五十音順・敬称略)

Vol.1:藏澄侑希「LOST」

(c)Yuki Kurazumi

ADHD(注意欠如・多動症)の僕は子どもの頃よく迷子になった。
いつの間にか33歳になったが、この歳になっても失踪願望が捨てきれず、変わらず何かに気をとられると、他のことを忘れて空想に浸ってしまう。
観光地の中で、迷子になってしまったときに感じた世界を探した。

<大西みつぐ選評>
記録性に根ざしながらも危うさがあり、社会的な不安を反映しているように見える。
非日常的な物の見え方が面白く、見る人がさまざまなイメージを持てる点を評価した。
写真に奥深さがあり、視覚的な冒険をも感じさせてくれる。

Vol.2:杉村友弘「友に生きる」

(c)Tomohiro Sugimura

イルカと出合うために伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)に15年間通った。
イルカからコミュニケーションの取り方を学び、遊び、会話しながら、ともに泳いで友だちになった。
時には、イルカに撮影の邪魔をされたこともあった。
イルカが私だけに見せてくれたさまざまな表情や仕草、行動を切り取った。

<高砂淳二選評>
イルカを愛し、御蔵島に通い続けて15年。一緒に遊ぶように、しっかりとコミュニケーションを取りながら撮影しているのが良く分かる。イルカとの距離感が良く、なかなか出会えないような、貴重なシーンに圧倒された。

Vol.3:水野景子「“Tokimeki”moment」

(c)Keiko Mizuno

“Just around the corner”角を曲がると、見えてくる景色。
コンパクトなフィルムカメラを片手に、ヨーロッパやオセアニアを中心に世界を旅した。
この10年間で、思うままに歩いて巡り逢った風景や、街角で出逢った人々の姿。
私の心が“ときめいた瞬間”をフィルムに収めた。

<尾仲浩二選評>
作品にまとまりがあり、ドラマを感じる。また、素直で楽しさが伝わってくる。
興味あるものをドキドキして撮る、という姿勢も良い。
展示を作りあげていくことを考えると、10年分の作品量にも期待できる。

Vol.4:李 一鳴「日没前に」

(c)LI YIMING

東京の下町を走る都電荒川線。
その周辺を歩きながらそこで暮らす人たちにカメラを向けた。
地元の方との対話の中で気が付くこともある。
時代の流れの中で、もしかするとこの路線もいつか廃線となってしまうかもしれない。住人も変わっていくだろう。
それでも、線路も人も、今、この時間に存在したという歴史は変わらない。

<広川泰士選評>
6×6判のフィルムカメラでとらえた、正統派ポートレート写真。
写っている人の表情や、コミュニケーションの取り方が良い。オーソドックスでありながら、ゆったりと撮っていることを感じさせ、作品から作者の人柄も伝わってくる。

協力:富士フイルム株式会社

本誌:鈴木誠