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富士フイルムの若手応援企画「ポートフォリオレビュー/アワード 2022」受賞者決定。レビュワーの選評も公開
2022年10月14日 09:00
富士フイルムは10月11日、富士フイルムフォトサロンの若手写真家応援プロジェクト「ポートフォリオレビュー/アワード 2022」のアワード受賞者4名を発表した。
45歳以下の写真家・写真家を志す人から作品を募集し、プロ写真家からのアドバイスと、優秀作品に対して写真展開催の機会を提供する企画。
大西みつぐ氏、尾仲浩二氏、高砂淳二氏、広川泰士氏がレビュワーとして、事前審査を通過した44名の参加者に対してレビューを実施。一次選考を通過した12名の新たな作品でファイナリストレビューを行い、10月にアワード受賞者4名が決まった。
アワード受賞者は、各推薦写真家、企画者、富士フイルムのサポートを受けながら、3月に開催するフジフイルム スクエアでの個展に向けて準備を進める。
アワード受賞者紹介(引用。五十音順・敬称略)
Vol.1:藏澄侑希「LOST」
 ADHD(注意欠如・多動症)の僕は子どもの頃よく迷子になった。 
 いつの間にか33歳になったが、この歳になっても失踪願望が捨てきれず、変わらず何かに気をとられると、他のことを忘れて空想に浸ってしまう。 
 観光地の中で、迷子になってしまったときに感じた世界を探した。 
 <大西みつぐ選評> 
 記録性に根ざしながらも危うさがあり、社会的な不安を反映しているように見える。 
 非日常的な物の見え方が面白く、見る人がさまざまなイメージを持てる点を評価した。 
 写真に奥深さがあり、視覚的な冒険をも感じさせてくれる。 
Vol.2:杉村友弘「友に生きる」
 イルカと出合うために伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)に15年間通った。 
 イルカからコミュニケーションの取り方を学び、遊び、会話しながら、ともに泳いで友だちになった。 
 時には、イルカに撮影の邪魔をされたこともあった。 
 イルカが私だけに見せてくれたさまざまな表情や仕草、行動を切り取った。 
 <高砂淳二選評> 
 イルカを愛し、御蔵島に通い続けて15年。一緒に遊ぶように、しっかりとコミュニケーションを取りながら撮影しているのが良く分かる。イルカとの距離感が良く、なかなか出会えないような、貴重なシーンに圧倒された。 
Vol.3:水野景子「“Tokimeki”moment」
 “Just around the corner”角を曲がると、見えてくる景色。 
 コンパクトなフィルムカメラを片手に、ヨーロッパやオセアニアを中心に世界を旅した。 
 この10年間で、思うままに歩いて巡り逢った風景や、街角で出逢った人々の姿。 
 私の心が“ときめいた瞬間”をフィルムに収めた。 
 <尾仲浩二選評> 
 作品にまとまりがあり、ドラマを感じる。また、素直で楽しさが伝わってくる。 
 興味あるものをドキドキして撮る、という姿勢も良い。 
 展示を作りあげていくことを考えると、10年分の作品量にも期待できる。 
Vol.4:李 一鳴「日没前に」
 東京の下町を走る都電荒川線。 
 その周辺を歩きながらそこで暮らす人たちにカメラを向けた。 
 地元の方との対話の中で気が付くこともある。 
 時代の流れの中で、もしかするとこの路線もいつか廃線となってしまうかもしれない。住人も変わっていくだろう。 
 それでも、線路も人も、今、この時間に存在したという歴史は変わらない。 
 <広川泰士選評> 
 6×6判のフィルムカメラでとらえた、正統派ポートレート写真。 
 写っている人の表情や、コミュニケーションの取り方が良い。オーソドックスでありながら、ゆったりと撮っていることを感じさせ、作品から作者の人柄も伝わってくる。 
協力:富士フイルム株式会社

