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キヤノン、暗闇でもフルHDカラー撮影できるSPADセンサーを開発。“暗視用カメラに革新”
光の軌跡も捉える“100億分の1秒”の時間分解能
2021年12月23日 09:00
キヤノンは12月15日、13.2×9.9mmの320万画素SPADセンサーの開発を発表した。12月11日から開催されている半導体デバイス分野の国際学会「IEDM」の採択論文において、非常に競争率が高いLate News Papers枠に選出されたという。
CMOSセンサーが「溜まった光の量を測定する仕組み」(電荷集積)であるのに対し、SPADセンサーは「画素に入ってきた光の粒子(光子)を1つひとつ数える仕組み」(フォトンカウンティング)を採用。1つの光子が雪崩のように増倍することで大きな電気信号を出力する仕組みのため、CMOSセンサーのように読み出し時のノイズが入らず、暗所でも被写体を鮮明に撮影したり、対象物との距離を高速・高精度に測定できるという。
同社では2021年3月に、SPADセンサーとして世界初という100万画素タイプを開発発表。高解像度と、“光の軌跡をもとらえることができる時間分解能”(100ピコ秒=100億分の1秒)という高速撮影を活かし、AR・VRや自動運転のキーデバイスとして期待がかかると発表していた。
今回新たに開発したSPADセンサーは、画素内に光子を反射させる画素構造により、星の出ていない闇夜より暗い0.002luxの環境下で、320万画素の動画撮影を実現するという。
SPADセンサーは自動運転、医療用の画像診断機器、科学計測機器などに用いるセンサーとして幅広い活用が見込まれるため、積極的に外販していくという。なお同社では、2022年後半からセキュリティ用ネットワークカメラ製品に搭載するSPADセンサーの生産を開始するという。暗視や監視用のカメラにSPADセンサーを用いることで、明るい場所で肉眼で見た色と同じ色で対象物の動きを捉えられるようになるとしている。