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ソニー、スマホ用SPAD距離センサーを商品化。低照度AFや背景ボケ処理など向上

“業界最高の光子検出効率”

スマートフォン用SPAD ToF方式距離センサー「IMX611」(ソニーセミコンダクタソリューションズのWebサイトより。以下同)

ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は3月6日、SPAD ToF方式距離センサー「IMX611」をスマートフォン用に商品化すると発表した。サンプル出荷時期は2023年3月の予定。サンプル価格は税込1,000円。

スマートフォン用のSPAD距離センサーとして業界最高という28%の光子検出効率(940nm)を実現した、1/8.1型・有効2.3万画素のSPAD画素構造を持つToFセンサー。これにより、低照度環境でのAF性能の向上、被写体の背景ボケ処理、広角カメラや望遠カメラのシームレスな切り替えといったスマートフォンカメラの撮影体験を広げるという。

また、3次元空間認識、ARオクルージョン(ARで表現した物体を、実在の物体の後ろにあるように隠した状態)、モーションキャプチャー・ジェスチャー認識など、VRヘッドマウントディスプレイやARグラスの機能も進化するとしている。

ARオクルージョン
ARマップ

ToF(Time of Flight)センサーは、光源から対象物に反射して戻ってくるまでの光の飛行時間を検出することで距離情報を取得する。940nmは、スマートフォン用のレーザー光源として広く普及している波長。本製品は微細な画素サイズながら開口率を確保したほか、光の入射面に凹凸を設けて入射光を回折させることによる吸収率の向上や、信号の増倍現象を効率的に発生させる工夫を施している。

センサーは積層構造。裏面照射型のSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素を用いた画素チップを上部に、信号処理回路を搭載したロジックチップを下部に配置。それらをCu-Cu(カッパーカッパー)接続で積層し、一画素ごとに導通する。

SPAD ToF方式距離センサー構造図
本誌:鈴木誠