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世界全体でカメラ出荷台数・金額が伸び悩み。9月のCIPA統計より

国内市場ではレンズ一体型カメラが孤軍奮闘

デジタルカメラ【Worldwide】出荷数量月間推移 出典:一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)は11月1日、2021年9月のデジタルカメラ生産出荷実績(同工業会統計)を公開した。世界全体で台数・金額ともに前月から伸長した一方で、昨年同月比では大きく減少した。特に国外向け市場の不調が目立つなか、国内向け市場ではレンズ一体型カメラの好調が目立つ結果となった。

概況

9月のデジタルカメラ総出荷台数は70万4,702台(前月比107.6%)、金額が416億8,042万6,000円(前月比113.0%)で、前月からわずかに伸長した。昨年同月比では台数69.7%・金額80.4%を記録。過去2年の統計では夏から秋口にかけて大きく伸長する傾向を示していたが、今月の結果では微増にとどまった分、昨対比で大きく差が広がった格好だ。

カメラ種別ごとに見ていくと、ミラーレスカメラが台数26万3,191台(前月比104.5%)、金額281億1,606万6,000円(前月比117.5%)だった。昨年同月比では台数72.3%・金額81.7%を記録している。

一眼レフカメラは台数が16万6,629台(前月比108.8%)、金額は73億5,651万1,000円(前月比107.7%)を記録した。昨年同月比では台数69.0%・金額85.1%だった。

レンズ一体型カメラは台数が27万4,882台(前月比110.0%)、金額が62億784万9,000円(前月比100.9%)を記録。昨年同月比では台数67.8%・金額70.6%で、台数および金額で3割前後の減となった。

国内の状況

国内向け市場ではデジタルカメラ全体の出荷台数は11万5,754台(前月比135.1%)、金額は42億7,069万1,000円(前月比126.8%)を記録した。昨年同月比では台数100.9%・金額72.0%だった。昨対比で台数はほぼ同数をキープしたものの、金額では3割近くの減少となった。

好調ぶりを見せたのはレンズ一体型カメラ。台数は7万5,689台(前月比149.5%)で、金額は14億1,436万4,000円(前月比149.2%)と大きく伸長。昨年同月比でも台数120.7%・金額114.6%を記録。7月の統計で好調だった分、8月の統計では低調となっていたが、今月は国内向け市場のカメラ種別で唯一の好調となった。

ミラーレスカメラは台数が3万2,904台(前月比119.6%)、金額が24億7,063万1,000円(前月比120.4%)を記録。前月比では好調だったが、昨年同月比では台数81.4%・金額60.0%と大きく減少した。

一眼レフカメラは台数が7,161台(前月比94.6%)で、金額が3億8,569万6,000円(前月比104.5%)で、台数で前月比を割った。昨年同月比では台数62.0%・金額67.0%で、ミラーレスカメラと同様に大きく減少する結果となった。

国外の状況

国外向け市場では、デジタルカメラ全体の出荷台数は58万8,948台(前月比103.5%)、金額が374億973万5,000円(前月比111.6%)を記録した。前月比でわずかに伸長した一方、昨年同月比では台数が65.7%・金額81.4%と大きく沈んだ。前月の統計では、日本市場の不調を国外向け市場の好調でカバーしていたが、今月の統計では逆転する結果となった。

概ね好調を維持したのは中国向け市場のみ。台数が10万8,562台(前月比100.4%)で金額が106億6,540万4,000円(前月比111.5%)を記録。昨年同月比では台数が88.8%と落ち込んだものの、金額では124.6%と伸長した。カメラ種別で見るとミラーレスカメラの金額が昨年同月比133.9%と特に好調だった。

欧州向けおよび米州向け市場では、台数・金額ともに前月比では微増となっているものの、昨年同月比では大きく減少する結果となった。欧州向け市場は台数が20万18台(前月比101.3%)、金額が102億2,076万2,000円(前月比113.4%)を記録。昨年同月比では台数65.6%・金額79.3%で、特にレンズ一体型カメラの台数が昨年同月比で56.6%と大きな落ち込みを見せた。

米州向け市場では台数17万645台(前月比107.8%)で、金額が101億4,527万6,000円(前月比109.4%)を記録。昨年同月比では台数53.7%・金額61.1%となっており、とくにミラーレスカメラの台数が昨年同月比で46.2%と5割以上の減少となった。

本誌:宮本義朗