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写真の季節や時間帯を操る新機能「風景ミキサー」とは。デスクトップ版Photoshopに搭載

「風景ミキサー」を適用しているところ。Adobe MAX 2021ライブ配信映像より

アドビのクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2021」が10月27日に始まった。10月28日の2日間にわたり、PhotoshopやLightroomなどの各種アプリケーションの活用やテクノロジーに注力した内容が配信される。ここではVer.23.0にバージョンアップしたデスクトップ版Photoshopの強化ポイントをお伝えしていきたい。

バージョンアップのポイント

メジャーアップデートされたPhotoshop。主だった更新内容を整理すると以下のようになる。

・オブジェクト選択ツールの強化
・ニューラルフィルターの強化
・Illustratorデータとの連携強化

オブジェクト選択ツールの強化

オブジェクト選択ツールは、画像内の選択したいオブジェクトをエリアとして指定すると自動で対象となるオブジェクトが識別されて自動的に選択範囲を作成してくれるツール。

今回のバージョンアップでは新たに「オブジェクトファインダー」機能が盛り込まれ、画像内の類似したイメージを自動で認識し、複数オブジェクトの選択指定がよりスピーディーに行えるようになった。

オブジェクト選択ツールで対象部分の指定をしたところ
オブジェクトファインダー機能により別オブジェクトが認識されたことが青のハイライト表示で示されている

また同ツールおよび機能で選択したオブジェクトは、レイヤーメニューから「すべてのオブジェクトをマスク」を指定することで個別レイヤーにすることも可能。生産性を大きく向上させることができる機能強化ポイントだとしている。

このオブジェクト選択ツールと次項のニューラルフィルターの強化では、AI技術を活用したAdobe Sensei技術が用いられており、現状で検出に対応していないオブジェクトに関しては今後も機械学習モデルの改良により対応の幅をひろげていくと案内している。

ニューラルフィルターの強化

2020年にベータ版として実装されたニューラルフィルターが強化され、表現の幅がひろがった。画家のタッチを模した効果「アーティストスタイル」から北斎やゴッホなどのタッチを選ぶことができる。

元画像
効果を適用した状態

風景ミキサー機能

ニューラルフィルターではベータ版として「風景ミキサー」、「カラーの適用」、「色調和」の3つの機能が追加された。

配信では特に風景ミキサー機能にフォーカスを当てた紹介があった。同機能では元の写真に対して四季の移ろいや空をゴールデンアワーの夕焼けにするなど、時間帯に関わる調整が可能となっている。

元画像
適用した状態。山肌の雰囲気が大きく変化するとともに、空表情も同時に変化している

また写真中の人物などはマスク処理をすることで新たに生成されたシーンと調和するように自動で調整されるという。以下のデモ内容では山肌の雰囲気が大きく変わっているものの、空と雲は元画像から大きく変化していないことが見てとれる。

Adobe Illustratorデータとの連携強化

このほか、アプリケーションをまたいだ連携機能も強化されている。Illustratorで作成したレイヤーデータをPhotoshop上で編集する場合もコピーアンドペーストでレイヤー情報が保持されるようになり、一枚画像としてではなくレイヤー別の調整が可能になった。デザインワーク等では特に重宝される機能となりそうだ。

Illustratorの編集画面
PhotoshopにコピーしたIllustratorのデータをペーストしているところ。貼りつける形式も用途に応じて選ぶことができる
ペーストが完了した状態。レイヤー情報がいきていることが確認できる

本誌:宮澤孝周