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TASCAM、キヤノン・富士フイルム・ニコンとの協業でXLRマイクアダプターを開発中。デジタル音声伝送も

ティアック株式会社は8月18日、TASCAMブランドのミラーレスカメラ用XLRマイクアダプター「CA-XLR2d」を開発中だと発表した。発売は2021年中を予定しているという。

キヤノン株式会社および富士フイルム株式会社、株式会社ニコンの3社との協業で開発を進めているというマイクアダプター。キヤノン用、富士フイルム用、アナログインターフェース用の各キットによる展開がアナウンスされている。

製品は各社のデータ通信または接続インターフェースにあわせた設計とすることで、音声伝送の品質確保や親和性に配慮。特にキヤノンと富士フイルムの対応カメラではホットシューを介して電源供給も可能になるとしているほか、デジタルでの音声収録にも対応できると案内している。

また、製品はADコンバーターやマイクプリアンプを備えているため、XLR端子をもつマイクからダイレクトかつ音質を劣化させることなく音声と映像の同時収録が可能になるとしている。

XLR入力端子は2系統の搭載がアナウンスされているほか、アナログ出力端子も搭載。カメラのマイク入力からの音声伝送(カメラモード)と、ヘッドホンによるダイレクトモニター(ヘッドホンモード)の2モードの使用が可能だとしている。

開発の背景に関して、同社はミラーレスカメラが高画質な動画撮影用途に使用されている中で、それらの多くは業務用マイクで多く採用されている端子(XLR端子)やマイクプリアンプを備えていないことから、動画撮影時における収録音声の品質向上には限界があると指摘。また「近年、成長を続ける動画配信市場において、音声の品質は視聴者のエンゲージメントを左右する大きな要因のひとつとして広く認知されており、映像の高画質化と共に音声の高音質化を追求する動画クリエーターがプロ・アマ問わず増加しています」として、音質の劣化や別途XLR端子をもつレコーダーを用いることなく、高品質な音声収録を可能にする製品実現に向けて、本機の開発に着手したと説明。カメラメーカー各社のノウハウとTASCAMブランドの音声収録技術を結集した製品になるとして意気込みを見せている。

キヤノン用キット:CA-XLR2d-C

ホットシュー接続に関してキヤノンと設計・評価面で協業し、高い親和性を実現したとしており、デジタル音声伝送とカメラからの電源供給に対応。また、業務用デジタルビデオカメラ「XF605」のマルチアクセサリーシュー接続への対応も予定しているとして、カメラ本体が有している2系統のXLR入力と組み合わせることで最大4系統のXLR入力が可能になるとしている。このほか、開発が報じられているEOS R3による動作確認も予定しているという。

このほか、製品にはバッテリーボックス(単3形電池×2本)とコールドシューマウントアダプターを同梱。アナログ出力とカメラのマイク入力をオーディオケーブルで接続することで従来型機種においてもアナログ音声伝送が可能になると案内している。

富士フイルム用キット:CA-XLR2d-F

キヤノンと同じく、富士フイルムのデータ通信にあわせた設計とすることでデジタルでの音声伝送とカメラからの電源供給に対応。高い親和性を実現したとしている。動作確認予定機種はX-T4およびX-S10。

このほか、バッテリーボックスとコールドシューマウントアダプターが同梱されるため、アナログ接続による音声収録にも対応できるとしている。

アナログインターフェースキット:CA-XLR2d-AN

ニコンとの共同企画開発により実現。アダプター側のアナログ出力とカメラのマイク入力双方をオーディオケーブルで接続することでアナログ音声伝送に対応する。動作確認予定機種はZ 7II、Z 6II、Z 7、Z 6、Z 5、Z fc、Z50。同社では幅広いカメラユーザーに高音質による収録環境を提供できる製品だと案内している。

本誌:宮澤孝周