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シグマ、ミラーレス専用設計の中望遠マクロ「105mm F2.8 DG DN MACRO|Art」

超音波モーター搭載 Lマウント/Eマウント用をラインナップ

株式会社シグマは、「SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO」を10月23日に発売する。希望小売価格は税別9万5,000円。Lマウント用とソニーEマウント用をラインナップする。

ミラーレス専用設計のArtレンズとして初めてのマクロレンズ。同社ではこうした中望遠画角のマクロレンズを、「表現の幅広さや、撮影しやすいワーキングディスタンスなどといった特長から、プロフェッショナルの基本機材として選択されることも多い」と、その用途や選択のポイントを説明している。

本レンズでは至近端から無限遠まで高いシャープネスを保ち、カメラ側の収差補正機能で対処できない軸上色収差を重点的に補正することで、繊細な描写と色にじみのないクリアな画質の両立を目指したとしている。周辺光量やボケ味にも留意したという。

鏡筒にはフォーカスリミッターのスイッチや、任意の機能を割り当てられるAFLボタンを装備。カメラ側の顔/瞳優先AFへの最適化のほか、AF駆動にHSM(超音波モーター)を採用したことで、高精度で静粛なAFを達成したという。絞りリングのクリックをオンオフするスイッチと、絞りリングロックスイッチも備えている。

レンズ構成は12群17枚。最短撮影距離は29.5cm。等倍までの撮影が可能。絞り羽根は9枚(円形絞り)。

最大径×全長は74×133.6mm、重量は715g(数値はLマウント用)。フィルター径は62mm。

防塵防滴機構や撥水防汚コートも採用。Lマウント用は別売の専用テレコンバーターTC-1411(1.4倍)、TC-2011(2.0倍)も併用でき、ワーキングディスタンスをそのままにより高倍率のマクロ撮影を可能とする。

レンズ本体に付属するフード「LH653-01」
レンズ構成図

追記:ライブ配信で商品解説。従来機種との比較も

9月30日21時から、シグマ代表取締役社長の山木和人氏が登壇するライブ配信が実施された。

シグマの山木社長。要望が多ければこのTシャツの商品化を検討するという。

いわゆる"コロナ禍"において同社レンズも注文が減ったが、一眼レフカメラ用レンズ「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」(2011年発売)だけは需要が安定していたという。2020年4月〜6月における同レンズの売り上げでは、特に欧米において対前年で伸長したと図示。ロックダウンなどで外出できない人々が、自宅や庭でマクロ撮影を行っていたことが背景にあったという。

レンズの注文が減ったりキャンセルになったり、というケースもあったが、一眼レフ用の105mmマクロだけは需要が安定していたという。
左がミラーレス専用の新レンズ「105mm F2.8 DG DN MACRO|Art」。右は一眼レフ用の「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」。

新しい105mmマクロは、従来の105mmマクロより特に近距離側の性能が向上。"9年間の技術革新"と説明した。

最短撮影距離(赤が低周波、緑が高周波)
無限遠

こうした高性能が必要になる理由として、本レンズではテレコンバーターが使えることを挙げた。テレコンバーターを装着すると収差も拡大されるため、レンズそのものの収差を抑えておく必要があるのだという。なお、同社からソニーEマウント用のテレコンバーターは発売されていない。

Lマウント用はテレコンバーターに対応。
テレコン使用時の仕様。
収差が拡大される例を示した。105mmマクロで撮影した画像ではないという。
1.4倍クロップ
2倍クロップ。赤や緑っぽい軸上色収差が目立つ。
収差の発生例

収差を抑えるためとして、レンズ構成も(色収差が出やすかったという)従来の105mmマクロから変更。AFスピードには不利だが、色収差を減らすために1つのフォーカス群を動かすシンプルな構造にしたという。

色収差抑制を優先した構成のため、AFスピードは"爆速"ではないという。
開放での点光源ボケも比較。右の従来レンズと比べて口径食が減っている。
Lマウント用のみの機能として、SIGMA USB DOCKを介したピントリングの感度調整も紹介。
鏡筒側面スイッチの機能。
本誌:鈴木誠