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【CP+2019】5点のコンセプトモデルを展示しているキヤノン

スマートフォンの“苦手”や難しい部分をカバー

コンセプトモデルのひとつ「ソトアソビカメラ」

2月28日よりパシフィコ横浜にて開催されている映像機器の展示会CP+2019、キヤノンは先日発表された35mm判フルサイズミラーレスカメラEOS RPなどの製品のほか、5つのコンセプトモデルを展示していた。

スマートフォンが苦手とする部分を補完するカメラ

1つ目は「ソトアソビカメラ」と名付けられたカメラ。その名のとおり、アウトドアでの使用を前提に開発されているとのことで、防水性能と2mからの落下衝撃に耐えるタフネス仕様となっている。

ファインダーを廃したユニークなつくりとなっており、画角の確認はカラビナを兼ねているボディの枠で行うとのこと。

想定している利用イメージは、撮影はしたいけれどもスマートフォンだと、ちょっと心配になるような、アウトドアシーン。友だちとアウトドアに出かけるような場面で、ロフトなどで簡易的なカメラを購入している10代くらいの若者に訴求したい考えだ。

価格面もファインダーを廃しているため廉価を実現。おおよそ100ドル前後を見込んでいるという。

このほか、ボディ外装パネルの一部を取り替えることができる。着せ替えジャケットという呼称で、ユーザーが自由にカスタマイズできるとのこと。イベントなどとのコラボレーションもしていきたいとしている。

着せ替えをしているところ。

2つ目は、Multifunctional Cameraという領域のモデル。コンセプトは「望遠レンズを手軽に楽しんでもらう」というもの。

100mmと400mmの望遠域をカバーするレンズを搭載しており、スポーツや観劇などのシーンでの利用がおすすめとのこと。電子ズームを用いた望遠域の拡大も可能になるとのこと。先に紹介した「ソトアソビカメラ」と同じく、スマートフォンが苦手とする望遠域の撮影を補完する役割を担うモデルとして位置付けられるだろう。

もちろん、スマートフォンとの連携機能も有している。レンズがある頭側は取り外しが可能で、スマートフォンを液晶モニターとして使うこともできる。また実装の有無は未定ながら、スマートフォンを介してネットワークから情報をもってくることで、スポーツシーンなどでは、選手の識別などもできるようになるのではないかと、その名が示すとおり、多彩な使い方を示唆していた。

ファミリー層に訴求するモデルも

3つ目は、インテリジェントコンパクトカメラと名付けられたモデル。自動撮影とパン・チルトに対応したカメラが特徴となっている。

「撮り逃しを防止する自動撮影」が趣旨のモデルで、音声での認識にも対応。このほか笑顔、ピースサインを認識して、自動で撮影をおこなうという。

撮影範囲は、横方向は360度、縦方向は、110度。

今回展示されていたモデルは、開発世代でいうと3世代目。それまでのコンセプトモデルから、アウトドアでの使用もみこんで進化させているとのことだ。

4つ目は、Kids Mission Camera。「ゲーム感覚」をキーワードにしたモデルとのことで、子どものころからカメラに親しんでもらいたいとのねらいがある。想定している年齢は10才くらいとのことだ。

背面の液晶モニターに色や形といったミッションを表示して、子どもが提示された内容にマッチした撮影をおこなうことができるという。子どもが楽しく写真を撮ることはもちろん、親にもコミュニケーションツールとして利用してもらいたい、という考え。

子どもは、親のもっているものを使いたがる面もあるため、本格的なカメラだと壊してしまわないか心配なシーンで使って欲しいとのことで、カメラのデザインも本格的なカメラの形にあわせているのだとか。

同社のスマホ専用ミニフォトプリンター「iNSPiC」との連動機能もある。

その場にいるような視点を生成できるシステム

5つ目は「自由視点映像生成システム」。スポーツイベントや観戦などで、その場にいるような臨場感や没入感のある映像を提供できるというもの。

スタジアムを例にその仕組みを教えてもらった。説明員によれば、フィールドを取り囲むようにして、複数代のカメラを設置(デモ機の映像では半面で30台を設置したとのこと)し、それぞれのカメラから取得した映像を組み合わせることで、3次元の映像を生み出しているという。

この3次元空間の中では、仮想カメラを自由に動かして映像を楽しむことができるとのこと。実際に備えつけられていた端末で操作しているところを見せてもらったところ、サッカーの場面ではシュートを決める選手の視点やゴールキーパーの視点が、それぞれ再現されていた。

これにより、視聴者は自分の好きな選手をさまざまな視点から追いかけることができるようになるとのこと。それぞれの選手を識別することも可能となる模様だ。

放送向けの色が濃いように思われるが、視聴体験だけでなく、スポーツ分析や全方位からの映像保存といったニーズ、映像演出などの場面での利用も見込んでいるとのことだ。

ここまでの映像となれば、通信インフラ面が気になってくるところ。このあたりは、どのように届けることができるか考えていきたいとしていた。

会場では実際に端末の操作が可能。デモ機は2台用意されていた。

本誌:宮澤孝周