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キヤノン「EOS 9000D」「EOS M6」など新製品発表会レポート

デザインそのまま機能アップの「PowerShot G9 X Mark II」も

左からキヤノンマーケティングジャパン株式会社 取締役 常務執行役員 イメージングシステムカンパニー プレジデント 八木耕一氏、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長の坂田正弘氏、キヤノン株式会社 執行役員 イメージコミュニケーション事業本部長の戸倉剛氏

キヤノンは2月15日、同日発表されたデジタルカメラ新製品の発表会を開催した。

エントリークラスの一眼レフカメラ「EOS 9000D」「EOS Kiss X9i」、標準ズームレンズ「EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM」、本格志向のミラーレスカメラ「EOS M6」、高画質志向のコンパクトカメラ「PowerShot G9 X Mark II」、高倍率ズーム機「PowerShot SX430 IS」、ベーシックなコンパクトデジタルカメラ「IXY 210」「IXY 200」などが並んだ。各機種の詳細は既報記事を参照いただきたい。

EOS 9000D / EOS Kiss X9i

中級機EOS 80Dに迫る本格性能を特徴とするエントリー機。中でもEOS 9000Dは本格志向ユーザー向け、EOS Kiss X9iはより簡単な操作で撮れるファミリー向けと位置づける。

EOS 9000D
EOS Kiss X9i

ともに基本性能を向上させ、ファインダー撮影ではAF測距点の増加、情報表示を可能なインテリジェントビューファインダーなどを盛り込んだ。また、ライブビュー時のAF速度がAPS-Cセンサー搭載のレンズ交換式デジタルカメラで世界最速だとアピールする。

ファインダー撮影、ライブビュー撮影のそれぞれで高機能なAFをアピール
EOS 9000Dの操作系は、本格志向のユーザー向けに上位機のようなスタイル
新UIを用意し、既存デザインと切り換え可能とした
EOS Kiss X9i(左)とEOS 9000D(右)
EOS 9000DとEOS Kiss X9i用に登場したBluetoothリモコン「BR-E1」。赤外線方式と比べ、全方位からリモート操作できる点が特徴

新しい標準ズームレンズの「EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM」は、一眼レフカメラを手にするハードルのひとつであるサイズに注目。従来モデルより小型化した。新開発ISユニットで手ブレ補正効果を向上させたほか、STM採用による静止画/動画の双方におけるAFの使い勝手向上もアピールする。

EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM

EOS 9000DとEOS Kiss X9iはともに4月上旬発売、価格はオープン(以下同)。

EOS 9000Dの直販予定価格はボディ単体が税別10万7,500円、ダブルズームキットが税別14万5,000円、18-135mmレンズキットが税別15万5,000円。

EOS Kiss X9iの直販予定価格はボディ単体が税別9万7,500円、ダブルズームキットが税別13万5,000円、18-135mmレンズキットが税別14万5,000円。

会場にてライブビューAFをSTMレンズ3本で試したが、いずれもシャッターボタンを半押しした瞬間に、映像が切り替わるように合焦した。一気に最終合焦まで完了する様子は、一眼レフのファインダーで位相差AFを使っている感覚にも近いと言える。今回の新機種と用意されていたSTMレンズでの組み合わせでは、一眼レフのライブビュー機能も積極的に使いたくなる快適さになってきたなと感じられた。

EOS Kiss X9i+EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM
EOS 9000D+EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM

EOS M6

2015年発売のEOS M3後継機。マニュアル撮影を楽しめる本格モデル。EOS M3に比べ、基本性能を向上させている。外付けEVFも新たに小型軽量モデルが加わった。

EOS M6(シルバー)

4月上旬発売。直販予定価格はボディ単体が税別9万2,500円、15-45mmレンズキットが税別10万7,500円、18-150mmレンズキットが税別13万5,000円、ダブルズームキットが税別13万円。シルバーカラー限定のEVFキットは各1万円アップ。

ブラックのEOS M6に18-150mmレンズとEVFを装着
シルバーのEVFはキット限定カラー。シルバーボディは、各キットにプラス1万円でEVFがつく
ボディケースも用意される

PowerShot G9 X Mark II

1型センサーを搭載するポケットカメラ。前機種PowerShot G9 Xの外観をそのままに、新エンジンのDIGIC 7搭載により「ピクチャースタイル」や流し撮り機能を追加。Bluetoothも新搭載している。2月23日発売。直販予定価格は税別6万500円。

PowerShot G9 X Mark II(シルバー)
PowerShot G9 X Mark II(ブラック)
ソフトケースCSC-G9BWは、直販価格税別9,500円を予定
同寸ボディのPowerShot G9 Xでも使える

PowerShot SX430 IS

45倍ズームレンズを搭載する小型の高倍率モデル。高倍率ズームレンズでスマートフォンで撮れない写真を撮影し、スマートフォンからシェアして楽しんでほしいと紹介された。2月23日発売。直販予定価格は税別3万2,500円。

PowerShot SX430 IS

IXY 210 / IXY 200

日付写し込み機能をオンオフする「DATE」ボタンや、背面の一部ボタンを無効化して誤操作を防ぐ「安心オート」機能が搭載された、ベーシックなコンパクトデジタルカメラ。IXY 210のみWi-Fi/NFC機能も搭載する。ともに2月23日発売。直販予定価格はIXY 210が税別2万500円、IXY 200が税別1万5,500円。

IXY 210
IXY 200

来年の出荷台数は前年比微増を見込む

発表会では、デジタルカメラ国内市場についてキヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長の坂田正弘氏が説明。2016年におけるレンズ交換式カメラの出荷台数は、後半に需要回復が見られ前年超え。来年度は前年比で微増を見込むという。

レンズ交換式カメラの市場規模
2016年はレンズ交換式カメラの上位機が多数登場した

また、出張撮影マッチングサービス「OurPhoto」(アワーフォト)への出資など、カジュアルフォトの需要拡大を目指すトピックが紹介された。

出張撮影マッチングサービス「OutPhoto」への出資
4月1日にオープンするLEGOLAND Japan(名古屋)のオフィシャルマーケティングパートナー
発表会場にもレゴの展示があった

デュアルピクセルCMOS AF搭載の拡大、ネットワーク機能を強調

キヤノン株式会社 執行役員 イメージコミュニケーション事業本部長の戸倉剛氏は、新製品の特徴と技術を紹介。新製品のレンズ交換式カメラに共通する特徴のひとつに「デュアルピクセルCMOS AFの全面展開」があった。

同システムはイメージセンサーの全画素を撮像だけでなく位相差AFにも使えるというもので、ライブビューの高速AFおよびなめらかな動画AFに貢献するとアピール。デュアルピクセルCMOSはEOS 70Dで初搭載された。位相差画素をまばらに配置した「ハイブリッドCMOS AF」の位相差AFと比べ高精度が得られ、ほとんどのレンズで最終合焦まで位相差AFのみで行えるためにスピードで有利となる。

画素の一部を位相差画素とした「ハイブリッドCMOS AF」に対し、全画素を位相差AF用としても使える点が同社「デュアルピクセルCMOS AF」の特徴

ネットワーク機能は、Wi-Fi/NFCに加え、EOS M5で初搭載のBluetoothを継承。カメラ側の操作なしでスマートフォンと接続できるようにした。Wi-Fiボタンも同社一眼レフカメラで初装備。

ネットワーク機能の概要
Bluetoothを新搭載
Wi-Fiボタンは同社一眼レフ初の装備
アプリもUIを進化

画質面では、最新の画像処理エンジンDIGIC 7と、有効約2,420万画素のAPS-Cセンサーの組み合わせにより、回折補正を利用したシャープな画像、好ましい肌のトーンが得られ、常用の最高感度はISO25600を謳う。

スマートフォンとカメラを使い分けるニーズも高く

新製品導入の狙いについて、キヤノンマーケティングジャパン株式会社 取締役 常務執行役員 イメージングシステムカンパニー プレジデント 八木耕一氏が説明した。

2016年もキヤノンがレンズ交換式カメラシェアNo.1
「ミラーレスも早急にナンバーワンを目指す」(八木氏)
同社レンズ交換式カメラの構成比で、ミラーレス約4割となった。一眼レフのエントリー機は全体の49%を占める
ミラーレスおよびエントリー機の購入動機
その活用シーン。ミラーレスカメラやエントリー機を買うユーザーの71%が新規購入者だという。
SNS利用スマートフォンユーザーのレンズ交換式カメラ使用意欲。スマートフォンとカメラを使い分けるニーズも高く、同社はチャンスと捉えているという

スクリーンでは、各機種の想定ユーザーを踏まえた作例も示した。

2月23日に開幕するCP+2017のブースイメージ
2017年はEOS誕生30周年。会場に初代EOS 650が展示されていた。

本誌:鈴木誠