オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー

ストリートスナップを続けることは、自分自身と向き合うことにつながる…川音真矢さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F1.2・1/125秒) / ISO 1250

オリンパスPROレンズをお使いの写真家にインタビューする連載「オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー」。今回はハードテイストなモノクロスナップが印象的な川音真矢さんに、作品のこと、撮影のこと、そして「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」について話を聞きました。

◇   ◇   ◇

川音真矢(かわおと しんや)
1980年生まれ。神奈川県出身。2016 年頃より東京の都市を中心にストリート写真を撮り始める。都会に暮らす人々の表情を通して、その街のアウトラインを探るべく日々撮影をしている。東京のイマを切り取るストリート雑誌「VoidTokyo」のメンバー。Magnum Photography Awards 2017 Finalist、ソニー World Photography Awards 2017 一般公募部門ストリート写真カテゴリー Shortlist など。Ash Shinya Kawaoto photography


◇   ◇   ◇

現在のお仕事を教えてください。

友人と一緒に立ち上げたインターネット関連の会社を経営しています。

写真とはあまり接点のない分野ですが、企業のWebサービスのコンサルティングやWebサイト制作・スマートフォン向けのアプリケーションなどを開発しています。

比較的時間の融通が利く仕事のため、時間があるときは日没まで写真を撮り、夕方から仕事を始めて明け方になって寝るということを繰り返しています。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/500秒) / ISO 1000

写真との出会いは?

元々は仕事の息抜きに何か趣味が欲しいなと思ってカメラを購入したことがきっかけです。

主にポートレートを中心に写真を撮っていましたが、2年くらい前、気まぐれで表参道に行ってストリートスナップを撮ったんです。

それがすごく楽しくて「あ、自分が撮りたいものってこういうものなのかな?」って強く思ったことを覚えています。

それから一気にストリート写真にのめり込んでしまい、今では自分のライフスタイルの中心になってしまいました。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/500秒) / ISO 1200

影響を受けた写真家・写真集など。

好きな写真家はたくさんいますが、Robert Frank、William Kleinなどの写真をよく見ています。

中でもRobert FrankのTHE AMERICANSはストリートスナップを撮るうえで一つの軸となった写真集なので定期的に見返しています。

またパーソナルな問題を取り上げている写真家が個人的に好きで、Diane Arbusの写真が好きです。

それ以外では撮影方法の勉強のため、Philip-Lorca diCorciaやBruce Gildenなどの写真もよく見ています。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/1,000秒) / ISO 1600

川音さんにとってストリートスナップとは?

良くも悪くも自分自身が写真(作品)に出てしまうものだなと感じています。

同じ街の同じ場所でも、自分の心境によって見えるものが変わってきます。今まで見えてなかったものが目に入ってきたり、逆に今まで見えていたものが目に入らなくなったり。

今まで大して気にもしていなかったのに、「最近なんかやたらと鳩が気になるな」とか(笑)

恐らくそういう変化の一つ一つには理由があって、写真を通してそれらと向き合っていく必要があると思っています。

ストリートスナップを撮り続けるということは、自分自身と向き合う過程なのかなと最近考えています。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/10秒) / ISO 1250

作品中、個性的な人物(被写体)が印象に残ります。どのように出会うのでしょう。

これはもう「たくさん歩くしかない」としかいえないのですが、魅力的と感じる人物(被写体)を探しながら歩き回っています。

1回の撮影で大体4〜5時間くらい写真を撮ることが多いです。その中で「これだ!」という瞬間に出会えるのは1、2回程度です。

運の要素が非常に強い中で、少しでもいい作品が残せる確率を上げられるように、効果的に光があたる場所を覚えておくほか、人の流れや混み具合が時間帯によってどのように変化するをなるべく把握して撮影しています。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/10秒) / ISO 1250

モノクロでの作品にこだわるわけは?

主に被写体の表情を強調させるためにモノクロにしています。

日本の都市の景観はあまり統一性がない場所が多いです。例えばビルの外観には全く合っていない真っ赤な看板があったり、そのまた横に別の色の派手な看板があったりと非常に派手です。

カラーにすると背景の色の主張が強くなり、メインとなる被写体のインパクトが弱まってしまうことがあるため、これを回避するためにモノクロを選択しています。

雑多なところが日本の都市の魅力でもあると思いますが、被写体の表情を重視した写真を撮ることが多いため今のところそのようにしています。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/10秒) / ISO 1250@@

ブレを使った動きのある作風が特徴的です。どのようなテクニックを?

夜は、ストロボを使用したスローシャッターで撮影をすることが多いです。

これは絞りをF11、シャッタースピードを1/10秒など遅めに設定し、被写体にストロボを当てる撮影方法です。

そのため光の当たった被写体は動きが止まって見え、ストロボの当たっていない背景はブレます。

こうすることで、背景はブレるものの被写界深度は深いため、都市の様子がよく分かるようになります。

またメインとなる被写体の露出も適正にすることができます。

OLYMPUS E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO / マニュアル露出(F11・1/10秒) / ISO 1250

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROを使った印象を教えてください。

ハイライトからシャドウ領域までの階調性と解像感に非常に魅力を感じました。特にモノクロ作品制作のうえで重要となる黒の再現性が素晴らしく頼もしいです。

またフォーカスリングを手前に引くだけで、すぐにマニュアルフォーカスに切り替えることのできる「マニュアルフォーカスクラッチ機構」がとても便利です。

撮影時に状況に応じてAFとMFを使い分けているため、これは本当にありがたいです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
焦点距離:17mm(35mm判換算34mm相当) / レンズ構成:11群15枚(スーパーEDレンズ1枚、EDレンズ3枚、ED-DSAレンズ1枚、EDAレンズ1枚、スーパーHRレンズ1枚、非球面レンズ1枚) / 防滴処理:防塵防滴機構 / フォーカシング方式:ハイスピードイメージャAF(MSC) / 最短撮影距離:0.2m / 最大撮影倍率:0.15倍(35mm判換算0.3倍相当) / 絞り羽枚数:9枚(円形絞り) / フィルターサイズ:62mm / 最大径×全長:68.2×87mm / 質量:390g

今後のテーマ、めざすことは?

今取り組んでいるテーマのため、日々渋谷で撮影を行っています。
少なくとも2020年の東京オリンピックまでは刻々と変化し続ける街の様子を撮り続けていきたいと思います。

ストリートスナップで良い作品を残すためには、たくさん歩いてたくさん撮ることだと思っています。

自分の場合、ストリートを撮り始めてからまだ2年程度のため、とにかくひたすら撮り続けて経験を積んでいきたいです。

◇   ◇   ◇

デジタルカメラマガジン連載告知

デジタルカメラマガジン2018年5月号の連載「PRO'S SIGHT PROが見た風景」では、川音さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROのレビューが掲載されています。あわせてご覧ください。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部