インタビュー
キヤノンの「PhotoJewel S」でワンランク上のフォトブックを!
航空写真家・チャーリィ古庄さんが試してみた
2019年12月26日 12:00
キヤノンのフォトブック作成サービス「PhotoJewel S」パソコン版アプリが11月に強化され、これまでよりさらに本格的なフォトブックの作成に対応しました。
「光沢紙」と「半光沢紙」の2種類だった用紙に、「ファインアート紙」と「ラスター紙」が追加。さらに完全に平らに開くことができる「レイフラットタイプ」も選択できるようになるなど、高品質なフォトブック作成が可能になっています。
そこで航空写真家のチャーリィ古庄さんにリニューアルした「PhotoJewel S」を使ってもらい、自身の作品で1冊のフォトブックを作ってもらいました。チャーリィ古庄さんは、「PhotoJewel S」にどのような感想を持ったのでしょうか。
チャーリィ古庄
写真家・冒険写真家・フォトジャーナリスト。ロサンゼルスの航空アカデミーに留学、航空機操縦資格を取得。航空マネージメントを学び、ロサンゼルスベースの米系航空会社にて運航業務全般、航空機売買などを手掛ける。
日本帰国後は国内航空会社、米系航空会社に勤務した後、航空写真家として独立。以降、雑誌各誌に自ら撮り歩いた世界100以上の国や地域の航空、観光写真を発表、国内外の航空会社、空港会社、旅行社などの宣伝、広報制作、映画制作、などにも携わり、TV・ラジオ出演も行う。
過去に乗った航空会社の数は200社以上、訪れた空港の数は約500ヶ所、という経験を活かして、「日本退役機追跡紀行」「デザインで選んだ世界のエアライン100」「航空会社の選びかた」「格安航空会社の選びかた」「ジャンボジェットの時代」「世界おもしろヒコーキ旅」「世界ヒコーキ紀行」「世界のビックリ空港探訪記」「エアライン年鑑」「World Jet Tour(写真集)」「世界の旅客機補獲標本」「ビックリ飛行機でゆく世界紀行」など、著書も多数あり。
世界で最も多くの航空会社に乗った人としてギネス記録を持つ。
撮りためた作品を高画質のフォトブックに
——リニューアルした「PhotoJewel S」で、チャーリィ古庄さんにフォトブックを作っていただきました。テーマは「世界の空港」ですね。
以前出版した写真集と同じように、世界の空港をテーマにフォトブックを作成してみました。撮りためた作品を使い、50ページにまとめています。
——タイトルの「Sunshine Days」にはどんな思いを込めたのですか?
順光のオーソドックスなシチュエーションで撮影するのが好きなのです。逆光や遮光、夜景に逃げず、順光で良い写真を撮るのは意外と難しいものです。背景やタイミングなど、いろいろなものが写ってしまうからこそ、多くの要素を揃える必要があります。だから順光にこだわっているのかもしれません。
——完成したフォトブックはいかがですか?
まず、この大きさ・判型でしっかりした表紙のフォトブックがつくれるのは嬉しいですね。個人でこれだけのものできることに驚きました。海外でよく写真集を買うのですが、それと同じような判型ですね。妻に実物を見せたら「これいくらするの……?」と心配されたほど(笑)。表紙も厚みがあって高級感があります。
——「PhotoJewel S」は、キヤノンの業務用のプリンター「DreamLab 5000」でプリントされています。画質はいかがでしょう。
色が非常にきれいですね。一つのデータから大きく見開きにレイアウトされたプリントも、十分にシャープです。完成するまで解像度が足りるかどうか心配でしたが、実物を見てみたらまったく問題ない仕上がりでした。空の青もよく出ているし、地面の暗いところもしっかり再現されている。機体だけでなく、背景がちゃんと描写されているのが嬉しいですね。
このクオリティならポートフォリオとして使うこともできますよね。最近はタブレットに写真を入れてポートフォリオとして使う方もいますが、作品性を見せるプレゼンならこちらの方が説得力があるでしょう。
——ところで飛行機の写真をプリントする上で、重要な点はなんでしょうか?
ひとつは階調ですね。最近はコントラストや彩度を上げ過ぎて、翼の下のシャドウ部が潰れてしまった写真を多く見ます。飛行機のボディは丸いので、ハイライトとシャドウの表現がどうしてもべたっ、となりがちです。なので、階調を残すのは大事なのです。今の飛行機の機体は白が多いことも考えると、ハイライトの粘りが効いているかどうかは特に重視します。
その点、「PhotoJewel S」は階調の表現がとても豊かです。いまにもこの飛行機が飛んでいきそうな勢いがあります。パソコンで操作している時はもっと色が派手に出過ぎてしまうかも、と思いましたが、実際のフォトブックを見ると、画面で見たままの色が出てきて驚いています。
——5種類選べる用紙から「ラスター」を選んだ理由はなんでしょうか?
光沢紙ほど反射せず、質感を表現するのにラスターがベストだと思いました。写真の相性や親和性はとてもいいと思います。マット系の用紙より発色が良く、それでいて本を開いた時のテカリは少ない。非常に落ち着いた雰囲気になります。光沢系でだけでなく、ラスターやファインアートを選べるのは良いですね。
——チャーリィ古庄さんの写真教室でも生徒さんがプリントをされています。飛行機を撮影する人にラスターは人気があるのですか?
最近はそうですね。とはいえ、光沢も以前から人気があります。作品によってどの紙が合うかどうかは変わるので、僕の講座ではいくつかの種類の紙を試して貼り出します。その中で一番合う紙を選んで、最後に大きくプリントしています。
——フォトブックで使用した作品ですが、プリントのため新たにRAW現像などされたのでしょうか?
特に今回のフォトブックのために画像処理はしていません。もともと写真集を作るためにストックしてあり、ある程度の調整は事前にしていました。そういう意味ではあまり気負うことなく、手軽にできましたね。
レイフラット仕上げで迫力ある見開き表示に
——今回のフォトブック「Sunshine Days」はどういった手順で作成されましたか?
まずはテーマを決めて、候補になる写真をピックアップしました。そこから実際に載せる写真をさらに選定していきます。選定は、アプリを立ち上げて操作しながら進めていきましたね。撮影地で分けたり作風で選んだりして、徐々に固めていきました。フォトブックを制作しているアプリ上で、写真の使用/未使用が見えるので、それも助かりました。
レイアウトの際に補助線が出て、上下左右とも写真のラインをまっすぐに揃えられるのも嬉しいです。変な曲がり方をすると気持ち悪いですからね。
——アプリの操作感はいかがでしたか?
直感的に操作できるので、特に難しさは感じませんでした。写真が重くてフリーズするなんてこともありません。また、ページの背景部分に薄く写真を入れたり、デザインパターンを選べるのも、「PhotoJewel S」の楽しみだと思います。本格的な作品集としても使えますが、遊びごころを効かせることで、カジュアルな思い出のアルバム作成にも使えそうです。
——レイフラット仕上げができることで、写真のレイアウトも大胆にできそうです。
これがすごいですよね。継ぎ目なく大きく開けるので、見開きに配置した写真がさらに迫力が増して見えます。特に飛行機は横に長い被写体なので、大きく横に広げられるインパクトは大きいです。
——「PhotoJewel S」は写真を自動的に並べてくれる「自動レイアウト機能」も売りのひとつです。プロの写真家に聞くのもあれですが、使われましたか?
最初にすべての写真を自動レイアウトで取り込んでから、結果的に手動で調整しました。「PhotoJewel S」は配置の仕方も背景デザインにも自由度があるので、自動レイアウトの後に、手動で並べるおもしろさがあります。
——写真の配置や余白については、どのように意識しましたか?
飛行機写真は基本的に横位置で縦位置では撮りません。それを前提にしたレイアウトになります。「PhotoJewel S」の中にすでにいくつかのレイアウトパターンがあるので、それをベースに少しアレンジを加えていくような感じでしょうか。用意されているパターンはプロが作った見やすい形なので、それを元にするのがいいと思います。
あとは見せたい写真を大きくする、サブカットとメインカットとの調和を考えて配置するなどでしょうか。サブカットは箸休めのような要素もあるので、遊びごころのある写真が生きると思います。今回のフォトブックのテーマでいうと、飛行機そのもののというよりは、空港の看板や空港の中、レストランの情景などです。
本格的なフォトブックは「撮る励み」になる
——というわけで1冊作ってただきましたが、「PhotoJewel S」への感想はいかがでしょう。
写真集は売れない時代になっています。制作するのにコストもかかるし、書店に置く場所もありません。自費出版で大量に作るのも難しいですし。このサイズはなおさら作るのは難しいでしょう。
そう考えれば、比較的リーズナブルな値段でここまで質の高いフォトブックを作れるのは非常に魅力的です。写真を撮る人にとって、撮る励みになるのではと思います。
僕も自分の生徒に「自分の写真はプリントして向き合ってください」とよく言います。このフォトブックはその集大成と言えるかもしれません。いい加減な気持ちで撮っているとプリントした時にバレてしまいますし、逆に言えばクオリティのある写真が集まればフォトブックの質も上がります。
また、同じような写真ばかりでは変化をつけられないので、バリエーションや構成を考えて撮影するようになるでしょう。撮り方に工夫が出ると思います。さらにはプリントする時の紙質まで考えたりと、検討材料が圧倒的に増えるわけです。
そうした過程を楽しんだ上で、壮大な組写真を編成していくのが、フォトブックの楽しみだと思います。ぜひいろいろな方に試してほしいですね。
制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
撮影:曽根原昇