写真家が教える とっておきの「桜」撮影スポット

第3回:岡山県・奈良県・滋賀県・岐阜県・長野県の桜

醍醐桜/淡墨桜/吉野山/又兵衛桜/彦根城/高遠城址

撮影:館野二朗(2022年4月7日撮影)
EOS 5D Mark III/EF70-200mm F2.8L IS II USM/200mm/マニュアル露出(0.4秒・F10)/ISO 100

今年も桜前線が日本を北上します。今から撮影を楽しみにしている読者もいらっしゃるのではないでしょうか。

この短期集中連載では、桜の季節になると全国を旅して撮影する写真家・館野二朗さんに、おすすめの撮影ポイントを紹介していただきます。皆様の参考になりましたら幸いです。(編集部)

醍醐桜(岡山県真庭市)

小高い丘の上に圧倒的な存在感を放っている醍醐桜。今では全国的にその名が広まっており、シーズンになると沢山の写真愛好家や観光客や訪れる。

この木は丘の斜面にあるが、木を一周する木道が整備されているので、好きな角度から撮影ができる。木が大きいので少し離れた位置からでも撮影可能だ。

シーズン中は昼も夜も関係なく混雑するのでマナーよく撮影してほしい。付近には私有地などもあるので、撮影のために立ち入ったりしないように。


逆光で照らされた花が、光を透過して淡く輝いた。強い光は枝の間に配置することで光の強さを調整できる
撮影:館野二朗(2014年4月11日撮影)
EOS 5D Mark III/EF24-70mm F2.8L II USM/31mm/マニュアル露出(1/13秒・F14)/ISO 250/WB: 4800K
この日はあまり良い条件ではなかったが、お昼過ぎに急に雪が舞ってきて、この日最大のシャッターチャンスとなった
撮影:館野二朗(2014年4月6日撮影)
EOS 5D Mark III/EF70-200mm F2.8L IS II USM/80mm/マニュアル露出(1/80秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K

淡墨桜(岐阜県本巣市)

日本三大桜の一つにも数えられている桜で、樹齢約1,500年の巨樹である。太い幹が支える枝は横に広がり、横にも大きく見え迫力がある。満開から散り際になると淡い墨色になることから、この名前が付いたという。

桜がある場所は広い公園にもなっているので、割と自由なアングルで撮影できる。


名前の由来でもある淡墨色を意識して、日没後に撮影している。暗い中に浮かび上がる花がイメージ通りに再現できた
撮影:館野二朗(2021年3月30日撮影)
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/58mm/マニュアル露出(10秒・F8)/ISO 500/WB: オート
時折強い風が吹く厄介な撮影日だったが、逆に風を利用することで面白い写真が撮れた
撮影:館野二朗(2021年3月30日撮影)
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/42mm/マニュアル露出(30秒・F6.3)/ISO 250/WB: オート

吉野山(奈良県吉野郡吉野町)

言わずと知れた桜の名所。その歴史は古く、ここでは山桜が御神木とされ、訪れる人が献木として植えていたものが今にも続いている。

現在は山や谷を3万本の山桜が埋め尽くすほど。下千本、中千本、上千本と標高の低い順から咲いていくが、タイミングが良ければすべてが重なる時もあるので、開花情報などをまめにチェックしてから行くとよい。


吉野山中腹辺りの中千本から上千本方向を撮影したもの。吉野山がピークの時は、どこを撮っても絵になる
撮影:館野二朗(2022年4月9日撮影)
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/42mm/マニュアル露出(1/160秒・F5.6)/ISO 400/WB: オート
同じく中千本からの撮影だが、今度は下千本を見下ろしている。ここは深い谷になっているので、朝や夕方はコントラストを効かせた撮影ができる
撮影:館野二朗(2022年4月9日撮影)
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/42mm/マニュアル露出(1/100秒・F11)/ISO 400/WB: オート

又兵衛桜(奈良県宇陀市)

吉野山に訪れたら、こちらの又兵衛桜も近いので是非訪れてもらいたい。樹齢300年ほどの巨樹で、周りのロケーションも良く、写真愛好家にも人気の桜だ。

石垣の際に植えられている桜は、根本から四方に広く枝先を伸ばし、石垣を包み込んでいるような佇まいで美しい。

最近では、天の川を背景に撮影するのも流行っている。


全体像を撮影するために、離れた位置から望遠レンズで狙った。朝日が当たった瞬間がコントラストもあり、シャッターチャンスだ
撮影:館野二朗(2022年4月10日撮影)
EOS R5/RF70-200mm F4 L IS USM/151mm/マニュアル露出(1/25秒・F8)/ISO 100/WB: 4900K
こちらは同じ位置から日没後に撮影している。ブルートーンになり幽玄な雰囲気になった
撮影:館野二朗(2022年4月9日撮影)
EOS R5/RF70-200mm F4 L IS USM/156mm/マニュアル露出(1/2秒・F5.6)/ISO 400/WB: 4500K

彦根城(滋賀県彦根市)

日本にある城で国宝に指定されているのは、たった5城だけ。その中の一つに彦根城がある。春になれば1,000本以上の桜が咲き広い城内を彩る。

天守閣やお濠の石垣など、桜との様々な組み合わせのバリエーションが撮影できる魅力的な場所だ。桜まつりも行われ、期間中はお濠のライトアップもあるので夜桜の撮影も楽しめる。


場内にある着見台から桜を入れて天守が撮影できるポイント。枝ぶりの良い場所を探して撮影するといいだろう
撮影:館野二朗(2017年4月13日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/61mm/マニュアル露出(1/30秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K
ライトアップされたお堀でリフレクションを生かした撮影ができる。シンメトリーになるよう意識して撮影した
撮影:館野二朗(2017年4月13日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/35mm/マニュアル露出(20秒・F3.5)/ISO 100/WB: オート

高遠城址(長野県伊那市)

日本三大桜の名所の一つ高遠城址公園の桜。シーズンには1,500本以上のタカトオコヒガンザクラが咲き乱れ園内を埋め尽くす。

ここの桜はやや小ぶりだが花数が多く、色も濃いピンク色なので写真映えする桜だ。

夜になればライトアップもあり、ライトが当たった桜はより濃いピンク色となって楽しませてくれる。


高遠城址公園から程近いところに伊那市役所があり、その裏手の道からこのような街並みと一緒に撮影できる
撮影:館野二朗(2022年4月13日撮影)
EOS R5/レンズ名: RF70-200mm F4 L IS USM/161mm/マニュアル露出(13秒・F8)/ISO 400/WB: 4800K
園内にある撮影スポットの一つ、鏡池。名前の通り水面に桜が映り込む。人が少ない朝一番がオススメ
撮影:館野二朗(2022年4月13日撮影)
EOS R5/レンズ名: RF15-35mm F2.8 L IS USM/15mm/マニュアル露出(1/8秒・F11)/ISO 100/WB: 4900K
館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合う。手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から本格的に撮影活動を開始。以降現在まで全国を行脚し、独創的な視点で撮影をおこなっている。