写真家が教える とっておきの「桜」撮影スポット

第2回:大分県・愛媛県・京都府の桜

臼杵城跡/湯布院・大分川の桜並木/開山公園/積善山三千本桜/伊根の舟屋 海蔵寺の桜/桜と天橋立

撮影:館野二朗(2022年4月7日撮影)
EOS R5/RF70-200mm F4 L IS USM/110mm/マニュアル露出(0.5秒・F4.5)/ISO 100

今年も桜前線が日本を北上します。今から撮影を楽しみにしている読者もいらっしゃるのではないでしょうか。

この短期集中連載では、桜の季節になると全国を旅して撮影する写真家・館野二朗さんに、おすすめの撮影ポイントを紹介していただきます。皆様の参考になりましたら幸いです。(編集部)

臼杵城跡(大分県臼杵市)

臼杵城址には約600本もの桜木が植えてあり、県内有数の桜の名所になっている。城の西側にある鐙坂周りや大門櫓あたりが、城址と桜を合わせて撮影しやすく絵になるポイントだ。他にも桜の木は多いので、自分なりのポイントを探すのが面白い。

桜祭り期間中はライトアップも行われ、夜桜の撮影も楽しめる。


門の内側から逆光に照らされた桜を撮影した。門が暗く落ちることで、額縁のように見えることを狙っている
撮影:館野二朗(2020年4月3日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF70-200mm F2.8L IS II USM/80mm/マニュアル露出(1/80秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K
ライトアップされた桜のピンクと、空の深い藍色が城壁にマッチして、ファンタジーな仕上がりになった
撮影:館野二朗(2020年4月3日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/24mm/マニュアル露出(3.2秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K

湯布院・大分川の桜並木(大分県由布市)

由布院の中心を流る大分川の御幸橋から城橋の間には、桜並木が続いている。間近に見える由布岳を背景に、土手に咲いた菜の花と桜並木が楽しめる絶景スポットだ。菜の花の咲き方にばらつきがあるので良いポイントを探して撮影して欲しい。

由布院駅から徒歩10分程度とアクセスも良い。


この時も、菜の花の咲き方にばらつきがあったので、ローアングルで手前の花をぼかしてばらつきを隠している
撮影:館野二朗(2020年4月4日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/42mm/マニュアル露出(1/1,600秒・F2.8)/ISO 100/WB: 4900K

開山公園(愛媛県今治市)

開山は愛媛県の伯方島にある山で、頂上には公園がある。春になると約1,000本もの桜が咲き誇り、山は薄ピンク色に染まる。

特に朝日が昇ってくる時間帯が美しく、春霞の中に瀬戸内海の島々が浮かび上がり、淡い光が桜を照らす幻想的な風景を見ることができる。

しまなみ海道が通っているので、伯方島へのアクセスは良い。


春霞のかかった島々。逆光で撮ると明るい桜と露出が合わないので、ハーフNDフィルターを使用している
撮影:館野二朗(2020年4月3日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/67mm/マニュアル露出(1/20秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K
この写真は朝日とは逆の方向を撮影したもの。展望台から撮影すると360度見渡せる。島々を結ぶしまなみ海道に架かる橋を入れてみた
撮影:館野二朗(2020年4月3日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/24mm/マニュアル露出(1/8秒・F11)/ISO 100/WB: 4800K

積善山三千本桜(愛媛県越智郡上島町)

この岩城島も瀬戸内海の島の一つで、伯方島と同じように積善山の頂上に公園がある。桜はというと数が多く、その数3,000本と言われている。

頂上の展望台からは桜に彩られた山並みと、瀬戸内海を360度に一望できる。特に西側斜面の雰囲気が良く、夕日が沈む時間帯がおすすめだ。

この島は橋で繋がっていないので、船で渡る必要がある。


写真は展望台から西側を見たところ。稜線と斜面に桜が咲き、その向こうに瀬戸内海へ沈む夕日を望むことができる
撮影:館野二朗(2020年4月5日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF16-35mm F4L IS USM/16mm/マニュアル露出(1/10秒・F11)/ISO 200/WB: 4800K
夕日が沈み30分ほど経った頃に撮影。淡い光が桜を包み込んで妖艶な雰囲気を高めてくれた
撮影:館野二朗(2020年4月5日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF16-35mm F4L IS USM/17mm/マニュアル露出(3.2秒・F8)/ISO 320/WB: 4800K

伊根の舟屋 海蔵寺の桜(京都府与謝郡伊根町)

日本海に面した伊根湾にはたくさんの舟屋があるが、舟屋と桜が撮影できるポイントはここだけ。その桜は舟屋が立ち並ぶ少し奥の高台にあるお寺のもので、大きく離れた場所からでも見ることができる。湾の対岸にある駐車場からが撮影するのがベストだろう。

夕暮れからは、海蔵寺ご住職の厚意でライトアップも行われている。


立ち並ぶ舟屋から突き出るように咲く桜。なんとも絵になる風景で風情がある。舟屋と桜の配置を色々変えて撮影するといいだろう
撮影:館野二朗(2020年4月8日撮影)
EOS R5/RF70-200mm F4 L IS USM/161mm/マニュアル露出(1/20秒・F11)/ISO 100/WB: 4900K
海蔵寺のご厚意で行われているライトアップは、この撮影スポット一番のシャターチャンスになる。桜と周りの露出差の少ない時間を逃さないよう撮影して欲しい
撮影:館野二朗(2020年4月8日撮影)
EOS R5/RF70-200mm F4 L IS USM/82mm/マニュアル露出(5秒・F8)/ISO 400/WB: 4900K

桜と天橋立(京都府宮津市)

伊根の舟屋を訪れたなら、日本三景の一つである天橋立も近いので、ぜひ訪れてもらいたい。

桜と天橋立を一望できる場所はいくつかあるが、今回紹介するのは天橋立ビューランドからの眺め。園内には桜が多く植えてあり様々な角度で天橋立を撮影できる。

天橋立ビューランドへはモノレールかリフトで上がる必要がある。


園内にある観覧車に乗って撮影している。もう一つの方法としてサイクルカーもある。どちらも周囲より少し高い俯瞰気味のアングルになるのでおすすめだ
撮影:館野二朗(2020年4月8日撮影)
EOS R5/RF24-105mm F4 L IS USM/24mm/マニュアル露出(1/60秒・F11)/ISO 200/WB: 4900K
館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合う。手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から本格的に撮影活動を開始。以降現在まで全国を行脚し、独創的な視点で撮影をおこなっている。