写真家が教える とっておきの「桜」撮影スポット

第1回:佐賀県・長崎県の桜

白木峰高原/馬場の山桜/納戸料の百年桜/浜野浦の棚田/大山公園

撮影:館野二朗(2020年4月5日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/28mm/マニュアル露出(1/50秒・F11)/ISO 100

今年も桜前線が日本を北上します。今から撮影を楽しみにしている読者もいらっしゃるのではないでしょうか。

この短期集中連載では、桜の季節になると全国を旅して撮影する写真家・館野二朗さんに、おすすめの撮影ポイントを紹介していただきます。皆様の参考になりましたら幸いです。(編集部)

白木峰高原(長崎県諫早市白木峰町)

白木峰高原は五家原岳の中腹に位置している高原。丘陵が広がっており、春には丘一面に菜の花が咲き、その中に桜が点在している。

丘の上から菜の花畑と桜を見下ろすと、その向こうには有明海、そしてその向こうには雲仙の山々が望める絶景スポットだ。特に夜明け直前の時間帯のブルートーンが美しい。


街明かりの残る夜明け直前の時間帯なら、ブルートーンで撮影できる。この時は、菜の花と桜の明るさと空の明るさを合わせるためにハーフNDを使用した。撮影:館野二朗(2020年4月6日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/24mm/マニュアル露出(シャッター速度30秒・F5.6)/ISO 800/ WB:4800K
雲仙の左方向から昇ってくる朝日がやや逆光気味に桜と菜の花畑を照らし、浮き上がらせる。この時もハーフNDを使用した。撮影:館野二朗(2020年4月6日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/35mm/マニュアル露出(シャッター速度1/10秒・F11)/ISO 100/ WB:4800K

馬場の山桜(佐賀県武雄市武内町)

樹齢約120年とされている「馬場の山桜」は山桜としては大きい方で、菜の花の中に聳え立っている姿は迫力があり存在感がある。菜の花が植えてある場所から一段高い場所に桜の木はあるので、菜の花と合わせて撮影しやすい。


やや離れた場所からローアングル気味に構えて撮影。手前の菜の花をボカして撮影したかったため、絞りを浅くしている。撮影:館野二朗(2020年4月2日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/50mm/マニュアル露出(1/40秒・F4.5)/ISO 100/WB:4900K
ただの青空ではそれほど面白くない構図だったが、小さな雲が左上に出てたことで良いアクセントになった。撮影:館野二朗(2020年4月2日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF70-200mm F2.8L IS II USM/120mm/マニュアル露出(1/400秒・F11)/ISO 100/WB:4900K

納戸料の百年桜(佐賀県嬉野市嬉野町)

小高い山の中腹に広がる茶畑の中に立派な桜が立っている。樹齢100年越えの巨樹で、まるで茶畑を見守るかのような桜だ。自分なりの良い角度を見つけ、茶畑と合わせて撮影するといいだろう。見頃にはライトアップも行われる。


桜は斜面にそびえ立っている。その周りを歩けるため、ある程度自由な角度で撮影できる。この時は花桃の赤い花を右下に入れるために、この角度から撮影している。撮影:館野二朗(2020年3月29日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/38mm/マニュアル露出(1/100秒・F8)/ISO 200/WB:4900K
薄暗くなってくるとライトが点灯され、桜が一際浮き上がり存在感を増してくる。露出差の少ない時間帯を狙って撮影するといいいだろう。撮影:館野二朗(2020年3月29日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/35mm/マニュアル露出(1/100秒・F5.6)/ISO 400/WB:4700K

浜野浦の棚田に咲く菜の花(佐賀県東松浦郡玄海町)

浜野浦の棚田は、水が張られた4月中旬から5月上旬にかけての風景が人気のスポット。夕焼けで染まる時間帯が特に有名だろう。

棚田周辺の桜が咲く少し前から菜の花が咲き、棚田は一面黄色に染まる。よく晴れた日には青い海とのコントラストが美しい。


広角レンズで菜の花に近寄り、絞りを浅くして前ボケ作ることで、ふわっとしたボリューム感を出している。撮影:館野二朗(2020年4月1日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/39mm/マニュアル露出(1/1,600秒・F2.8)/ISO 250/WB:4900K

大山公園(長崎県松浦市福島町)

ここ大山公園の園内には約800本の桜が植えてある。満開の時に展望台から撮影すると、眼下には桜の絨毯が広がり、そして奥には伊万里湾に浮かぶイロハ島も撮影できる。満開の時期にはライトアップも行われ、幻想的な夜桜も楽しめる。


園内にある展望台から、桜の絨毯越しに伊万里湾を入れて撮影がおすすめ。広く桜が咲いているので、自分なりのスポットを探して撮影するといいだろう。撮影:館野二朗(2020年4月1日撮影)
EOS 5D Mark IV/EF24-70mm F2.8L II USM/24mm/マニュアル露出(1/100秒・F11)/ISO 400/WB:4900K

館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合う。手つかずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から本格的に撮影活動を開始。以降現在まで全国を行脚し、独創的な視点で撮影をおこなっている。