写真家が教えるお気に入りの「道の駅」

道の駅ビーナスライン蓼科湖

八ヶ岳・御射鹿池・白駒池などの撮影拠点に

全国各地を撮影する風景写真家・館野二朗氏が、道の駅とその周辺の撮影スポットを紹介します。道の駅のグルメ情報などもお届けする予定です。(編集部)

八ヶ岳連峰や蓼科山へのアクセスにちょうどいい道の駅

左手に見える建物が道の駅。右手奥には蓼科湖が見える

初回は、長野県茅野市の蓼科高原、ビーナスライン(県道192号)沿いに位置する「道の駅ビーナスライン蓼科湖」を紹介します。蓼科湖畔という絶好のロケーションに加え、八ヶ岳連峰や蓼科山への撮影アクセスも抜群です。

2020年7月17日に開業した「ビーナスライン蓼科湖」は、長野県内52番目にして茅野市初の道の駅として誕生。蓼科湖レジャーランドの一角に整備され、年間150万人が訪れる蓼科エリア観光の玄関口として機能しています。

標高1,200m超の高地にあるため、 夏でも涼しく過ごしやすく、澄んだ空気の中での機材チェックや撮影計画の練り直しにも集中できる環境が整っています。

施設は24時間対応で、多機能トイレやベビーコーナーも完備しています。蓼科湖側の休憩展望室には観光案内のモニターが設置され、公衆無線LAN「Wi-Fi」も整備されています。

隣接する蓼科湖

概要

名称

ビーナスライン蓼科湖

住所

長野県茅野市北山蓼科4035-2906

面積

13,597㎡

駐車場

108台

トイレ

14器

付帯施設

休憩展望室(情報提供施設)、ベビーコーナー、イベントスペース、公園広場

道の駅のおすすめグルメ

濃厚バニラソフトクリーム

高原の爽やかな風を感じながら味わう濃厚バニラソフトクリームは、撮影で疲れた体にも心にも染みわたります。バニラビーンズがしっかりと効いた本格的な味わいで、蓼科湖の美しい景色を眺めながら食べるひと時は、撮影旅の特別な思い出になること間違いありません。これは、標高の高い場所ならではの、都市部では味わえない贅沢なひと時と言えるでしょう。

店舗概要

  • 店名:蓼科アイス
  • 名物:「濃厚バニラソフトクリーム」(500円)
  • 営業時間:9時00分~16時30分
  • 営業日:無休(年末年始休業あり)

撮影スポット1:御射鹿池

茅野市の山あいにひっそりと佇む御射鹿池は、四季折々の表情と、静けさが特徴の池です。道の駅から車で約15分ほど。撮影地としても有名で、古くから写真愛好家が訪れている場所です。特に、東山魁夷がこの池をモチーフに描いた『緑響く』によってその存在が広く知られるようになり、近年では多くの人が訪れる観光地にもなっています。

御射鹿池はもともと農業用に造られた人工のため池ですが、周囲を深い森に囲まれており、常緑の針葉樹と広葉樹が入り混じった風景は、どこを切り取っても絵になる美しさです。そして、水面に静けさが溶け込んだような雰囲気が、この場所ならではの魅力です。撮影において重要なのは、風のないタイミングを狙うこと。無風状態の時には、湖面が完璧な水鏡となり、リフレクション写真が狙えます。

また、あえて雨や霧の条件を狙うのも1つのアプローチです。柔らかな光が全体を包み込み、コントラストの少ない淡い雰囲気が幻想的な写真にしてくれます。構図を考える上では、正面から見ると一際目立つ白樺があり、画面の中にその木をバランスよく取り込むことで、良いアクセントになります。

使用機材としては、標準域から中望遠域(35mm〜135mm程度)のズームレンズが使いやすいでしょう。

撮影スポット2:白駒池

北八ヶ岳の標高2,115mという高地に位置する白駒池は、道の駅から車で約30分、 駐車場から徒歩15分程度でアクセス可能です。標高2,100mを超える場所にある天然湖としては日本最大で、苔むす原生林に囲まれた天空の池として多くの撮影者を魅了しています。標高が高いので、真夏でもひんやりとした空気に包まれ、まさに別世界のような静けさがあります。周囲は手つかずの原生林に囲まれていて、池と森の風景を一緒に楽しめる絶好の撮影スポットです。

池では早朝白駒荘側から入るルートがおすすめ。ちょうど池の正面から朝日が差し込んでくるので、逆光で狙えます。風がない日は湖面が鏡のように静まり、周囲の木々や空が映り込んでとても絵になります。星空も魅力的で、池に映り込む星を撮影することもできます。

秋には標高が高いぶん、他の場所よりも早く紅葉が始まります。池のまわりが赤や黄色に色づき、特にドウダンツツジの赤が印象的になります。

館野二朗

若い頃からバックパッカーの旅やフライフィッシングを通して自然と向き合い、手付かずの自然美にインスピレーションを受け、2000年頃から創作活動を開始。近年は、奄美大島をテーマに精力的に活動している。 2024年には写真展「奄美 ゲニウス・ロキ」をキヤノンオープンギャラリー(品川)にて開催