写真家の引き出し

iPadで自在な「線」を描くために

ifeli Apple Pencil用一体型シリコンカバー付きチップ(飯田ともき)

色は低摩擦・高摩擦それぞれに白と黒があるが、間違えないように高摩擦を白、低摩擦を黒で購入した

スナップや風景、ポートレート、スポーツ、鉄道、航空機など各分野で活躍されている写真家に普段の撮影で活躍しているアイテムや便利グッズをご紹介いただきました。今回は特別編として、当誌にて「カメラバカにつける薬 in デジカメ Watch」を連載中の飯田ともきさんに愛用の一品を紹介してもらいました。マンガ家ならではの品とは?(編集部)

愛用品

ケータイ Watchで紹介されていたのを見て買いました。もう手放せないものになっています。これはApple Pencilの純正ペン先がツルツルすぎてどうしようもない不満をあらかた解消する良いグッズです。

愛用の理由

iPadが写真家にとって有用であることは私よりも読者諸氏のほうが詳しいと思うので省きますが、一緒に使いたいのがApple Pencilです。しかしApple Pencilは使ってみると「かゆいところに手が届かない」もので、私もずっと抵抗しています。もともと数年前、漫画制作のためにiPad Pro 10.5を購入しましたが、ペン先があまりにツルツルしているために液晶タブレットに戻った経緯があります。

テック系の雑誌などでiPadが特集されているのを見ると、活躍されているイラストレーターの方々はiPadにペーパーライクフィルムを貼って、この「ツルツル」問題を解消しているようです(ペン先に抵抗は生まれますが、その代わりペン先はガンガン削れます)。また最近人気のサードパーティ製の細軸のペン先もフィルムを貼るようにとの指定があります。

実のところ、私はフィルムを貼ることには懐疑的です。というのも、かつてiPhone 5cを使っていたころ傷だらけになった保護フィルムを剥がした時、とてもきれいな画面が現れたからです。なぜ我々は高いスマホを買って安いフィルムを貼り、傷だらけの画面を見ていたのでしょうか。あともうひとつ、店頭の展示品や仕事用のiPhoneは誰からも大切にされないため、最も過酷な耐久試験(と私によって)言われていますが、そのようなiPhoneでもすり傷を見たことがありません。もしかしなくても、2,000円前後のフィルムより、だんぜん高品質なガラスが使われているのでしょう。もちろん「すり傷」と「割れ」は別ですよ。

ペンシル自体もツルツルしているが、パーマセルは適度な滑り止めになる

便利ポイント

Ifeli tipは“フィルムなしでのしっかり描き味を実現した”というので、とりあえず飛びつきました。4本入りで2,200円です。低摩擦版と高摩擦版があるので両方買いました。

高摩擦版は、たとえるなら油粘土にヘラを差し込むくらいの抵抗感があります。これはさすがに使いづらいものでした。

対して低摩擦版はカステラにナイフを入れるような感じです。紙とペンとはまた違いますが純正品とは比較にならない使いやすさです。思ったような軌道を描くには少し抵抗感を覚えるくらいのほうが、正確にペンを走らせることができますし、実際疲れないのです。

なお、純正品で美しい線を引くには雨の日にスリッパで石段を登るくらいの精神力が必要です。

良いことづくめのような本品ですが、耐久性という問題を唯一抱えています。摩擦係数が高いだけあり、「よく削れる」ということが実感できます。7月に購入した現時点で7本目なので、計算すると月に1本保ちません。この「削れ」問題に関しては、実はペーパーライクフィルムを使うとペン先もフィルムも両方削れるので、ペン先だけで済むifeliのほうが経済的かも、と思うようにしています。

2010年に漫画サークル「ていこくらんち」をはじめる。2015年に出した同人誌「カメラバカにつける薬」が、あれやこれやでデジカメ Watchで連載させていただくまでになりました。カメラだけじゃなく、その向こう側にいる人たちの想いを伝えていければいいなと思っています。あとはiPadが24インチくらいあれば……。