岡嶋和幸の「あとで買う」

927点目:「考える写真」の大切さを提案する本

丹野清志『写真力を上げるステップアップ思考法』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

丹野清志『写真力を上げるステップアップ思考法』

デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像にもの足りなさを感じ始めた人に向けた、本格的な写真の世界へ一歩を踏み出すための考え方を解説した本です。撮影技法ではなく、自分らしい表現を見つけることで写真力をアップを目指す内容になっています。

特に重要なのが第3章で、「思いついたことはなんでもやってみる」「プリント仕上げの色を想像して撮る」「良い写真、いい写真を選ぶ眼を豊かにする」「自分の写真を第三者の眼で見る」「写真は常に言葉とともにある」あたりは私も同じように考えていて共感できます。「撮り続けて見えてくる作品世界がある」は自分の作品制作において現在進行形の部分でもあり特に実感しています。

第4章では写真の構成、フォトコンテストや公募展への応募、写真展開催、ZINE制作などについても触れられています。撮影から作品発表まで盛りだくさんの1冊です。販売価格は1,980円で、Kindle版もあります。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。