赤城耕一の「アカギカメラ」

第100回:フィルムなのに量で押せる ハーフサイズカメラ「PENTAX 17」の魅力

本連載も今回で100回を迎えました。これもひとえに読者の皆さまのおかげであります。毎度のヨタ話をおつきあいいただいて、とても感謝しております。

連載100回ともなれば、区切りのよい数字ですから、記念になんかヤレというリクエストもあったのですが、元来のヘソ曲がりだし、猛暑ゆえに考えるのも面倒だし、今回もフツーにこなすことしますが、もしかすると近々に本連載に関してのスピンオフ企画をお知らせすることもあるかもしれません。ま。期待せずにお待ちくださいませ。

100回記念ですから、ここはガツンとキヤノンEOS R1についての考察でもできれば良かったのですが、一般発売はまだ先ですし、例によって筆者はスーパースペックカメラの機能を使い切り、語り尽くせることができるほどの仕事をしていないため、今回は諦めました。

そこでヘソ曲がり代表写真家として100回めに取り上げたのは、昨今一部で話題の「PENTAX 17」であります。

天下のデジカメ Watchの連載の100回記念で、ハーフサイズフィルムカメラを取り上げようというのですからこれも無謀というか、よく編集長は許したな(笑)と。でも、そんなことはかまわずはじめることにします。PENTAX 17に関しては、「デジタルカメラマガジン」などでも軽くレビューしておりますが、本連載の特性を活かして、思いっ切り使用してみることにしました。

実は本連載でも何度かフィルムカメラを取り上げておりますが、筆者のプライベートなカメラとの関わりを考えると、デジタルカメラとフィルムカメラ、大きな区別をすることなく、使っているからです。

フィルムカメラと戯れて……。じゃなくて、撮影して写真制作をしているというと「お金のかかる時代遅れのお遊びがよくできますねえ」と半ば呆れられながら嫌味を言われたりします。

フィルムカメラを使う理由というのは単純で、周りに、現在でもまったく魅力が衰えていないフィルムカメラが身の回りにたくさんあることが第一の理由です。

それは手触り感であったり、フィルム巻き上げ感触であったり、ファインダーの機能だったり、シャッターの動作音にまで至ります。つまり、デジタルカメラではこれらの要件を満たすことのできる代用機がないわけです。

フィルムもずいぶんと高くなったので、制作にあたって経済的な苦労はありますけど、カメラにパトローネを装填し、きりきりとフィルムを巻き上げてゆく過程、フィルムの特性を念頭において、光を観察して露出を考えたりする行為が好きなので、やめることができません。

しかも、いまだにうちの仕事場には暗室がありまして、時々、フィルムを入れたタンクを振り、暗い赤色光の下、バットの中で現像液の中で印画紙に浮かび上がる像に今も感激しながら手を濡らして作業しております。

中華料理店のネオン管ですね。肉眼でみても毒々しい赤だなあと思ったら、カラーネガフィルムはよい色再現をしてくれました。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス1.2m /FUJIFILM400
路地の日陰にいたラクダ。なかなかの描写です。しゃがむのが面倒なので、ノーファインダーで適当に撮影したのですが、当たりました。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス0.5m/コダックエクター100

こうした作業は撮影からプリントまでのプロセスというか、完成までの手順というか、作業行為自体に肉眼が喜ぶ楽しみを見出していることもあるからで、俗にいわれる、現像が仕上がるまでのドキドキがよいとか、味わいがどうとか、失敗するのがいいとか、ということはありません。

あくまでも最終的にアウトプットされる写真が、撮影時や現像時に、作者が予想した、あるいは想像したとおりになるように設定し、かつ、これが思惑どおりに成功した時の愉しみを知っているからでしょう。つまり、出来上がるまでの想像力がフィルムでの撮影、銀塩写真の魅力であります。ええ、面倒ですとも。

その昔、ある著名な写真家が暗室のプロセスを「手焼き煎餅の味」と発言し、若かった筆者は憤慨したものです。

つまり、写真の価値は写っているものがすべてで、完成までのプロセスは関係ないというわけです。広義ではまったくその通りなのですが、完成までのプロセスの愉しみを見出すこともまたフィルム写真制作の意味があるわけですね。

さて、やっと本題になります。フィルムカメラプロジェクト構想の発表がリコーイメージングから発表されてから2年を経て、本当に出現した新型のハーフサイズフィルムカメラ、PENTAX 17(イチナナと呼びます)の話をします。すでに各方面で話題になっていますし、評判がよく、現在は入手困難になっています。

人気の理由は、筆者には正直なところまったく想像がつきません。最初に17をみた筆者は、毛蟹が裏返ったさまを想像しました。実際には似ていないけど、なんとなく、それが第一印象なのです。デザイナーさんは怒るかなあ。

17は、筆者のようなおじいさんではなくて、若者、フィルムカメラのビギナーに向けてというのが建前ですが、デザインや要所要所に、旧来のペンタックスユーザーが共鳴し涙を流してしまいそうな仕掛けが施してあります。ビギナーさんには何のことかはわかりません。それでいいのです。

ハーフサイズフォーマットを採用した理由も、フィルムの経済性とか、日々スマホで撮影する人たちに違和感なきようにということが説明されているのですが、そこまで若い人に媚びなくていいんじゃないかなあと年寄りは思うわけです。

繋がらなかった鳥居。ハーフサイズのネガは街の写真屋さんでも2コマを並べて1枚の印画紙に露光してもらうことができます。時間の流れを表現することも適しています。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス無限遠/FUJIFILM400

「17」のロゴはかの中判一眼レフの名機ペンタックス67のそれと同じ。真上からみてみますと、ファインダー上部は黒い塗装で、ライカの外づけファインダーを埋め込んだようにもみえます。ここにエングレーブされているのは旭光学工業時代の「AOCO」と「PENTAX」の両表記です。

カメラ上部と下部カバーはマグネシウム合金。チタンカラーというかシャンパンカラーというか。軍艦部はにぎやかです。各部に旧来のペンタックスへのオマージュを感じさせるのですが、全体のデザインはオリジナリティが高いのは嬉しいですね。

ブランド意識が強いなあと思うのですが、「PENTAX」のロゴは他にもファインダーアイピースの下部にもありますが、フォントがそれぞれ異なりますし、いささかシツコイ印象です。

ファインダーアイピース。ここにもPENTAXの文字があります。2つのLEDランプがよく点灯したり、点滅したりするのですが、面倒なので無視して撮影してしまいました(笑)マイナスネジも両側にあります。ネジの角度は揃ってはいません。

巻き上げレバーはペンタックスオート110によく似ています。フィルム巻き戻しノブはペンタックスSP、シャッターボタンまわりはペンタックスKPのそれに。露出モードダイヤルのカラーも、ペンタックスレンズ表記の伝統のものでしょう。巻き上げ機構はペンタックスP30のオートローディングを踏襲しています。

フィルム巻き上げレバーです。可愛いですね。操作は重たいのかなと想像していたのですが、どうしてどうして、とても動きはスムーズです。P30機構を応用しているといいます。小刻み巻き上げはできませんが巻き上げ角度が小さいので気になりませんでした。
ペンタックスP30。中古市場では絶望的に不人気なMF一眼レフカメラですが、筆者は好きですよ。シンプルだし。17の巻き上げ機構はこちらからの応用となれば、今後見直されたりしてね。

ロゴや刻印については、いずれも「わかるやつだけにわかればいい」というデザイン思想を持たせてあるわけです。だから、“わかるやつ” すなわちおじいさんは、本機を手にした時にニヤついてしまうことでしょう。つまりは若者に向けてといいながら、自分では若くありたいと願うおじいさんを誘い込んで本機を手にさせるという。このあたりはリコーイメージングの巧妙な作戦です。

ただ、眺める角度で17は無骨にも、おしゃれにもみえます。万人に喜ばれるために作られたという感じはなし。これはいいですね。ただし、ハーフサイズカメラといえば、筆者はオリンパスPENあたりをどうしても想像してしまうので、全体はもうひとまわり小さくて、ぎゅっと凝縮感を高めてもいいかなと思うわけです。

手にした印象はどうでしょう。上下のカバーはシャンパンカラー。しかもマグネシウム合金ということですが、さほど質感向上に寄与している感じがありません。裏蓋もフィルム室も、プラスチッキーだからでしょうか。これはちょっと残念かなあ。またアパーチャーの周囲が凸凹しており、ノートリミングでプリントすると画面の枠が汚なく見えてしまうのは問題です。

24×17のハーフサイズフォーマットで装填フィルムの流れるのは横方向なので、縦位置がデフォルトになります。当然ファインダー窓も縦長になります。

前面からみたファインダー窓です。内側に引っ込んでいることもあり、なんだか怪しい感じです。両側のマイナスネジの位置は同じ角度に揃えられないんでしょうかね。

ファインダー窓をはさんで対照的にマイナスネジがあります。いまどきマイナスネジなんて、ライカも使うことはない、組み立て効率の悪い変態仕様で、他にはコシナ・フォクトレンダーくらいなのですが、こういうこだわりも評価対象になります。できればマイナスネジの角度を、左右ともに揃えて止められていたら、筆者は平伏していたかもしれません。

ファインダーはレンズの光軸に合わせてセンターに位置しています。これもパララックスを気にされたんでしょうか。

ファインダーはアルバダ式で、多少のぎらぎら感があります。斜視誤差によるものでしょうか、目の位置によってはブライトフレームが見えないこともあり、視認性はまずまずですね。フレームにはパララックス補正マークがあります。本機の最短撮影距離は0.25m。フィルムコンパクトとしてはかなりの近接撮影を可能としています。近接撮影時は付属のストラップで距離を測ります。ミノクッスとかオリンパスXA4みたいですね。

当然ですが至近距離になるほど、画面上方は写らず、下方にファインダーには見えない余分なものが写る可能性があります。このためフレーム上部の外枠と補正マークは大きく離れていますので視野では少々邪魔に感じます。正直、テキトーにフレーミングして、意図しないものが写ることを喜ぶくらいじゃないと本機を使う意味はありません。

本機のフォーカシングはゾーンフォーカス方式。距離を示すアイコンを合わせることで機能します。基本ステップは6段。距離アイコンはファインダー内からも確認することができますね。

レンズの下部にはmとftの距離指標があります。目測設定に慣れた人ならばこちらのほうが使いやすいように思います。ただ、フォーカスの動作は電動で6ステップしかありません。レンズにはヘリコイドはなく、無段階で動くわけではないので、フォーカシングは少しアバウトに感じます。ただフォーカスが電動ですから、素人考えでは将来的にAFへの換装は可能なようにみえます。17は利便にしようとする部分を意図的に抑え込んでいるようにみえます。

レンズ下部には距離指標があります。昨今のミラーレス機では見られない数字ですね。mとft表記、お好きなほうをどうぞ。

搭載のHD ペンタックスレンズHF 25mm F3.5の光学性能は優秀で合焦点の切れ込みは見事です。光学系はかつてのペンタックスのコンパクトカメラの名機エスピオのレンズを参考にしているとアナウンスされていますが、高性能だからこそ至近距離ではピンボケが目立つという理屈もあります。筆者の認識では、焦点距離25mmレンズって、こんなに被写界深度が浅いのかというイメージです。

搭載レンズはHD PENTAX LENS HF25mm F3.5 Traditional。レンズの焦点距離から考えると、リコーオートハーフやオリンパスPEN Wを思い出します。本機にモノクロフィルムを詰めてNYに行けば、モリヤマダイドーになれるかもしれません。

このレンズのポテンシャルを引き出すためには、筆者はライツ製の単独距離計を持ち出したり、MF一眼レフを用意して、被写体までの距離を測距して、17の距離目盛りを使用して、距離設定をしたりしました。

ヌケのよいレンズですね。調子もいい感じです。露光も適正なネガでした。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス1.7m/FUJIFILM400

またフレーミングには影響が出てしまいますが、距離設定を行ったのちに撮影者自らが被写体までの距離を変えて数コマ撮影するという「人間フォーカスブラケッティング」をするという手もありますが、そのうちに面倒でヤメてしまいました。慣れてしまうと、ほどんど問題はなくなりました。

撮影モードはプログラムAEベースで大きく、「定常光」撮影と「フラッシュ」撮影に分かれ、「AUTO」モードではフォーカスも固定されます。「BOKEH」モードもあるのですが、中庸感度のフィルムで至近距離撮影するなどの配慮は必要です。夜間撮影モードとか、日中シンクロができることもありがたいですが、カメラがどのようなプログラムシフトによって露出制御しているのかは謎です。測光は部分測光とのことですが、画面中央のどのくらいの面積を測光しているのかはよくわかりません。

撮影モードダイヤルです。Pモード主体で、大きく分けて黄色がフラッシュモード、白色が通常モード。ボケや夜間撮影では表示のアイコン位置にセットします。AUTOはレンズ位置も固定されます。ちなみにこの文字の色、既視感があるなあと思っていたら、初期のSMC PENTAXの距離目盛りの色に似ています。またこのダイヤル、軽すぎますね。すぐに動いてしまうので注意しましょう。
BOKEHモードに合わせて撮影してみました。25mmでもさすがに被写界深度が浅くなり、背景はボケましたけど、人物のピントも少々甘めです。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス1.7m/コダックエクター100/モデル:小田島奏葉
露光補正ダイヤルです。1/3刻みですからリバーサルフィルムでは実用的ですね。ISO感度ダイヤルと組み合わせればさらに大きな補正効果を得ることもできます。
DXコードは省略されているので、装填するフィルムごとに、ISO感度ダイヤルで設定する必要があります。ISO400が大きく表示されていないのは、欧米のカラーネガフィルムはISO200のものが主流だからかもしれません。

ファインダーアイピース脇の青とオレンジの2つのLEDランプはおせっかいなほどよく点灯、点滅しますね。

取り説を読むのが面倒なので正確に確認していませんが、フィルム巻き上げが完了していない時にシャッターボタンを押すと青とオレンジのランプ双方がせわしなく交互に点灯します。

うるせーな。はいはいわかりましたよ。今から巻き上げますよ。ったく。

最短撮影距離の0.25mでは青のLEDがゆっくり点滅しますな。

はいはい、いまから至近距離撮影するんだからほっといてくれよ。ったく。

スローシャッターになる場合とか、露光オーバーになる場合は青のLEDが点滅するようです。

はいはい。わかってるんだよ。わざとそういう設定してんだからさ、大きなお世話なんだよ。ったく。

という具合の親切な設計なので、おじいさんは少しイラつきます。もちろんフラッシュのチャージ時にも連動して、オレンジのLEDが点滅したり点灯したりします。

シャッターはレンズシャッターで最高速は1/350秒。シャッター音はとても小さく、屋外では聞こえづらいほどです。ISO 400フィルムを装填すると日中晴天下では否応なく絞り込まれ、焦点距離も短いからボケ効果は生かすことはできません。もっとも使用フィルムがカラーネガの場合はラチチュードが広く、露光オーバーになる分にはあまり神経質になる必要はありません。だから絞りを開きたい場合とか低速シャッターにしたい場合はISO感度を低く設定したり、露光補正ダイヤルで+設定しても、まず問題ありません。

今回主に使用したFUJIFILM400です。パッケージを開けると、パトローネケースがコダックものになっているのでびっくりします。
フィルム箱の裏をみたらMADE IN USAの文字があります。富士フイルムは認めないでしょうが、これはコダックに生産委託をしているということになるでしょう。
強い日差しに照らされた家。ディテール再現性はなかなかのものですね。歪曲もなく素直ですね。
PENTAX 17/プログラムAE ゾーンフォーカス3m/FUJIFILM400
ハイライトがよい感じで再現されています。ネガカラーならではの描写です。おそらくシャッターは最高速になっていると思いますが自転車は静止できません。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス3m/FUJIFILM400

ちなみに「写ルンです」などのレンズ付きフィルムのシャッター速度は1速、絞りも固定で、露光量は常に同一になります。これで海水浴場から室内まで、すべての撮影状況に対応できるように考えられた、カラーネガフィルムの能力を最大限に利用したアイディア製品なのです。その昔、富士フイルムのエンジニアに聞いた話では6EVオーバー露光でも問題はなくプリントできると自慢されたことがあります。正直、カラーネガフィルムを使用するだけなら、露光補正は不要と考えてもいいくらいですね。

筆者が17で個人的にいちばん感動したのはフィルム巻き上げのメカニズムでしょうか。

フィルム装填はビギナーにはもっとも難関な作業ですが、フィルム先端を赤のラインの先に合わせ、裏蓋を閉め、巻き上げレバーを操作するだけで、するするとフィルムは巻き上がります。

これがすばらしく滑らかな動きで、コマが進んでもトルクが変わらないのは驚きですねえ。フィルムが正常に巻き上げられているかどうかは巻き戻しノブの動きで確認するのが基本になります。

フィルムは手巻きにこだわるより、モーターに任せたほうがラクなはずですがそれでもP30の巻き上げ機構を応用し組み入れたのは根性ですね。すばらしいことですが苦言もあります。コマ間はパーフォレーションにかからないように調整をお願いしたいのです。

出来上がった写真をみると、もちろん距離設定を忘れるなど、ピンボケの失敗もいくつかありましたが、これは気の緩みですな。よく写りすぎるくらいよく写ります(笑)。

作例に選択したコマは町の写真店にお願いしたプリントをそのままスキャンしています。もちろん画像補正したいものもいくつかありましたが、そこは我慢をして、デフォルトのまま掲載しました。

それでも写真をみれば「フィルムだからポヤポヤに写るのがイイ」なんていう、一部の若者のステレオタイプなフィルム写真に対する印象はふっとんでしまうはずです。おじいさんは結果をみておもわず微笑んでしまいました。つまり、これこそが2024年に誕生した“新型フィルムカメラ” の実力というわけであります。

17を使うと72コマの撮影枚数の重みをあらためて知ることになります。

裏蓋にある、フィルムメモホルダー。レトロ感覚ですねえ。でもフィルムをケチって撮影していると装填フィルムを忘れてしまうことがあり、便利ではあります。

そうです。撮影をはじめても、フィルムがなかなか終わらないのです。いまや120コマ/秒を実現したデジタルカメラが存在するというのにこれは世界の謎というか、フィルム独自の1コマの重みなのかもしれません。

中判カメラや35mm判カメラでは1コマ撮影するごとに脳内にお金の落ちる音が「チャリンチャリン」と鳴り響きます。

17を使えば、シャッターボタンを押すことに躊躇する、迷うようなシーンでもフィルム代は半額コースでバリバリ撮影することができます。

写真家の森山大道さんは「量のない質はない」と発言したことは有名ですが、これがPENTAX 17のような、新型フィルムカメラでも再び実行できるようになったことを素直に喜ぶべきでしょう。

背景のリフレクションが明るすぎて、これは画にならんだろうけどとりあえず1枚という感じで撮影してみたら、意外とバランスいいわけです。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス1.2m /FUJIFILM400
強制発光モードに合わせて日中シンクロしてみました。距離情報は露出に加味はされるのかは不明です。少しアンダーですが、よいバランスです。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス1.7m/FUJIFILM400
これも背景の空にひきづられてしまうと思い、フラッシュを強制発光させていますが、露出バランスは保てました。
PENTAX 17/プログラムAE/ゾーンフォーカス3m/FUJIFILM400
赤城耕一

1961年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒。一般雑誌や広告、PR誌の撮影をするかたわら、ライターとしてデジカメ Watchをはじめとする各種カメラ雑誌へ、メカニズムの論評、写真評、書評を寄稿している。またワークショップ講師、芸術系大学、専門学校などの講師を務める。日本作例写真家協会(JSPA)会長。著書に「アカギカメラ—偏愛だって、いいじゃない。」(インプレス)「フィルムカメラ放蕩記」(ホビージャパン)「赤城写真機診療所 MarkII」(玄光社)など多数。