特別企画

時間のかかる写真の整理を効率化 最新ノートPCで快適度アップ!

2,000万画素のRAWデータを快適に処理するパフォーマンスとは?

6月19日に発売されたeX.computer note N1542Jシリーズのひとつ、N1542J-720/E。

私は自身の写真家としての活動と並行して、写真に関するワークショップの講師も多く担当させていただいている。そこではカメラに関する質問と並び、写真の整理やRAW現像処理に適したPCはどのようなものが良いのかといった質問も多く寄せられる。

日常的な撮影におけるデジタルカメラの画像を保存する程度であれば家電量販店などで売られている一般的なPCでも十分な性能ではあるが、高画素なデジタル一眼カメラを使用し一回の撮影で数百から数千枚といった大量の撮影を行う写真愛好家にとっては、平均的な構成のPCでは画像データの処理に時間がかかってしまいストレスの元となってしまう。

それではどのような性能を持ったPCであれば快適な写真の整理と処理が出来るのであろうか。今回は写真愛好家向けBTOノートPCである「eX.computer note N1542J-720/E」(以下N1542J-720/E)の構成を見ながら、写真データを快適に扱えるPC構成を考えてみよう。

USB3.0端子は当たり前 カードスロット内蔵タイプも狙い目

それではまず、デジタルカメラで撮影した画像をPCに取り込むためのインターフェースについて考えてみよう。デジタルカメラで撮影した画像はカメラ内のメモリーカードに保存される。

そこからPC内のストレージにコピーする必要がある訳だが、カメラとPCをUSBケーブルで繋いで画像データを転送させるか、カメラからメモリーカードを抜き出し、カードリーダーを使用してPCへと転送させる方法が一般的だ。

このとき転送速度の高いUSB3.0に対応した機器であれば、データ転送の待ち時間も少なくて済む。

青い部材のある端子がUSB3.0。USB3.0対応カードリーダーを接続すれば、高速な取り込みが可能だ。

選択肢が少なくなってきているが、本体にカードスロットを備えるタイプもある。カードリーダーを別に用意することなく画像の取り込みが可能で、特に外出先で威力を発揮するだろう。

本体にSDカードスロットが搭載されていると、カードリーダーを用意する必要がないので出先で便利。

外部ディスプレイ対応や、ノングレア液晶にも注目

撮影画像をストレスなくチェックするためには、見やすいディスプレイも重要。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)ほどは欲しいし、画面サイズも大きな方が有利だ。

例えばN1542J-720/Eの場合はフルHDかつ15.6型と画面が広く、画像を等倍表示した場合でも広めの範囲を表示することができる。小型ノートPCの13型程度の画面に比べて、セレクトの際に見やすい。

また、選択肢は狭まるものの、できれば反射を抑えたノングレア加工の液晶画面をおすすめしたい。照明などの映り込みが少なく見やすいからだ。

また外部ディスプレイに接続して表示もできる点も重要。写真処理用PCである以上、カラーキャリブレーション対応ディスプレイと繋いでの使用も想定しておきたい。外部ディスプレイだけでなく、内蔵ディスプレイと外部ディスプレイを併用するマルチディスプレイ表示ができる点もポイントが高い。

左端がアナログRGB(D-sub15ピン)端子、左から4番目がHDMI。どちらも外部ディスプレイに接続するためのものだ。色再現性の高い外部ディスプレイにつなぐことで、安心して画像処理に臨める。右から3番目のeSATA端子には、画像保存に便利な外部HDDを接続可能。

LightroomもGPUに対応。効率化を考えるならGPUの有無に注目

もちろんPCなので、パフォーマンスも重要だ。ここからは先日私が撮影したジャズライブでの撮影画像をN1542J-720/Eに取り込み、画像セレクトからRAW現像に至るまで見ながら、写真を快適に扱うためのPC構成について考えてみよう。

今回のケースでは、2,000万画素クラスのデジタル一眼レフカメラ2台でRAWデータ約2,000枚を撮影。撮影後にSDHCカードからPC内蔵のカードリーダーを使用して、N1542J-720/EにインストールしたAdobe Lightroom CCに取り込んだ。

これらをLightroom CCのプレビュー機能を使用してこれらを1コマずつ確認しながら確認していき、これと思った画像にカラーラベルを付与してくのが私のセレクトスタイルだ。大量の画像をテンポよくセレクトしていくためにも、PCには速い描画能力が求められる。特に2,000万画素クラスにもなるとその能力は重要だ。

Lightroom CCのライブラリ画面でセレクト中。大量の画像を表示させながら、後で集約して表示させるためにカラーラベルを付与していく。

とにかくパッパと画面が表示してくれないと、セレクトに膨大な時間が取られてしまうし、なにしろ画像を瞬間的に見て取捨の判断を行う私のようなスタイルでは、描画に時間がかかってしまうとじれったくて敵わない。その点、写真愛好家向けを謳うN1542J-720/Eでは表示も速く、ストレス無くサクサクとセレクトを進めることができた。

2,000枚オーバーからおよそ900枚にまでセレクトした後、そこから更に1コマずつ最適な仕上がりになるように現像調整を済ませた上で一気にRAW現像を行う。

枚数が多いのでセレクトから現像調整まではそれ相応の時間がかかったが、いざRAW現像となると、約900枚のRAW現像にかかった時間は実測で54分26秒だった。現像途中でのエラーも発生していない。

セレクトした画像を現像中。約900枚を次々とJPEGに書き出していく。

このように2,000万画素クラスのデジタルカメラで撮影した大量のRAW画像処理を行うためのワークフローを実際に行ったが、N1542J-720/Eは各作業において処理時間で待たされることもなく、ストレスを最小限で留めてくれるPCであった。

これは4コアのインテル Core i7-4710MQ プロセッサー(2.5GHz、TB時最大3.5GHz)やSODIMM 8GBメモリ (最大16GBまで増設可能)といった余裕のある構成もさることながら、描画性能の高いGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)であるNVIDIA GeForce940Mグラフィックスの搭載に寄るところが大きい。

GPUについて簡単に説明すると、画像データをディスプレイに描画する際に使用される画像処理ユニットことだ。特に高性能なGPUとそれに対応するアプリケーションとの組み合わせにおいては、写真および動画のスムーズな表示が実現可能となる。

写真における画像編集のスタンダードと呼べるPhotoshop CCやLightroom CCはGPUによる描画の高速化に対応しているので、より速い画像処理が期待できるのというわけだ。

Photoshop CCでGPU使用をONにした状態。
Lightroomも最新の「Lightroom CC」からGPUに対応した。

ちなみにLightroom CCでセレクト作業をする際、画像のコマ送りには「←」「→」キーを、レッドラベルの付与には数字の「6」キーを使用する。

今回試用したN1542J-720/Eには、ノートPCとしては珍しくテンキーが搭載されていたので、まよわずテンキーを使用。おかげで普段使用しているデスクトップPCと同様の感覚で、数字キーを直感的に操作することができた。

Lightroom CCでのセレクト時に、10キーが意外と便利だった。ショートカットキー活用派には見逃せない要素かも。

自身が必要とする最適なスペックを見極める

大量の現像処理を行う事が多い写真家にとって、速くかつ安定したPCは、良いカメラやレンズと並ぶ欠かせない機材のひとつといえる。

また今後さらなる高解像度化が予想されるデジタルカメラの導入を見据えて、BTOによって高い性能のパーツで組み立てられたPCを選択できるという自由度の高さは、オリジナルのPCを企画しているメーカーならではのものだといえるだろう。

例えばN1542J-720/Eでは、内蔵ストレージには500GB HDDが用意されているが、これに加えてBTOによりSSDを追加で組み込むことも可能。HDDと比べ圧倒的にデータの書き込み/読み出しが高速なSSDをシステムディスクに割り当てることも可能なので、より高速化させたい場合にはSSD追加の選択肢も視野にいれると良いだろう。

このように自身が必要とするスペックを見極めて最適なマシンを手に入れることができれば、画像セレクトの効率を上げることにつながり、ひいては第2の撮影とも呼ばれるRAW現像においてもストレスの少ない自在な現像環境を得ることができる。それはきっと写真表現においてより深く自由な創作を実現してくれるはずだ。

撮影協力:右近茂(ジャズテナーサックス奏者)、野村佳乃子(シンガー)
制作協力:株式会社Project White

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy