特別企画
タムロン SP 45mm F/1.8 Di VC USD で撮る子どもポートレート
年末年始に役立つ撮影テクニックも
Reported by水咲奈々(2015/12/24 11:46)
2015年9月に発売されたタムロンの大口径標準レンズ「SP 45mm F/1.8 Di VC USD」はその性能の高さから話題となっているのでご存知の方も多いでしょう。F1.8の開放F値は柔らかいボケをいとも簡単に作り出してくれますし、ピントの合っているところはシャープに描き出す解像力を持っています。手ブレ補正機構を搭載しているのも微細なブレが大敵なフルサイズ機対応のレンズとして嬉しい点です。
今回はこのレンズとニコンのD750を使って、子どものポートレートの撮り方のお話をしたいと思います。モデルになってくれたのは全員プロではなく素人のお子さんたちですので、みなさんが実際にご自分のお子さんを撮影するときにきっと役に立つと思います!
フットワーク軽く動いて左右の顔を撮れ!
動き回る子どもをじっとさせるのは至難の業ですが、大きな動きを伴わない遊びに集中しているときは意外とじっとしていてくれます。例えばシャボン玉遊び。シャボン玉を作ることに夢中になって、また自分が動いてしまうとシャボン玉が壊れてしまうのでシャボン玉を作っている間は立ち位置を守ってくれます。ですので、背景のボケが綺麗な所を探してお子さんに立ってもらいましょう。足元を写さないのであれば目印として葉っぱやストックのシャボン玉液などを置いておいてもいいでしょう。
シャボン玉を吹いているところを撮る場合、斜めの角度でカメラと顔の高さを合わせた位置からがお子さんの顔を一番可愛らしく撮れます。ピントはカメラに近いほうの目に合わせましょう。まつ毛の先ではなく根元に合わせるようにします。
今回の作例はすべてF1.8で撮影しています。被写界深度が浅く、メイクをしていないお子さんの目にピントを合わせなくてはいけないのでAFが迷子になるかと思ったのですが、筆者がそのようなAF迷子を体感することはありませんでした。大人よりもじっとしていることが苦手なお子さん相手にマニュアルでピント合わせをするわけにもいかないのでAF性能が高くて助かりました。
さて、それだけAF性能が高いならフットワーク軽く動いて一方向だけではなく、右顔を撮ったら左顔も撮ってあげましょう。人間の顔は左右対称ではありませんし、成長するにしたがってその差は大きくなります。小さなお子さんはぜひ色々な方向からの写真を残してあげてください。
ニコンD750はフルサイズ機ですが女性でも持ったままステップを踏めるくらい軽く、グリップ部が深いのでしっかりとホールドすることができます。ファインダーを覗いたまま反対側の顔を撮ろうと移動すると危ないので、右手でグリップをホールドしたまま自分から見て時計回りにカメラを立てて(グリップ部を下にして縦位置で撮るイメージ)、手のひらで支えるようにして移動すると安定しますし、さっと横位置に構え直し易いですよ。
変顔大好きな男子には小道具が有効!
ある程度言うことを聞いてくれる年齢になるとじっとしてくれるようになるのですが、撮られることに照れや反発を感じるようになってきます。そんなときは小道具を持ってもらいましょう。いつも遊んでいる物よりも目新しい物のほうが本人の意識をカメラから外しやすいです。このときは本人が変顔ばかりして普通の顔の写真を撮らせてくれないとお父さんから伺っていたので、投げて遊ぶために持参したゴムボールを持ってもらいました。最初はカメラを見ないでボールを見て自由にしてねと言って、とにかくシャッターを切り続けました。そのうちにボールを使ってポーズをしだし、後半はカメラ目線をくれました。
ここでのポイントは本当に本人が夢中になってしまう小道具は持たせないことです。ゲームやマンガを渡したら絶対にカメラ目線はもらえないでしょう(笑)。そして背景や衣装とマッチする色合いの小道具があればベストです。このときは背景に黄葉が入り込んでいたので黄色いボールを持ってもらいました。
この写真からは分かりにくいかも知れませんが、撮影当日はとても晴れていて太陽の光が強すぎるくらいでした。日蔭を選んで撮影しましたがところどころの木漏れ日も力強く、モデルの立ち位置とレンズに光が入射しないようにするのが大変でした。結果、妙なフレアやゴーストが目立った写真は少なかったのですが、これは筆者の努力というよりも本レンズのコーティング技術とレンズフードのお陰なのでしょう。
お家でポートレートごっこ!
ご自宅で撮影される場合は全身を撮ると構図内に家具や生活感のある小物が写ってしまうことが多いので、思い切ってバストアップのポートレートを撮ってみましょう。目にピントを合わせて絞り開放で撮れば背景はふんわりとボケて自宅らしさが消えるのと同時に主役のお子さんの引き立つ写真になります。
まず構えは縦位置で。胸元より上を構図に入れて画面内を大きくお子さんの顔が占めるようにぐっと近寄りましょう。本レンズの最短撮影距離は29cmなので近付き過ぎてピントが合わなくなったりシャッターが切れなくなったりの心配をせずに安心して近付けます。
目にキャッチを入れたいのでレフ板を顔の斜め下から差し込むように使います。レフ板の使い方がわからない方は、お子さんが顔を動かさずにレフ板を見えるような位置に置けば黒目に白いレフ板が写り込むので大丈夫ですよ。レフ板をお持ちでない方はシーツを壁に貼ったり、画用紙を使ったり、自分が白いTシャツを着て前に立つだけでも効果が出ます。
そして、女の子でしたら顔周りが華やかになるようにヘアアクセサリーを着けましょう。作例のように白と黒のドレスに合わせて白いカチューシャを着けたりと、衣装とカラーコーディネートするとまとまりがつきます。かわいらしいヘアアクセサリーを嫌味無く着けられるのは幼い時だけなので、新しいヘアアクセサリーを買ったら記念に写真を撮るくらいの気持ちでどんどん撮ってあげてください!
子どものポートレートの場合、基本的にじっとしていないモデルさん相手なのでAFの速さと、生まれてまだ数年しか経っていないピュアな肌の質感と色味を描き出す描写力がカメラボディとレンズに必要となります。プラスして記念写真ではないので背景のボケが綺麗なことや、いつでも最適な環境で撮れるわけではないので暗い所でも撮れる明るいF値や高感度性能も求めたいところ。今回使用した「SP 45mm F/1.8 Di VC USD」とD750はこれらの条件を満たしてくれてとても使いやすいコンビネーションでした。
自分の子どもはこんなにじっとしていないし、カメラに向かって微笑んでもくれないよ~という方、大丈夫です、作例のお子さんたちはプロではないのでシャッターを切る前に走り去ってしまったり、最初は緊張したり照れたりしてカメラを見られなかったりしました。それでも何回も同じ状況でシャッターを切れるように遊び方を誘導することでこのような写真を撮ることができました。子どもポートレートを撮る一番のポイントはお父さんやお母さんが一緒に遊びながら撮ることです。年末年始の連休にはぜひお子さんと遊びながらの撮影にチャレンジしてみてください!