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シグマ「SD1」スペシャルギャラリー〜小笠原諸島父島

Reported by 吉住志穂

SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約8.5MB / 4,704×3,136 / 1/125秒 / F5.6 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 17mm

 2011年6月24日、小笠原諸島が世界自然遺産に登録された。海に囲まれた小さな島々における固有の動植物の進化、それらが織りなす生態系の価値が評価されたのだ。

 小笠原諸島は東京から約1,000km南にある島々の総称で亜熱帯海洋性気候に属する。距離は離れていても「東京都小笠原村」。島内には品川ナンバーを付けた車が走っている。小笠原へは東京の竹芝桟橋から週に1便の「おがさわら丸」で25時間半をかけて、父島の二見港へ入港する。

 最短での航海では父島の滞在日数は3泊。残念ながら今回は台風12号の影響でさらに滞在日数が1日減ってしまったが、機材にはシグマ「SD1」と「17-50mm F2.8 EX DC OS HSM」、「APO 120-300mm F2.8 EX DG OS HSM」、「20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF」「MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM」を用意し、世界遺産登録に沸く南の島を目指した。

 小笠原と聞いてまずイメージするのは美しい海。ダイビングやシュノーケリング、イルカウォッチングなど、海のレジャーが盛んで、透明度の高い海に入ると、驚きを超えて感動すら覚える。しかし、今回の撮影は海ではなく陸に注目した。固有の動植物が見られる父島だが、固有種の生存環境は厳しいものがある。我々人間が持ち込んだ外来種の勢力に押され、絶滅したり、数を減らしているという現実がある。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 作例はRAWで撮影し、「SIGMA Photo Pro 5」(SPP)で現像しています。


 今回使用機材にSD1を選んだのは、新たな有効4,600万画素フルカラーの「X3ダイレクトイメージセンサー」の実力を感じてみたかったためだ。

 シグマ独自のX3ダイレクトイメージセンサーはRGBの3層構造になっており、すべての画素で三原色を取り込む。そのため、ローパスフィルターを搭載しておらず、高い描写力を持つ。高画素であるぶん、データの書き込みにやや時間がかかるものの、風景の撮影では連写を必要とする機会は少ない。何よりも美しい色再現と高画質が重要視される。

SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約18.8MB / 4,704×3,136 / 1/25秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 21mm


SD1 / MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM / 約6.5MB / 3,136×4,704 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 105mm


SD1 / MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM / 約5.1MB / 4,704×3,136 / 1/100秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WBくもり / 105mm


 島内での撮影は標準ズームレンズが活躍する。熱帯植物が繁茂するトレッキングコースでは大きな荷物を持っていると歩きにくいので、多くの機材を持ちたくないのが心情。その点「17-50mm F2.8 EX DC OS HSM」は手ブレ補正が付いていて、薄暗い森の中でも手持ち撮影ができるし、高台からの展望風景や森の中での植物の撮影などで活躍する。

 撮影中によく使うのは2つのダイヤルと露出補正ボタン、測距点を変えるボタンで、それらの配置に不便はなく、少し触っているうちにファインダーを覗きながらでも操作できるようになる。ユーザーインタフェースはシンプルで、クイックセットボタンを押すと画面が切り替わり、直感的にISO感度やホワイトバランスなどの設定が行なえる。バッテリーは予備を1、2個用意しておきたい。

 花にはアサヒエビネ、ムニンセンニンソウといった固有種に出会った。貴重な草花は根本を踏みつけないよう、ワーキングディスタンスが保てる中望遠マクロが便利。MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSMは花と程よく距離が保てるうえ、近接画像はとてもシャープ。白い花のシベに着いた花粉のひとつひとつまで細かく描写されているし、背景もすっきりとぼけている。

 しかし、被写界深度が浅いぶん、ピント合わせはとてもシビア。ほとんどの撮影はAFを使っていたが、マクロ撮影だけはMFでピントを合わせた。SD1のファインダー倍率は0.95倍で、視野率は98%。覗いた瞬間、広がりを感じ、明るいのでピントが合わせやすかった。

SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約18.9MB / 4,704×3,136 / 1/50秒 / F8 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 38mm


SD1 / MACRO 105mm F2.8 EX DG OS HSM / 約5.9MB / 3,136×4,704 / 1/60秒 / F2.8 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 105mm


 父島に来て、ぜひ見てもらいたいのが夕景。太陽が海に没する様も美しいが、ドラマが始まるのは日の入りから数十分後。体が赤色に包まれるほどの美しい夕焼けが待っている。一番最後の作例を見ると、色を作ったのではないかと思われるかもしれないが、これが見た目通りの色。

 自然が描く色彩をSD1はしっかりと再現してくれた。JPEGのままではあっさりと再現されるので、RAW+JPEGで撮影しておき、必要な場合はRAW現像ソフト「SIGMA Photo Pro」で現像処理を行なうといいだろう。

SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約10.4MB / 4,704×3,136 / 1/20秒 / F11 / -1.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:くもり / 17mm


SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約6.8MB / 4,704×3,136 / 1/3秒 / F8 / -2EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴れ / 21mm


 夜になれば星がよく見える。繁華街から近く、広く空を見ることができるウェザーステーションで月の撮影を試みた。20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RFは星を撮るために用意したのだが、開放値が明るいレンズなので、感度を低く設定できてノイズを軽減できるし、速めのシャッター速度が得られるので、天体の移動による被写体ブレを抑えられる。

 月が明るいので星はうっすらとしか写っていないが、月に照らされた海は吸い込まれてしまいそうなほどに美しい。ピント合わせはオートフォーカスを頼りにしたが、しっかりと合わせてくれた。ファインダー内には11点クロスセンサーが広がる。センサーの範囲から外れた位置でピント合わせをしたいシーンもあったが、AFロックをして補った。

SD1 / 20mm F1.8 EX DG ASPHERICAL RF / 約5.7MB / 3,136×4,704 / 15秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:白熱電球 / 20mm


SD1 / APO 120-300mm F2.8 EX DG OS HSM / 約5.1MB / 4,704×3,136 / 1/3,200秒 / F4 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:晴れ / 300mm


SD1 / 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM / 約7MB / 4,704×3,136 / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / マニュアル露出 / WB:晴れ / 17mm

 2泊3日と言っても、実際に撮影できたのは丸1日と半分。あっと言う間に出航の時間だ。いつものことだが、このちょっとした物足りなさが、また訪れたいという気にさせる。しかし、帰りの船の中にもシャッターチャンスはある。

 小笠原諸島を抜けるまで、カツオドリが船の横を飛び回っていて、APO 120-300mm F2.8 EX DG OS HSMを手に持ちながら追いかけた。画質を優先しているために連写はせず、1回のチャンスごとに1度で決めるといった撮影方法をとった。女性の私にとって、このレンズは重く、手ブレが心配だったのだが、手ブレ補正がよく効いているのでシャープに写すことができた。

 小笠原諸島へ行くには6日間を要する。学業が忙しかったり仕事を持っていると、なかなか休みが取れるチャンスは少ないかもしれないが、1度訪れれば、その魅力を心で感じとってもらえると思う。ぜひ美しい自然をそれぞれの視点で残してほしい。






(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

2011/9/20 11:52