パナソニック「LUMIX DMC-GF1」でポートレートを撮ってみました

Reported by 西川和久


 今回は、パナソニックの「LUMIX DMC-GF1」でポートレートを撮ってみた。モデルはカレンちゃん。使ったレンズは「LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.」1本。全てJPEG+RAWで撮影し、付属の「SILKYPIX Developer Studio 3.0 SE」で現像、掲載サイズの1,699×2,544ピクセルへ縮小しつつJPEGへ変換した画像を掲載している。

 DMC-GF1の主な仕様は、有効画素数1,230万画素の4/3型Live MOSセンサー、最大記録画素数4,000×3,000ピクセル、ISO感度AUTO/インテリジェントISO/ISO100/200/400/800/1600/3200、バッテリーはバッテリーパック「DMW-BLB13」、記録メディアはSDHC/SDメモリーカード、アスペクト比3:2で3型の約46万ドット広視野角TFT液晶モニター……など。マイクロフォーサーズシステム規格対応のデジタルカメラだ。また「AVCHD Lite」や「QuickTime Motion JPEG」などHD動画にも対応している。

 特徴は、同じくマイクロフォーサーズシステム規格対応デジタルカメラの「オリンパス・ペンE-P1」とは違い、このコンパクトなボディにストロボを内蔵していることだろう。筆者はあまり気にしないのだが、友人などは「E-P1は凄くいいのだけど、ストロボが無いから……」と言う話をあっちこっちで聞いている。そう言う意味でこのDMC-GF1は注目度抜群! 筆者も最近E-P1でポートレートを撮ったばかりなので、比較的記憶も残っており、どう違うか書き易い。

 今回カメラの設定は、全てISO100、撮影モードは基本的にモードP(プログラムAE)なのだが、プログラムシフトを使ってできるだけ絞り開放近辺で撮っている。カラーなど色関連の設定はデフォルトのまま何も触っていないが、後でRAW現像しているため、色に関しては基本的に本体の設定はあまり関係無い。

 また「ポップ」、「レトロ」、「ピュア」、「シック」、「モノクローム」、「ダイナミックアート」、「シルエット」、「カスタム」の独自の発色を持つ「マイカラーモード」は、撮影後RAW現像で設定出来ず、撮影時に指定する必要があるため、一応一通り試したものの、被写体がポートレートだと向かないものもあり、今回大丈夫だった3パターンを文末に掲載しているので参考にして欲しい。


 使った印象であるが、AFも含め作動は速くAFも問題無く決まっている。「カシュン!」と言うシャッター音もなかなかいい感じだ。「後ダイアル」は「普通に回す」パターンと、「一旦押し込み回す」パターンと2モード持っている。この部分が少し慣れるまで手間取ったが、ユーザーインタフェースも良くできており非常に扱い易いカメラだ。バッテリーは今回計800枚程度撮っているが、インジケータに変化は無かった。RAW+JPEGの平均的なサイズは15MB前後。これだけの容量を毎回書き込んでの状態なので、バッテリーの持ちは良い方だと思われる。

 「LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.」はコンパクトで見た目も含めこのボディにベストマッチ。ホワイトボディでも違和感は無い。35mmフィルム換算40mmの画角もこの手の撮影には合っている。本来、開放近辺よりも少し絞った方が写りはシャープになるのだが、開放近辺でもこれだけシャープに写れば不満は無い。もちろん現像時に極度なシャープネスは施していない状態だ。

 そして筆者的に気に入ったのが付属のRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0 SE」を使った時のこの発色。JPEGもカラーモードやコントラストなどをカスタマイズすれば近い雰囲気になるかも知れないが、個人的に「派手」+「濃い目」+「ハイコントラスト」な絵が好みなので(好みのテイストと違う人には申し訳ないが)今回掲載した写真は全て、この雰囲気になるよう現像パラメータを触っている。

 色関係で主に触った部分は「カラー」と「コントラスト」。カラーは「記憶色1」として、コントラストはカット毎に調整した。また、後半の白い衣装は白とびが気になるカットのみ「ダイナミックレンジ拡張」している。ホワイトバランスはあまり変更しなかったので、そい言う意味では割と正確な方だろう。この記憶色1は、ご覧のように彩度が高く明るい感じの絵となるのが特徴だ。ただ「ちょっと彩度が高過ぎるかな!?」と思った時だけ彩度をマイナスしているものの、多くのカットはそのまま。同時に撮影しているJPEG(上段左上)をここへリンクするのでその色の違いを見て欲しい。デフォルト設定のJPEGの発色は、彩度が浅めでコントラストも低い。素材性重視と言う見方もできるが、ユーザー層を考えるともっとパッキリした絵を出してもいい気がする。

 いずれにしても前回のE-P1+OLYMPUS Master 2も含め、純正のRAW現像ソフトは、カラーモードの変更があるとは言え、どうしても無難な色にまとまっているイメージを以前から持っている。ソフトウェア的には熟成しつつあるので、+αの部分でもう少し冒険してもいいのではないだろうか。

 ただ1つだけ欠点をあげれば、「カメラのカラーモード」と「SILKYPIX Developer Studio 3.0 SEのカラーモード」に関連性が無いことだ。例えば標準の状態で撮ったJPEG画像と、同時に保存しているRAW画像を同じく標準の状態で現像しても結果が違う。当然の事ながら、カメラのカラーモードと現像ソフトのカラーモードが1対1で対応していない。この辺りは他社が作っているアプリケーションをバンドルしているだけに難しい部分だと思うが、できれば調整もしくは互換モードが欲しい。

 以上のようにDMC-GF1、レンズ交換式で手のひらサイズのコンパクトなボディ、SILKYPIXを使った多彩な現像、そしてストロボ内蔵と、完成度は非常に高い。マイクロフォーサーズシステム規格対応デジタルカメラとしてだけでは無く、カメラとして魅力的に仕上がっている逸品だ。

・マイカラーモードの一部

レトロ

ピュア

モノクローム

actress カレン
photographer西川和久
パナソニックDMC-GF1
LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.






西川和久

2009/10/30 00:19