特別企画
いまさら聞けない「レフ板」(リフレクター)入門
効果は? 使い所は? 改めてレクチャーします!
2016年8月31日 12:17
ポートレート撮影においで重要なことは、「光の見極め」と「光のコントロール」だ。特に光のコントロールには様々な機材やテクニックがあり、イメージに応じて使いこなす必要があるだろう。
今回はポートレートの定番アイテムである「レフ板」の使い方と使いこなしを紹介したい。
使用するレフ板は、プロのフォトグラファーであれば知らない人はいないほど有名なProfoto(プロフォト)のレフ板だ。Profotoでは「リフレクター」と呼んでいる。
左がレフ板の入っていたケース。右が取り出したところ。ここから広がる。
Profotoはスウェーデンの老舗ストロボメーカーで、Profoto B1やB2を発売して、ロケの撮影の概念を大きく変えたメーカーでもある。実はProfotoはレフ板も発売しており、筆者も愛用者の一人である。
レフ板の役割とは
レフ板の主な役割は、逆光などのシーンで明暗差を減らすことだ。
例えばポートレート撮影では、逆光で撮影することが多い。順光だとあごの下の強い影がつくなど、人物の表情が硬くなってしまうからだ。
ただし逆光でそのまま撮影すると、被写体である人物が暗く写ってしまう。特によく晴れた屋外でその現象は顕著で、背景を真っ白に飛ばすくらいにしないと顔は明るくならない。そんな時にレフ板を使えば、向かってくる逆光を人物に反射させることえで、顔を明るくできるのだ。
また逆光で撮影すると、光源が被写体の後ろにくるため、瞳にキャッチライトが入いりづらいというデメリットもある。キャッチライトが入ると瞳に輝きが加わり、印象が良くなる。
レフ板は、光を反射するためのシンプルな機材ではあるが作例を見ても分かるようにレフ板ありと無しでは印象が大きく変わるはずだ。
レフ板の使い方
ポートレート撮影でレフ板を使う際、人物に対して60度から90度くらいから当てることがセオリーといわれている。
しかし、下から光を反射しすぎるのはあまりお薦めできない。下から強い光が当たると顎の下に出る陰影は弱くなるが、不自然なお化けライトのようになりやすい。なぜ不自然なのか考えると、日常で下から強い光が反射するシーンは、おそらくスキー場など、雪のつもっている場所くらいだからだろう。
お薦めは人物に対して反射面を平行目から当てること。真下から光を反射するよりも自然な印象になる。
もちろん、日の弱い時などは90度下方向から当てることもあるが、日の強い時はあまり真下から光を反射しない方がよい。
また、光は光源が遠くなると硬くなるので、できるだけ被写体に近い方が光の質は柔らかくなる。また、人物に近づけば近づくほどキャッチライトも大きく入る。
Profotoのレフ板にはハンドルが2つ付いているため、一人でも扱うことができる。左手でレフ板を持って、右手でカメラを構えての撮影も可能だ。撮影する仲間が一緒の場合は手伝ってもらった方が良いだろう。
レフ板の選び方
大きさは?
Profotoのレフ板(リフレクター)にはMサイズとLサイズがある。Mが80cm、Lが120cmだ。折りたたむとMは直径35cm、Lは52cmまで小さくなる。
左からMとL。随分サイズが違う。
光は基本的に光の当たる面積によって強さが変わる。そのため、サイズが大きければ大きいほど反射面が広くなるので広範囲をライティングできる。
さらに面積が広くなると、柔らかい光源になる。柔らかいライティングにしたい場合は、MよりもLの方が向いている。逆にスポット的に使いたい場合はLよりもMの方が良いだろう。人物と一対一で撮影する場合はMをお薦めしたい。
色は?
Profotoのレフ板(リフレクター)には、様々な色が用意されている。一般的なレフ板は表面が白、裏面がシルバーだ。Profotoには他にも、サンシルバーやゴールド、ブラック、トランスルーセントなどがある。
一番使い易いのはやはりシルバー/ホワイトで、ホワイトは肌を綺麗に見せる効果があり、光も柔らかい。
シルバーは反射率も高く硬い光になる。コントラストを付けたい場合や日陰などで日が弱い場合に最適だ。
サンシルバーはシルバーのストライプ。シルバーよりも色温度が低くなるので、暖色系の表現になる。日陰で肌の色を出したい場合や、夕日の効果を出すには最適だろう。
ゴールドは最も色温度が低く、夕日の日を表現したり、暖かみを表現する場合に最適なレフ板だ。
ブラックは基本的に光の反射を防ぐために使う。ストロボや太陽光でハードライトする場合に、影の部分をより黒く締める場合にもよいだろう。
特殊な物としてはトランスルーセントがある。光を反射させるのではなく、光を透過させるために使う。日光が強い場合にはとても便利なアイテムだ。
ちなみに筆者はトランスルーセントを最も使う。様々な種類があるので、イメージ応じて選んでいただきたい。
レフ板はとてもシンプルな機材ではあるが、光の当てる角度や位置によって印象が大きく変わる。基本的には日光を反射するアイテムではあるが、ストロボをレフ板にバウンスして使う方法などもある。
Profotoのレフ板は持ち手があり、枠の部分ががとてもしっかりしているので、多少風が吹いても大丈夫なのでとても使い勝手よい。人物を撮影している方はぜひ、レフ板を使ってワンランクアップしてみよう。
おまけ:レフ板のたたみ方
Profotoのレフ板はフチ部分に入っているロッドが強力なため、勢い良く広がります。広げる際は、周辺の状況を見て広げましょう。特にLを使う際は気をつけて。
たたむ際は持ち手を持って、もう一方の手で対角線上を掴みます。そして、S字になるように捻ってできた内側の縁を外側の縁の内側に入れてたたみます。動画はMサイズですが、Lサイズになると少し力が必要ですが、基本は同じです。
モデル:甲斐琴珠
協力:プロフォト株式会社