イベントレポート

写真を選ぶときはプリントで 岡嶋和幸さんのPIXUSセミナーを紹介

好評につき2度目の開催が実現 プロのセレクト術を披露します!

今回で第3回目となる「プリントすると写真がうまくなるって本当? with Canon PIXUS PRO-100S セミナー・体験会」が、神保町のインプレスセミナールームにて11月20日に開催された。

講師を務めたのは写真家の岡嶋和幸さん。岡嶋さんによる本セミナーは第1回目に続いて2回目となる。

セミナーの詳細は前回の記事を参照してもらうとして、今回はおさらいの意味も込めて「岡嶋和幸流フォトセレクト術」をダイジェストで紹介していくことにしよう。記事の最後にはご参加いただいた方々の感想を載せているので、会場の写真とあわせて当日の雰囲気を感じ取ってもらえれば幸いだ。

体験会のために用意されたプリンターは、前回までと同じくキヤノンの「PIXUS PRO-100S」。8色染料インクの写真プリントに最適な高画質プリンターで、参加者1人につき1台が割り当てられている。

PCはマイクロソフト社の「Surface Book」。キヤノン純正のRAW現像ソフト「Digital Photo Professional」とプリント補助ソフト「Print Studio Pro」がインストールされている。これも前回と同じ。

交換用のインクと用紙も十分に用意されていた。用紙の種類は、セレクト用にキヤノン写真用紙・光沢 スタンダードが、本プリント用(作品出力用)にはキヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード]、キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター、キヤノン写真用紙・プレミアムマットの3種類がある。

参加者は持参した60枚の画像データ(RAW+JPEGで撮影したもの)を使って作業を進めていくことになる。具体的な手順としては、

A4サイズで60枚の画像をインデックスプリント

セレクトした画像を2Lサイズでプリント

さらに絞り込んだ画像をA4サイズで本プリント

というのが基本的な流れであり、プリントサイズを段階的に大きくしながら最終的に作品となる写真を選んでいく。

プリントを見ることで自分の写真を知る

ここからはセミナーを風景をもとに、作品1枚を選ぶまでの工程をみてみよう。

インデックスプリントから連続したシーンを選ぶ

持参した60点の画像をA4サイズの用紙にインデックスプリントするところから作業が始まる。そして、この段階からPCでなくプリントで写真をみるというところが重要。

PC画面だと1枚1枚に主観的になりすぎてしまうため、逆に迷いが生じやすくなってしまい判断がアバウトになりがち。インデックスプリントなら60枚の写真でも並べて一覧できるため、客観的に自分の写真を見ることができるのだ。

連続したシーンを2Lサイズですべてプリント

インデックスプリントから、自分が気になる一連の「シーン」を選ぶ。次はそれを2Lサイズで全てプリントする。

2Lサイズのプリントを並べて作品数点を選別

出力した2Lサイズのプリントは、全てを一括して比べてみる必要があるため、床に並べて立った状態で観察する。ある意味、岡嶋流セレクト術ではひとつのハイライトになる過程だ。

2Lサイズプリントを並べて観るために最適で最も容易な鑑賞距離、というのが理由であるが、写真を床に置くと聞くと誰もが最初は「え!」となって遠慮してしまう。しかし今回は、参加者の方々が前回の記事を読んできてくれたのか、非常にスムースに事が進行していた。ありがとうございます。

この段階では、気になった写真とそれによく似た3〜4枚の写真を選ぶ。「自分の直感を信じて」迷わず選ぶことが大切だ。

選別した作品数点をA4サイズにプリント、1点を選ぶ

2Lサイズプリントから気になるカットを数枚選んだら、次はA4サイズでプリントをする。この大きさになってくると、露出や構図などわずかな違いが分かりやすくなり、セレクトにも力が入ってくる。とはいっても決め手はあくまで「自分の直感を信じて選ぶ」なのである。

岡嶋流セレクト術のもうひとつのハイライトがここ、「壁などにA4サイズプリントを仮貼りして鑑賞する」である。A4サイズの大きさであれば、4枚なら2.5mくらい、1枚をじっくり見る場合は概ね60cmくらい、がセレクトのための最適な距離となる。

用紙を選択

A4サイズプリントから作品とするための1枚を選んだら、次は用紙の選択。これも、写真に合った最適なイメージを表現するための大切な作業だ。岡嶋さんが用意した用紙種類毎のサンプルを参考にして用紙を決めているところ。

画像調整

用紙の選択が終わったら、次はRAW画像を使っての画像調整だ。作品に昇華させるために、本番プリントを前にして、選んだカットをより自分のイメージに近づけていく。ここで初めて、ピクチャースタイルやホワイトバランス、明るさなどを調整する。

本番プリント

いよいよクライマックスとなる本番プリント!セレクトを繰り返して選んだ1枚が結果として出力される瞬間、ドキドキである。

本番プリントとはいっても、ここでも調整を少しずつ変えたプリントを出力し、並べて見比べた上で最終決定をすることになる。作品としてのプリントを決めるには、結局プリントから選ぶしかないのだ。

プリントからの最終的な作品決定は、演色性に優れた色評価用の光源の下に並べて行う。岡嶋さんやスタッフ、他の参加者の皆で意見を出し合いながら選ぶのも、本セミナーの特長といえるだろう。

これで60点から最期の1点が選ばれた。ここからはセミナーを受講した参加者の感想をお届けしよう。

参加者の声

佐藤浩一さん

佐藤浩一さん

「写真をセレクトする時に1枚1枚をプリントすることの大切さがよくわかりました。いままではモニターで何となくといった感じで選んでいましたけど、気になるシーンを全部プリントして並べて観ることで、少しの構図や明るさの違いで随分印象が違って見えてきます。同時に自分が撮った写真に何が足らなかったかも見えてきたような気がします。写真を撮る時にも、プリントする時にも、1枚1枚を大切にしていこうと思いました」

「PIXUS PRO-100Sのような本格的なプリンターを使ってみたのは初めてです。最後はマット紙(キヤノン写真用紙・プレミアムマット)で桜の写真をプリントするように決めましたけど、写真をマット紙でプリントするなんてことも初体験でした。そうしたら自分が想像もしていなかったような、すごく綺麗な写真がでてきて本当に驚きました。それはもう、カメラをコンデジから一眼レフに変えたくらいの驚きです(笑)」

「紙によって写真が変わるって聞いてはいましたけど本当だったんだって。やっぱりプリントすると写真が変わりますね」

佐野大介さん

佐野大介さん

「事前に60枚の一連の写真を送る必要があり、自分の撮ったデータを見てみたら、一連の写真というものが少なくて、これはまず撮影の方法論からして違っていたのだなと気づかされました。同じ被写体でも構図や露出を変えてなるべく多く撮り、そこから今日のセミナーで教えていただいたようなセレクトをしていくようにしたいと思います」

「いままでRAWで撮って後で設定を変更すればいいと安易に考えていましたけど、撮影する時から作品として最後の仕上がりをイメージして大切に撮るようにしなければいけないと痛感しました」

「実は今、PIXUS PROが欲しくてしょうがなくて、10Sにしようか100Sにしようか悩んでいたところです。何度か品川にあるキヤノンのショールームまでいって試させてもらっていました。そうしたこともあって参加したのですが、今日のセミナーを通して、作品を作るときのプリンターの大切さを実感できました」

「ラスター紙(キヤノン写真用紙・微粒面光沢 ラスター)」にプリントされた自分の写真を見て、染料インクの100Sの発色の良さに魅かれましたが、顔料インクの10Sの良さも捨てきれず、やっぱりまだ迷っています(笑)」

白石一洋さん

「普段はパソコン上で写真を見て、比べてみたりすることもあまりせず、1発決めでプリントまでしていました。今日のセミナーを通して、今まで自分が行ってきた写真のセレクトは、正しいセレクトになっていなかったと強く納得しました」

「岡嶋先生の方法でセレクトをしたら、今までなら失敗だと思って消去法でボツにしていた写真が残り、最終的には作品となったので驚きました。RAWは保存していましたが、RAWから画像調整をするのも初めて。大変勉強になりました」

「実はプリンターなんてどれも同じだと考えていたのですけど、それも全然違いました。PIXUS PRO-100Sでプリントした写真は、自分がいままで知っていた写真と全く違います。無理だと思っていたシビアな色を、思った通りに表現することができます」

「マット紙を選んだのは、RAW調整をすると自分の意図に近づいてくることが面白くなり、一般的な光沢紙以外の用紙も試してみたくなったからです。もともとコントラストが高めの写真だったのですが、落ち着きのある雰囲気にすることができました」

塚田真由紀さん

「教室に通って写真を勉強しているのですけど、フォトコンテストに応募した時にプリントの問題を指摘されたことがあったので、今回のセミナーに参加してみました」

「写真のセレクトはいままでも行っていましたが、綺麗と思った写真を、何となく全体の雰囲気で選んでいたのです。でも岡嶋先生からセレクトの際に、何に視点を置いて選ぶかを具体的に教えてもらえたことで、写真に対する意識そのものが変わりました」

「私はPIXUS PRO-10Sをもっていて、初めて使ったときにお店の簡易的なプリントとは比べ物にならない綺麗な写真がでてきたのでびっくりしたのを覚えています。普段はマット系の用紙を使っているのですが、今日はラスター紙が自分の表現に合うかどうか試してみたくて選びました。やはり用紙が変わると写真のイメージも変わるので楽しいですね」

「いままでプリントの枚数を控え目にしていましたけど、今日の体験でもっといろいろプリントしてみようという気になりました。フォトコンテストにもまたチャレンジしたいです」

飛塚俊秀さん

飛塚俊秀さん

「今日のセミナーでは岡嶋先生が、パソコン画面だけでセレクトを終わらせてしまうことの危険性をお話されていましたが、実際にプリントしてセレクトを繰り返すという体験をしてみたことで、その意味がよく理解できたと思います」

「正直いいまして、セレクトする時はパソコン上で完了してしまっていましたし、今回のように最終的にDPP(Digital Photo Professional)を使ってRAWから作品に向けて調整を追い込むといったこともしていませんでした。岡嶋先生と相談しながらそのプロセスを体験できたことで、来てよかったと思います。ぜひ今後に役立てていきたいと思います」

「初めてPIXUS PRO-100Sを使いましたが、自分のプリンターと表現力がまったく違って驚きです。特にディティールの表現力がまったく違います」

「今回は光沢紙(キヤノン写真用紙・光沢 プロ [プラチナグレード])を使いましたけど、皆さんの作品を見ていたらマット紙も試してみたくなりました。チャレンジしてみます」

三好共子さん

「写真を撮るのは好きなのですけど、記念写真をお店でプリントしてもらうくらいの経験しかなかったので、今日教えていただいたことはすべて新鮮でした。写真をセレクトするという行為も初めてですけど、プリントしてセレクトして、またプリントしてというプロセスが楽しくて、とても有意義な時間を過ごすことができました」

「もちろん、本格的なプリンターを使うのも初めてです。RAWでピクチャースタイルやホワイトバランスを調整して色味を強調してから、光沢紙を選んでプリントしてみました。プリンターから出てきた写真が生まれ変わったように綺麗だったので感動です。私もコンテストに応募できるような写真が撮れるかもしれない、と思うとこれから先の写真ライフが楽しみです」

「PIXUS PRO-100Sのすごさも分かったので、置き場所を確保するために家族を説得します(笑)」

過去2回のレポートはこちらです!

鶴巻育子さんに学ぶ「プリントすると写真がうまくなるって本当?」
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1021831.html

プリントすると写真が上手くなる!岡嶋和幸流フォトセレクト術を学ぼう
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1014049.html