新製品レビュー

ソニーα7S II(外観・機能編)

5軸手ブレ補正と4K本体記録に対応した超高感度カメラ

35mm判フルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラ、ソニーα7シリーズの新顔として「α7S II」が登場した。同シリーズは昨年末から今年にかけ、スタンダードモデル「α7」の上位製品として「α7 II」を、高解像モデル「α7R」の上位製品として「α7R II」をそれぞれ発売してきたが、今回のα7S IIは高感度モデル「α7S」の上位製品である。

「α7S II」に標準ズーム「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」を装着した状態

注目のポイントは、最高ISO409600という圧倒的な高感度を継承しながら、新たに5軸手ブレ補正機構をボディに内蔵したこと。夜間や夕方、室内など薄暗いシーンでの手持ち撮影にいっそう強くなった。加えて、カメラ本体での4K動画撮影が可能になったことや、ファインダーの強化、AFのスピードアップなども見逃せない。

発売は10月16日。価格はオープン。本稿掲載時の実勢価格は税別42万円前後。本稿ではまずα7S IIの外観と機能をお伝えする。

高品位な雰囲気に満ちたマグネシウム合金ボディ

まずは外観を見てみよう。ボディの基本デザインは、先行して発売された第2世代の2モデル、α7 IIおよびα7R IIとほとんど同じだ。平面と直線を多用したシャープな形状であり、EVFを中心にして左右のバランスが取れている。外装は表面にシボ処理を加えたマグネシウム合金製。質感は高く、手にするとしっかりとした剛性感が伝わってくる。

ボディサイズは幅126.9×高さ95.7×奥行き60.3mmで、バッテリーとカードを含めた質量は約627g。既存のα7Sに比べた場合、手ブレ補正を内蔵したため、奥行きは約12mm増し、重量は138gアップしている。そもそもα7シリーズは、フルサイズの一眼レフよりも小型軽量であることが大きな利点のひとつだったが、手ブレ補正を内蔵した第2世代のモデルに関しては結構重めで、レンズも含めると一眼レフとの差は小さくなっている。

α7シリーズでは6製品目であり、四角いEVFを中央に配置したシルエットラインはもはやお馴染みのもの。曲面を多用したAマウントのαシリーズとは対照的に、平面と直線を生かしたデザインだ
各部のシーリング処理によって防塵防滴に配慮されていることもシリーズ共通の特長。グリップ部には手触りのいいラバーが張られ、手にぴったりとなじむ
天面にはマイクやスピーカー、マルチインターフェースシュー、モードダイヤル、カスタムボタンなどが並ぶ。モードダイヤルには、α7R IIと同じくロック機構が備わっている
これまでと同じく、マウント部にはαのブランドカラーである「シナバー」と呼ばれるオレンジ色を配置。グリップの下にはバッテリー室があり、レンズ光軸の延長線上には三脚ネジ穴がある
右側面には、NFC機能のNマークやメモリーカードスロットを装備。グリップ部には動画ボタンを備える
左側面の端子カバー内には、外部マイク端子とヘッドホン端子、マルチ/マイクロUSB端子、HDMIマイクロ端子がある

レンズ側とボディ側の両方で行える手ブレ補正

続いて手ブレ補正やシャッターなどメカ部分での、α7Sからの進化点を見てみよう。

手ブレ補正には、α7 IIやα7R IIと同じく5軸対応のものをボディに内蔵する。5軸とは、一般的な角度ブレ(ピッチ/ヨー)の補正に、シフトブレ(X軸/Y軸)と回転ブレ(ロール)の補正を加えたもの。手ブレ補正非搭載のレンズを使った場合、この5軸すべてがボディ側で補正される。また手ブレ補正搭載レンズの場合には、2つの角度ブレがレンズ側で、そのほかの3つがボディ側でそれぞれ分担して補正されるようになっている。

ソニーEマウントを採用。マウントアダプターを介して他のマウントのレンズを装着した場合でもボディ内手ブレ補正が作動する
α7 IIやα7R IIと同じく、グリップの上にシャッターボタンを装備。シャッター音はα7Sよりも静音化し、レリーズ時のシャッターショックも低減している
α7Sやα7R IIからサイレント撮影機能を継承。α7Sとは異なり、カスタムボタンに割り当て可能になったことは便利だ。またα7R IIとは異なり、サイレント撮影時に最大5コマ/秒の連写を行うこともできる

補正の効果は、シャッター速度最高4.5段分。試用では、単焦点レンズ「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を使った場合、シャッター速度1/4秒では約9割のカットをぶらさずに撮影できた。暗所でも安心して撮影できる心強い性能だ。

シャッターにはα7R IIと同じく、ブレーキ機構を組み込んだ低振動シャッターを新搭載した。これによって静音化と耐久性の強化を図り、公称のレリーズ耐久性は約50万回。驚異的ともいえる数字だ。ちなみに、同社Aマウントのフラッグシップ機「α99」のレリーズ耐久性は約20万回である。

ファインダーについてもα7R IIと同じく、T*コーティングを施した0.5型の有機ELファインダーを搭載。ドット数は約236万ドットで、ファインダー倍率は0.78倍。比較的な大きな表示であり、見やすさは良好。四隅までのくっきりとした表示を確認できた。

ファインダーの接眼部には、アイピースカップ「FDA-EP15」が標準装備。またファインダーの横にはアイセンサーがあり、液晶モニターとの自動切り替えができる
液晶モニターには約122.1万ドットの3.0型ワイドTFTを装備する。α7 IIと同じく上に約107度、下に約41度のチルト可動に対応。ローポジションやハイポジションでの撮影に役立つ

4K動画撮影やLog撮影の使い勝手が向上

AFにはコントラスト検出方式を採用。測距点の数は、α7Sの25点からα7S IIでは169点へと細分化し、検出精度の向上が図られている。残念ながらα7R IIとは違って像面位相差AFには非対応だ。ただ実写では、低コントラストの被写体で迷うケースが何度かあったものの、全体的にはAFに大きなストレスを感じることはなかった。

フォーカスエリアの設定画面。ワイドやゾーン、中央、フレキシブルスポット(S/M/L)などのほか、狙った被写体にピントを合わせ続ける「ロックオンAF」も選べる

撮像素子および画像処理エンジンはα7Sを継承する。すなわち撮像素子は35mmフルサイズの有効約1220万画素CMOSセンサーで、処理エンジンは「BIONZ X」となる。常用の最高感度ISO102400、拡張設定での最高感度ISO409600という感度の仕様にも変わりはない。

画質関連の機能では、より階調豊かに記録できる「非圧縮RAW」に対応したことが新しい。撮影データ1点のファイル容量は、通常の圧縮RAWでは12MB前後であるのに対して、非圧縮RAWでは24MB前後。一般的なシーンでは画質に大きな差は見られなかったが、少しでも多くの情報量を記録したいときには役立つだろう。しかも、そもそも記録画素数があまり大きくないため、非圧縮RAWを選んでもファイル容量が巨大になりすぎることはなく、PC上での現像処理は比較的スムーズに行える。

圧縮と非圧縮が選べるRAW記録方式の設定画面。なお本機のRAWデータは14ビットの分解能を持つが、連写やサイレント撮影時には12ビットに制限される

動画については、全画素読み出しによる4K撮影を本体(対応する記録メディアを使用)で可能になったことがトピックだ。α7Sでは欠かせなかった4K記録用の外部レコーダーが不要になり、撮影の自由度と機動力が向上。使い勝手を高めるうれしい進化だ。

また一足先に4K本体記録を実現したα7R IIでは、Super 35mmフォーマット(APS-Cサイズ相当)選択時に4Kの全画素読み出しが可能だったが、α7S IIではフルサイズでの全画素読み出しに対応している。さらに、S-Log2に加えてS-Log3が選択可能になったことや、S-Log収録の際にコントラストのある自然な映像でモニタリングできる「ガンマ表示アシスト」機能を搭載したことは、動画ユーザーにはありがたいポイントだろう。

4K動画撮影に対応。記録フォーマットはXAVC Sで、最大ビットレートは最大100Mbpsとなる。また、120fpsのフルHD記録や4倍/5倍のスローモーション動画機能も備える
コントラストが低いLog撮影では露出判断やピント合わせがやりにくいが、新機能「ガンマ表示アシスト」を使うことで、最終的な仕上がりに近い映像を見ながら撮影可能になる

いっそう充実した基本性能と強気の価格設定

トータルとしては、手ブレ補正やシャッター、ファインダー、AFといった撮影時の操作感に関わる重要な部分が進化し、カメラとしての完成度は確実に高くなったといえる。α7Sに比べてボディがやや大きくて重くなり、持ち運びの負担は増えたが、それに見合うだけの安心感と快適さが加わっている。少ない画素数がもたらす超高感度と広ダイナミックレンジというこれまで通りの魅力もある。

気になるのは、42万円前後という店頭価格だ。α7Sに比べると2倍以上であり、趣味として写真を楽しむ一般ユーザーにとっては気軽には手を出しにくいお値段である。

ただ、業務用にも役立つ本格的な動画カメラとして捉えた場合には一概に高価ともいえない。本格動画機能の必要性に応じて、併売されている既存のα7Sを選ぶか、最新のα7S IIを選ぶか、という判断になるだろう。次回は、実写編をお届けする。

カスタムボタンは10個もあり、最大65項目の機能から自分にとって使用頻度の高いものを割り当てることが可能だ
記録メディアは、SDXC/SDHC/SDメモリーカード、およびメモリースティックPROデュオなどに対応。Wi-Fi経由でスマホと連携したり、各種アプリによって機能を拡張することも可能だ
電源はリチウムイオン充電池「NP-FW50」。CIPA規格準拠の撮影可能枚数はファインダー使用で約310枚、液晶モニター使用で約370枚となる
単焦点レンズ「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」を装着。明るい開放F値と超高感度、そして5軸手ブレ補正という暗所に最強の組み合わせだ

永山昌克

広告スタジオを経て、1998年よりフリーランスのフォトグラファー。以後、主に雑誌やウェブ、広告の分野で活動。得意分野は都会のスナップ。写真展に「チャイニーズ・ウエスタン」(銀座ニコンサロン)、著書に「写真の構図&アングル練習帳」(ソーテック社刊)などがある。