新製品レビュー
HASSELBLAD CFV-50c(実写編)
高感度性能アップで手持ち撮影も可能に
上田晃司(2014/10/3 11:00)
前回はHasselblad CFV-50cの機能や操作感を中心にご紹介した。ハッセルブラッドユーザーにはCFV-50cが気になっている方も多いのではないだろうか。今回は画質についてご紹介しよう。風景やスナップを中心に様々なシーンで撮影をおこなったので、その実力を見ていただきたいと思う。
今回は筆者が愛用しているハッセルブラッドのレンズ、Hasselblad C80 T*とHasselblad C60mm T*の2本で撮影した画像から、CFV-50cの実力を見てみよう。記録解像度は最大8,272×6,200ピクセル。基本的にはRAWで撮影した画像を、専用ソフトであるPhocusで現像している。
高感度
CFV-50cはISO100-6400の範囲で感度設定できる。今回は安定した光の状況下でISO感度性能テストをおこなった。驚くべきは、CCDのセンサーを使用していたモデルに比べ、高感度性能が飛躍的に向上していることだろう。中判デジタルバックの最大のウィークポイントと言えるほど、今までのデジタルバックは高感度に弱かった。
しかし、CFV-50cでは、ISO100〜800くらいまでは正直ノイズは全く気にならないレベル。画像等倍で見ても大きな不満はない。細かく見てみると、ISO1600くらいになって暗部に少しざらつきがみられる程度で、問題なく使用可能。ISO3200になるとノイズは増すが、十分実用できる印象。ISO6400になるとカラーノイズが目立ち、解像感も下がる。画質重視のユーザーはISO3200くらいまでで使用すると良いだろう。
ISO3200が問題なく使用できることで、今まで撮影を諦めていたローライトコンディションなどでも気兼ねなく撮影できるのがうれしい。最も使用するISO400-1600が非常にクリーンなので、筆者のように手持ちスナップするユーザーにはオススメだ。
JPEG同時記録が可能に
機能編でも紹介したが、CFV-50cでは1/4サイズ(1,250万画素)のJPEGを同時記録できる。一般的なデジタル一眼レフやミラーレス機とは違い、仕上がり設定など画づくりに関する設定はない。イメージ的には、RAWファイルをPhocusでストレート現像した時の画づくりに近い印象だ。Webにアップしたり、簡単な印刷には十分耐えるクオリティーだ。
なお、RAW記録の注意点として、CFV-50c単体で撮影すると形式は「3FR」になる。純正のRAW現像ソフトで現像したい場合は、一度インポートして「fff」という形式に変更して作業することになるので、少しだけ手間が掛かってしまう。3FRのファイルはPhotoshopのCmaera RAWなどから直接RAW現像することは可能だ。
またCFV-50cは、50MPの4:3に加え、1:1の正方形写真を撮影することもできる。RAW+JPEGで撮影する場合、JPEGは1:1記録だが、RAWはPhocusで開くと4:3に戻すことも可能だ。正方形フォーマットで撮影すると焦点距離にして約1.6倍相当の画角になってしまうものの、ハッセルらしい正方形の写真を撮影できる。
まとめ
今回、CFV-50cを愛機のHasselblad 503CWに装着して様々なシーンで撮影した。使用して最も魅力的だったのは、やはり高感度性能の良さだろう。筆者は様々なデジタルバックを使用しているが、デジタルバックや中判デジタルカメラでは、高感度は諦めるものだとずっと思ってきた。
今回、CFV-50cを使用して中判デジタルバックも十分高感度で撮影できることを実感した。画質は高く、筆者の所有しているオールドのハッセルブラッドレンズでも十分なクオリティーを堪能できた。CFiやCFEの比較的新しいレンズを使用すれば、さらに質の高い描写を楽しめるに違いない。価格はデジタル一眼レフカメラと比べてしまうと高価ではあるが、ハッセルブラッドを使用しているユーザーには是非体験していただきたい1台である。