新製品レビュー

HASSELBLAD CFV-50c(実写編)

高感度性能アップで手持ち撮影も可能に

前回はHasselblad CFV-50cの機能や操作感を中心にご紹介した。ハッセルブラッドユーザーにはCFV-50cが気になっている方も多いのではないだろうか。今回は画質についてご紹介しよう。風景やスナップを中心に様々なシーンで撮影をおこなったので、その実力を見ていただきたいと思う。

今回は筆者が愛用しているハッセルブラッドのレンズ、Hasselblad C80 T*とHasselblad C60mm T*の2本で撮影した画像から、CFV-50cの実力を見てみよう。記録解像度は最大8,272×6,200ピクセル。基本的にはRAWで撮影した画像を、専用ソフトであるPhocusで現像している。

遠景

下は青枠位置の等倍切り出しです
建物の外壁がツタで覆われている。等倍で見てみると、ツタの葉の細かい部分までしっかりと解像しているのがわかるだろう。使用しているのは数十年前のレンズではあるが、CFV-50cの高画素にも耐えているように感じられる。
下は青枠位置の等倍切り出しです
函館の港に停泊している船を撮影。船体の錆のディテールやケーブルなど細い線までしっかりと描写しており、船体に書かれた小さな文字なども読むことができる。

高感度

CFV-50cはISO100-6400の範囲で感度設定できる。今回は安定した光の状況下でISO感度性能テストをおこなった。驚くべきは、CCDのセンサーを使用していたモデルに比べ、高感度性能が飛躍的に向上していることだろう。中判デジタルバックの最大のウィークポイントと言えるほど、今までのデジタルバックは高感度に弱かった。

しかし、CFV-50cでは、ISO100〜800くらいまでは正直ノイズは全く気にならないレベル。画像等倍で見ても大きな不満はない。細かく見てみると、ISO1600くらいになって暗部に少しざらつきがみられる程度で、問題なく使用可能。ISO3200になるとノイズは増すが、十分実用できる印象。ISO6400になるとカラーノイズが目立ち、解像感も下がる。画質重視のユーザーはISO3200くらいまでで使用すると良いだろう。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400

ISO3200が問題なく使用できることで、今まで撮影を諦めていたローライトコンディションなどでも気兼ねなく撮影できるのがうれしい。最も使用するISO400-1600が非常にクリーンなので、筆者のように手持ちスナップするユーザーにはオススメだ。

JPEG同時記録が可能に

機能編でも紹介したが、CFV-50cでは1/4サイズ(1,250万画素)のJPEGを同時記録できる。一般的なデジタル一眼レフやミラーレス機とは違い、仕上がり設定など画づくりに関する設定はない。イメージ的には、RAWファイルをPhocusでストレート現像した時の画づくりに近い印象だ。Webにアップしたり、簡単な印刷には十分耐えるクオリティーだ。

同時記録のJPEG
RAWからストレート現像

なお、RAW記録の注意点として、CFV-50c単体で撮影すると形式は「3FR」になる。純正のRAW現像ソフトで現像したい場合は、一度インポートして「fff」という形式に変更して作業することになるので、少しだけ手間が掛かってしまう。3FRのファイルはPhotoshopのCmaera RAWなどから直接RAW現像することは可能だ。

またCFV-50cは、50MPの4:3に加え、1:1の正方形写真を撮影することもできる。RAW+JPEGで撮影する場合、JPEGは1:1記録だが、RAWはPhocusで開くと4:3に戻すことも可能だ。正方形フォーマットで撮影すると焦点距離にして約1.6倍相当の画角になってしまうものの、ハッセルらしい正方形の写真を撮影できる。

1:1でも撮影できる

まとめ

今回、CFV-50cを愛機のHasselblad 503CWに装着して様々なシーンで撮影した。使用して最も魅力的だったのは、やはり高感度性能の良さだろう。筆者は様々なデジタルバックを使用しているが、デジタルバックや中判デジタルカメラでは、高感度は諦めるものだとずっと思ってきた。

今回、CFV-50cを使用して中判デジタルバックも十分高感度で撮影できることを実感した。画質は高く、筆者の所有しているオールドのハッセルブラッドレンズでも十分なクオリティーを堪能できた。CFiやCFEの比較的新しいレンズを使用すれば、さらに質の高い描写を楽しめるに違いない。価格はデジタル一眼レフカメラと比べてしまうと高価ではあるが、ハッセルブラッドを使用しているユーザーには是非体験していただきたい1台である。

作品集

北海道に旅立つ前に展望デッキから撮影。Hasselblad C 80mm T*レンズを使用して撮影。若干収差は目立つが、描写力は高く飛行機のエッジ部分もしっかりと表現できている印象だ。Hasselblad C 60mm T* / 1/500秒 / F8.0 / ISO100
スープカレー屋さんの前にディスプレーしてあった、おしゃれな量りを撮影。ISO800で撮影したがノイズなどは全く気にならない。絞り開放でもしっかりと合わせれば、ピント位置はシャープでボケも美しい。Hasselblad C 80mm T* / 1/8秒 / F2.8 / ISO800
小樽運河を12秒間の長時間露光で撮影。輝度ノイズの発生もなく、とてもクリアな印象だ。街灯などのディテールまで鮮明に写っている。Hasselblad C 80mm T* / 12秒 / F8.0 / ISO100
廃線を見つけたので撮影。絞り開放で撮影し、中判ならではの立体感あるボケを堪能できた。Hasselblad C 80mm T* / 1/125秒 / F2.8 / ISO400
雑貨屋さんのディスプレーを撮影。日が落ちてローライトコンディションではあったが、ISO3200で手持ち撮影できた。このようなシーンではISO3200でもノイズ感は気にならない。Hasselblad C 80mm T* / 1/125秒 / F2.8 / ISO3200
小樽駅で列車を撮影。サイド光で明暗差が激しかったが、白飛びや黒つぶれはほとんどない。ダイナミックレンジはとても広く、列車の陰部分の石や線路のディテールまでしっかりと確認できる。Hasselblad C 80mm T* / 1/250秒 / F8.0 / ISO100

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/