新製品レビュー

HASSELBLAD CFV-50c(外観・機能編)

高感度、JPEG、連写…ハッセルユーザー待望のデジタルバックが登場

HASSELBLAD(ハッセルブラッド)Vシリーズユーザーにとっては、朗報とも言えるデジタルバック「CFV-50c」が7月21日に発売された。価格は、デジタルバックとしては抑えめの設定になっており、実売価格で約108万円だ。

CFV-50cは、センサーにCMOSセンサーを採用しより使いやすく、撮影の可能性を大きく広げてくれたデジタルバックだ。今回はCFV-50cの外観と機能についてご紹介していこう。

CFVシリーズは、1,600万画素36.7×36.7mm CCDを搭載した「CFV」から始まり、その後継機種「CFV-II」、3,900万画素36.7×49.1mm CCDセンサーの「CFV-39」、5,000万画素36.7×49.1mm CCDセンサーの「CFV-50」と進化を遂げてきた。そして最新モデルが、5,000万画素32.9×43.8mm CMOSセンサーを搭載するこの「CVF-50c」だ。

スペックは、4月に出荷が始まったHASSELBLAD H5D-50cのデジタルバック部分とほぼ同等となる。

ISO6400の高感度撮影が可能に

まずは簡単にスペックを見てみよう。センサーには約5,000万画素の32.9×43.8mmサイズのCMOSセンサーを採用。ピクセルサイズは5.3×5.3μmとなっている。CMOSセンサーを搭載したことで、CFV-50やCFV-39とくらべセンサーサイズが小さくなり、レンズの焦点距離倍率は約1.3倍となった。

ハッセルブラッドの標準レンズである80mmのレンズを装着すると、35mm判換算で約68mmのレンズとして使用できる。80mmの画角で慣れているユーザーは、60mmなどの方が使いやすいかもしれない。

CMOSセンサー採用の最大の利点は、高感度性能が飛躍的に向上したことだろう。実際の画質は次回の実写編でご紹介するが、ISO感度はISO100〜ISO6400に対応する。

ISO6400までの高感度撮影が可能になった

今までのモデルはISO50〜ISO800までしか対応していなかった上、実用ISO感度がISO200程度だったため、三脚を使った撮影やスタジオユースがほとんどだったが、本機では高感度を使った手持ち撮影も可能になった。

さらに、長時間露光は最長12分まで対応。CCDのCFV-50が最長128秒だったことを考えると、圧倒的に長時間露光の自由度が増している。風景を主に撮影するユーザーには朗報かもしれない。

長時間露光も12分まで。夜景などで役立ちそうだ

また、1.5コマ/秒の撮影を実現しているため、ワインダーCWなどを使用しても、ストレスなく撮影することが可能だ。

画像はハッセルブラッドのRAWフォーマット「3FR」に加え、RAW+JPEGの同時記録にも対応した。CFVシリーズとしてはJPEGそのものが初めての挑戦で、RAW現像をすることなく、撮影画像を確認できるようになった。JPEGは、フル解像度の1/4サイズ=1,250万画素で記録される。

画像フォーマットはRAWのみとRAW+JPEGが選択可能。画像プロファイルはAdobe RGBとsRGBから選択できる。

マルチフォーマットにも対応し、センサーの全体を使用した4:3の50MPと、HASSELBLADらしい正方形フォーマットの38MPでの撮影に対応している。

アスペクト比の設定では50MPの4:3か38MPの1:1を選択できる。

3FRは付属のソフトウェア「Hasselblad Phocus」で現像できる。このソフトを使うと、古いレンズなどの収差も補正可能だ。PCを使ったテザー撮影やライブビューも可能だ。その他、Adobe Photoshop Lightroomなどでも現像可能となっている。

テザー撮影などでパソコンと接続する際はFirewire 800ケーブルで接続する。
フラッシュシンクロやワインダーCW、ELカメラ接続端子、大判カメラで使用する際の電源アダプター用のポートなどがゴムカバーの後ろにある。

ボディに良く合うデザイン。液晶モニターが大型化

次に外観を見てみよう。外観は今までのCFVに比べ大きく進化している。

なだらかな流線型の形状はデザインもよくハッセルブラッドVシリーズによく似合う。今までのCFVでは取り付けができなかったPM90およびPME90のプリズムファインダーが装着可能になった点は大きい。これにより縦位置撮影にも対応可能になった。

120のフィルムバック(左)と比較してみるとほとんど大きさが変わらないことがわかるだろう。CFV-50cは本体のみで530gと見た目以上に軽量だ。
使用するボディを選択するメニューもあるので、使用するボディに合わせて設定しよう。
筆者の愛用しているブルーのHasselblad 503CWに装着した。ブルーボディだと軽く違和感があるのはご容赦いただきたい。

また、CFVの最大の魅力であるケーブルレスでの撮影も引き続き可能。サードパーティー製のデジタルバックではシンクロケーブルなどを装着して使用する必要があったが、CFVシリーズはケーブルレスで使用できるためデザインを損なわない上、エラーも少ない。

さらに、液晶モニターも3型TFTへと大型化され、従来モデルより視認性に優れる。

外装は金属製。高級感があり造りの良さを感じられる。CFスロットのカバーも金属でできており、Vシリーズに装着してみても違和感がない印象だ。

メディアはCFを採用している。CFスロットカバーも金属製で高級感がある。

バッテリーは、SONY NP-F互換バッテリーをデジタルバックの下に装着する。大容量タイプのバッテリーも装着できるが、バランスが悪くなるので、できるだけ薄型のバッテリーを使用した方がよいだろう。

バッテリーはSONY NP-F互換バッテリーを採用。家電量販店でも簡単に手に入るので安心。大きな物も使用できるがバランスが悪くなるので注意。

今回は予備バッテリーは持たず撮影に出掛けたが、半日撮影してもバッテリー切れになることはなかった。

一眼レフを使用しているユーザーにとっては1本のバッテリーで500枚から1,000枚というのは当たり前かもしれないが、デジタルバックはバッテリーの持ちが悪い物が多かった。しかし、CFV-50cになってバッテリー持ちは良くなった印象だ。とはいえ、1日中撮影するのであれば予備バッテリーが1〜2本はあった方が安心だろう。

シンプルな設定項目。使い勝手は上々

操作系に関しては、今までのCFVシリーズよりもH5Dシリーズの操作系に近い。カスタマイズ可能なPボタンをはじめ、シンプルな操作を可能にするナビゲーションボタン、画像の拡大や縮小を自由にできるズームイン/ズームアウトボタン、画像情報を切り替える表示モードボタンなどで構成されており、説明書を読まなくても直感的に操作可能だ。

メニューもシンプルで、初期設定以外、撮影時に設定するのはせいぜいISO感度やホワイトバランス、露出時間(1/8秒以下の場合)くらいとなっている。メニューは日本語に対応しており、わかりやすいだろう。

撮影の範囲は付属のフォーカシングスクリーンに交換することで把握できる。4:3と1:1のデュアルフォーマットでスプリットイメージのためピント合わせもしやすい。

付属のフォーカシングスクリーンは4:3と1:1のデュアルフォーマットを採用。マイクロプリズム/スプリットイメージを採用しており、ピント合わせもしやすい。

ただし5,000万画素ということで、フィルム感覚で撮影しているとピンぼけに悩まされる。ピント合わせのコツを掴むには少し時間が掛かるかもしれない。

とはいえ、シンプルな設定で撮影に集中できるといった点では、フィルム時代と大きく変わりないデジタルバックに仕上がっていると言えるだろう。

再生画面ではヒストグラムなどのデーターを見ることができる。

まとめ

センサーはCFV-50やCFV-39と比べ少し小さくなってしまったが、高感度性能が大幅にアップたことにより、機動力は飛躍的に良くなった印象だ。35mm判のレンズに比べ開放F値が暗いレンズの多いVシリーズだが、これを手持ちで歩留まりよく撮影できるようになったのはうれしい。

フォーカルプレーンの200シリーズ(要改造)、ファンの多いSWCシリーズなど、さまざまなVシリーズのカメラを使用できるので、ハッセルブラッドのカメラで写真を楽しみたいユーザーには最適のデジタルバックといえるだろう。

次回は実写画像を紹介しながら、CFV-50cの魅力をお伝えしたい。

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。
ブログ:http://www.koji-ueda.com/