【新製品レビュー】ニコンCOOLPIX P7000

〜操作する楽しさと高画質を実現したフラッグシップモデル
Reported by 北村智史

 COOLPIXシリーズのフラッグシップに位置付けられるモデル。28-200mm相当の光学7.1倍ズームニッコールレンズ、1/1.7型の有効1,010万画素CCD、実像式光学ファインダーなどを備える。また、コマンドダイヤルやロータリーマルチセレクターといった現代的な操作系に、アナログ感覚のメカニカルなダイヤルを組み合わせているのも特徴。

 大手量販店の店頭価格は5万9,800円。なお、レザーケースと外付け式の光学ビューファインダー(28mm相当の画角に対応)をセットにした「アンティークキット」が用意されている。こちらもオープンプライスで実売1万円程度だ。


1/1.7型CCDや新エンジンのEXPEED C2を搭載

 コンパクト機としてはかなり大きめ重めのボディは金属製で、パッと見の印象はキヤノンのPowerShot G12に近い。グリップは薄めながら滑り止めのゴムが貼られていて、ホールド感は悪くない。

 レンズは28-200mm相当F2.8-5.6。2枚のEDレンズを採用して高画質化をはかっている。どうせコンパクト機だもんね、などと油断していると、いい意味で裏切られるくらいの描写をする。レンズシフト式の手ブレ補正機構(VR)を内蔵。シャッター速度を3段遅くできるNDフィルターを備えている。

 実像式の光学ズームファインダーを搭載しているのも、最近のコンパクト機としてはめずらしい(生産終了した前モデルCOOLPIX P6000も搭載していた)。もちろん、撮影データなどの表示機能はないし、視野率も80%と低い。パララックスもあるうえに、タル型の歪曲収差もかなり目立つ。が、カメラを顔に密着させて構えられるので、望遠撮影時などにブレを抑えやすいメリットがある。

 撮像素子は1/1.7型の有効1,010万画素CCD。COOLPIX P6000よりも画素数を減らし、画素ピッチの余裕分を高画質化につなげていると考えていいだろう。画像処理エンジンは新型のEXPEED C2を搭載している。

 記録メディアは内蔵メモリの約79MBとSDXC/SDHC/SDメモリーカード。電源はデジタル一眼レフカメラのD3100と同じEN-EL14(容量は1,030mAh)。CIPA基準の撮影可能コマ数は350コマ。実写ではストロボをまったく使わなかったこともあって、420コマほど撮ってまだ余裕がある状態(電池残量表示は変化なし)だった。

 目玉機能のひとつである「トーンレベルインフォメーション」は、撮影後の画像表示(ポストビュー)をオンにしていると、シャッターボタンを押してから3秒弱待たされる。撮影後の画像表示を「ピント位置拡大表示」にしていると、待ち時間はさらに長くなって5.5秒ほどにもなる。しかも、「トーンレベルインフォメーション」は再生モードのひとつなので、戻ってくるのにまた2.5秒待たされるのだから、撮影の効率は著しく悪くなる。

 ちなみに、この「トーンレベルインフォメーション」は、再生時にも表示できるので、1コマあたり計8秒ほどの待ち時間を我慢してまで撮影時に利用する必要は感じられない。見たいときだけ再生モードで見るのが賢明だ。

 なお、「トーンレベルインフォメーション」は、9段階のトーンレベル(白から黒までの明るさの段階)のどれかひとつを選択すると、そのトーンに該当する明るさの部分を再生画像上に点滅表示してくれるというもの。画面のどの部分がどのくらいの明るさになっているのかをとてもわかりやすく表示してくれる。露出を考える際の目安にするには、単純なヒストグラムよりもずっといい。アイディアとしては素晴らしいと思う。

 使ってみて気になったのはレスポンスの悪さ。CIPA基準の起動時間は0.95秒で、高倍率ズーム機としては速い部類に入ると思う。撮影タイムラグ(シャッターボタンを一気押ししたときの数字)は0.23秒で、これも悪くはない数字である。

 が、カタログなどでうたっているこの2つの数字以外の部分がよろしくない。例えば、メニュー画面からシャッターボタンを半押しして撮影可能状態に復帰するのに2.5秒ほどもかかる。再生モードからの復帰も同じくらいだ。

 上面左手側にある「クイックメニューダイヤル」で呼び出す「クイックメニュー」も、ボタンを押してからメニュー画面が表示されるのに約1秒、シャッターボタン半押しで撮影可能状態に復帰するにも約1秒かかる。

 AFも決して速くはないし、十分に明るい状態であるにもかかわらず、ピントが合わないケースもしばしばあった。特にマクロ域では遅いうえに迷うことも多かった。

 正直なところ、筆者個人は使っていてかなりのストレスを感じたし、本機と付き合うにはそれなりに忍耐力が必要だと感じた。

光学7.1倍のVR内蔵ズームニッコールは28-200mm相当でF2.8-5.6のスペック。左下にいろいろな機能を割り付けられるFnボタンがある。
ズームの広角端(28mm相当)こちらは望遠端(200mm相当)
実像式の光学ファインダーを搭載。接眼部はラバーリングでカバーされている。オマケじゃないんだよ、と主張している感じ記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードと79MBの内蔵メモリー。電源はD3100と共通のEN-EL14。CIPA基準で350コマ撮れる
露出補正ダイヤルは右手親指で操作しやすい位置。そのうえにあるAv/Tvボタンもカスタマイズが可能だモードダイヤル。ロウソクと月のアイコンは「ローノイズナイト」モード。U1〜U3は用途に合わせて設定しておけるユーザーモード
右手側背面上部の操作部。モニターボタンは情報表示の切り替えや液晶モニターをオフ(光学ファインダー搭載なので)にするもの右手側背面下部の操作部。十字キーとホイールを兼ねたロータリーマルチセレクターの左はリモコン用の受光部(前面にもある)
露出補正ダイヤルを回したときの表示絞り値を変えたところ
こちらはマニュアル露出時にシャッター速度を変えたときの表示。左端に露出レベルのバーグラフが出る
内蔵ストロボは手動ポップアップ式。ニコンのロゴの下の丸い穴はマイク(レンズの反対側にもうひとつある。つまり、ステレオ)左手側にあるクイックメニューダイヤル。ヒストグラムとiのアイコンが「トーンレベルインフォメーション
「トーンレベルインフォメーション」の画面。ようは再生モードの一種なのだが、画面の一部の明るさがわかるのが便利なところ上下キーで画面右端のトーンレベルを選ぶと、その明るさの部分を点滅表示で教えてくれる仕組み。一眼レフにも欲しい機能と思う
撮影後の画像表示(ポストビュー)の設定画面。「ピント位置拡大表示」はピントが合った部分を拡大してくれるモード「ピント位置拡大表示」で撮るとこんな感じ。ちゃんとピントが合ってるかどうか、ブレてないかどうかをおおまかにだがつかめる

凝った操作性。RAW記録も可能

 反面、相応に気の長い人にとっては、本機は操作する楽しさを味わえるカメラだといえる。「クイックメニュー」などは、他社のカメラであれば、ボタンひとつで呼び出して、十字キーで項目を選択という操作系で実現していたりするが、本機ではわざわざ「クイックメニューダイヤル」とその中央の「クイックメニューボタン」を使う。

 例えば、ダイヤルを「ISO」に合わせてボタンを押すと、画面に感度設定の画面が表示されるといった具合。メカものが大好きな人にとっては、いじっているだけでにやにやしてしまうカメラだと思う。

 自由にオン/オフが選べるNDフィルターもそうだ。コンパクト機でNDフィルターを内蔵しているものは少なくないが、多くは絞りの代わりに光量を調節するために利用されている。本機でも、基本的には露出オーバー対策で、シャッター最高速で最小絞り(1/2,000秒、F8)でも露出オーバーになってしまうシーンで自動的にオンになる。

 が、P(プログラムオート)、A(絞り優先オート)、S(シャッター優先オート)、M(マニュアル露出)と「ローノイズナイトモード」では、NDフィルターを利用するかを自分で選ぶことができる。最小絞りのF8でNDフィルターをオンにすると、F22に絞ったのと同じ光量になる。日陰などであれば、それなりに低速シャッターになってくれるので、水の流れなどを撮るときに役立ってくれる。まあ、なくて困るようなものでもないが、あれば撮影の幅が広げられる。こういう仕掛けもメカ好きには魅力だ。

クイックメニューの「画質」の画面。この状態で下キーを押すと、記録画素数の設定(RAW以外)が可能だこちらはブラケットの設定画面。この状態でクイックメニューダイヤルを回すことでほかのクイックメニュー項目の設定に移行できる
クイックメニューの「マイメニュー」で表示させる項目をカスタマイズできる。登録できるのは6項目まで「マイメニュー」の表示がこちら。コマンドダイヤルで項目を選んで「OK」ボタンでその項目のメニュー画面にジャンプできる
AFエリアを「マニュアル」にしたときの表示。カギ括弧の範囲内で測距点を移動させることができるただし、「マニュアル」でマクロ撮影時には、ピントが迷うことが多く、こんな画面に遭遇することが頻繁にあった
内蔵のNDフィルターの設定。オンにすると3段分の減光が可能だ。「AUTO」にしておくと、高輝度時に自動的にオンになる

「ズームメモリー」機能も凝っていて面白い。Fn(ファンクション)ボタンを押しながらズーム操作をしたときにステップズームになるのだが、そのときに止まるポイントを選べるようになっている。停止するのは、35mmフィルムカメラ換算で28mm、35mm、50mm、85mm、105mm、135mm、200mmの7ステップで、撮影メニューの「ズームメモリー」でチェックを入れたところにだけ停止する。

 例えば、135mmだけチェックを外すと、ズームアップしていくときに105mmの次の135mmをスキップして200mmまで一気にズームできる。その逆もある。35mmと85mmが好きな人なら、この2つにだけチェックを入れておけば、Fnボタン+ズーム操作では35mmと85mmだけに止まるようになる。つまり、素早くかつ正確に好みの画角をセットできる。お気に入りの画角にこだわりのある人にはとても便利な機能なのだ。

 Fnボタンにいろいろな機能を割り付けられる「Fnボタン設定」もある。セットアップメニューの「Fnボタン設定」で「ISO感度設定」、「ホワイトバランス」、「Picture Control」、「アクティブ D-ライティング」などから選べるようになっているが、たぶんいちばん役に立つのは「NRW(RAW)/NORMAL」だろう。

 同社のデジタル一眼レフカメラではFnボタン+コマンドダイヤル操作も可能だが、本機ではFnボタンを押しながらシャッターを切る操作(と前述のFn+ズーム操作)しかない。そのため、「Fnボタン設定」を「ISO感度設定」にしておいても、一時的に感度オートに切り替わるだけ。「アクティブD-ライティング」は「標準」に、「ホワイトバランス」もオートホワイトバランスになるだけなので、あまり便利には思えない。「測光方式」は一時的にスポット測光に切り替わるので、シーンによっては役に立つかもしれない。

「NRW(RAW)/NORMAL」は、RAWまたはJPEG単独での撮影時に、Fn+シャッターボタンで一時的に記録形式を入れ替えられるもの。普段はJPEGにしておいて、いざというときだけRAWで撮るという使い方ができる。何しろ、RAWはファイルサイズが大きいので、常用するには気が重い。シャッターボタンを押してからアクセスランプが消えるまでに、RAWのみで約5秒、RAW+JPEG(10MP、FINE画質)だと約8秒かかる。このあいだはモードダイヤルや露出補正ダイヤル以外の操作はできなくなる。なので、必要なときだけぱっとRAWに切り替えられるのはありがたい。

「ズームメモリー」設定画面。チェックを外した画角は、Fn+ズーム操作時にはスキップされるFn+ズーム操作によるステップズーム時の画面。上部のズーム表示の右側に焦点距離が表示される。Fnボタンを押さなければ普通にズームできる
こんなふうに、よく使う画角にだけチェックを入れておくと、好みの画角に素早くセットできて便利「Fnボタン設定」の画面。筆者個人としては「NRW(RAW)/NORMAL」がいちばん便利なんじゃないかと思う
「Av/Tvボタン設定」の画面。水準器は便利だけど、出っぱなしは鬱陶しいし、と思っていたら、ワンタッチでオン/オフできる設定があったセットアップメニューの「モニター設定」の中の「モニター表示設定」。画面に表示する項目をここで選択できるようになっている
こちらはMF時の画面。中央部だけだが部分拡大表示があるのでそこそこ使い物になる。距離目盛がおおざっぱすぎるのは物足りないけどMF時にも一時的にAFを作動させることができる。露出だけ変えて何コマか切りたいときに、ピントのバラツキを防げるのが便利なところ

コンパクトデジカメとしては驚異的な高画質

 とにかくレスポンスの遅さに耐えられるかどうか。それに尽きるのではないかと思う。筆者個人ならデジタル一眼レフカメラを選ぶ。かさばるうえに重いとはいえ、本機より確実に快適に撮れるからだ。

 が、気長に待ってあげられる人にとっては、本機はとても素敵なパートナーになってくれるだろう。コンパクト機でこの画質は、掛け値なしにすごい。

 広角端の四隅は少しばかり画質が落ちるし、後ボケがちょっときれいじゃないのも目に付くが、それ以外は素晴らしい。しょぼいレンズを付けた一眼レフより、本機のほうがいいのではないかと思えるくらいのシャープさなのだ。高倍率ズームでもコンパクトサイズで(普通のコンパクト機に比べれば、十分大きく重いけど)、デジタル一眼レフカメラに負けない高画質が欲しいとお考えの方には完璧な選択肢だといえる。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・画像補正なしの撮影画像をダウンロード後、別ウィンドウで800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角

 搭載レンズは6-42.6mm F2.8-5.6の光学7.1倍ズームで、35mm判に換算すると28-200mm相当。EDレンズを2枚採用した9群11枚のレンズ構成だ。広角端の四隅に若干アマさがあるものの、全体的には非常に解像感の高い描写といえる。ピクセル等倍でも輪郭強調処理による不自然なエッジが見られないのは気持ちがいい。

広角端(28mm相当)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/849秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / プログラムAE / WB:晴天
望遠端(200mm相当)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/766秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / プログラムAE / WB:晴天

・ゆがみ補正

 高倍率ズームだけに、特に広角端のタル型の歪曲収差は大きめ。一方、望遠端はわずかなイトマキ型となっている。撮影メニューの「ゆがみ補正」をオンにすると、リアルタイムで歪曲収差補正が行なわれる(スルー画も補正される)。

歪曲収差を補正する「ゆがみ補正」の設定画面。初期設定はオフだが、オンにしても遅くなる感じはないので、常時オンでよさそう

 オンにしても、画質的には大きな差は見られないし、書き込み時間が長くなるような感じもないので常時オンでもいいだろう。

広角端(ゆがみ補正:オフ)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1344秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天
広角端(ゆがみ補正:オン)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1020秒 / F4 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天
望遠端(ゆがみ補正:オフ)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/340秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天
望遠端
ゆがみ補正:オン)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/72秒 / F8 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:晴天

・NDフィルター

 内蔵のNDフィルターは光量を3段分落とすことができる。日陰などの薄暗い条件では、プログラムオートだと絞り開放になってしまう。絞り優先オートなどを使えばF8まで絞ることができるが、さらにシャッター速度を遅くしたいときにNDフィルターはとても有用だ。

NDフィルター:オフ / プログラムAE(F5.6)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/77秒 / -1.0EV / ISO100 / WB:オート / 42.6mm(200mm相当)
NDフィルター:オフ / 絞り優先AE(F8)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/41秒 / -1.0EV / ISO100 / WB:オート / 42.6mm(200mm相当)
NDフィルター:オン / 絞り優先AE(F8)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/5秒 / -1.0EV / ISO100 / WB:オート / 42.6mm(200mm相当)

・感度

 感度の設定範囲はISO100からISO3200の1段増感となるHi 1(ISO6400相当)までと、ちょっと前のデジタル一眼レフカメラと同等のスペック。

マニュアルでの設定範囲は、ISO100からHi 1(ISO6400相当)。
感度オート時の上限感度は、初期設定のオートではISO800まで、高感度オートはISO1600まで感度オート時は、感度アップをはじめるシャッター速度の下限を自分で決められる

 ピクセル等倍で見て高画質といえるのはISO400までで、ISO800がまあなんとか許容範囲。ISO1600とISO3200はできればあまり使いたくないが、解像感や彩度もそこそこ保たれているので、状況次第では使ってもいいかもしれない。

ISO100
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/12秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
ISO200
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/25秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
ISO400
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/53秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
ISO800
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/108秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
ISO1600
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/178秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
ISO3200
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/346秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)
Hi 1(ISO6400相当)
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/748秒 / F5.6 / -1.0EV / 絞り優先AE / WB:晴天 / 6mm(28mm相当)

・COOLPIXピクチャーコントロール

 ニコン製デジタル一眼レフカメラのピクチャーコントロールと同様、「スタンダード」、「ニュートラル」、「ビビッド」、「モノクローム」があるが(最近は「風景」や「ポートレート」も搭載されている)、わざわざ「COOLPIXピクチャーコントロール」と書かれているとおり、デジタル一眼レフカメラの「ピクチャーコントロール」とは互換性はないらしい。そのため、RAW画像を撮影時と違うピクチャーコントロールで現像できるのはカメラ内現像時のみとなっている。

 各ピクチャーコントロールは微調整が可能。自分でセットアップしたカスタム1とカスタム2を登録することもできる。

ピクチャーコントロール:スタンダード
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1,100秒 / F4 / -1.0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
ピクチャーコントロール:ニュートラル
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1,116秒 / F4 / -1.0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
ピクチャーコントロール:ビビッド
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1,238秒 / F4 / -1.0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
ピクチャーコントロール:モノクローム
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F4 / -1.0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 6mm(28mm相当)

・アクティブD-ライティング

 アクティブD-ライティングは、「オフ」、「弱め」、「標準」、「強め」から選べる。最近の一眼レフに搭載されている「オート」、または「より強め」はない。また、撮影済みの画像に対して階調を調整する「D-ライティング」も備えている。

アクティブD-ライティング:オフ
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/13秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 22.5mm(105mm相当)
アクティブD-ライティング:弱め
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/17秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 22.5mm(105mm相当)
アクティブD-ライティング:標準
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/24秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 22.5mm(105mm相当)
アクティブD-ライティング:強め
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/23秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 22.5mm(105mm相当)

・動画

 1,280×720ピクセルのいわゆるHD記録で、フレームレートは30fps。画質は少々ソフトな印象だが、解像感としてはまずまずのレベル。動画撮影中にも光学ズームは可能だが、ズーミング後に明るさの調整を行なうのか、画面の明るさが変動するのが気になった。なお、セットアップメニューの「ズーム速度設定」を「オート」または「静音」にしておくことで作動音を低減できる。

動画の画質設定の画面。1,280×720ピクセルでフレームレートは24fps動画時の撮影メニューは2項目だけ。AFモードはシングルAFと常時AFが選べる。ウィンドカット機能も備えている
外部マイク端子まで装備しているのがすごい。フルHDでないのが残念オートだと、静止画はスピード重視の標準ズーム、動画はゆっくり目の静音ズームに切り替わる。至れり尽くせりという感じである
動画モード時の画面。シャッターボタンで開始/停止なので、動画中の静止画撮影はできない

 内蔵マイクはステレオ仕様で、これはちょっとうれしい点。ただ、なぜか左チャンネルが弱めのバランスになっていて、もしかすると試用した個体だけの問題かもしれないが、これもちょっと気になったところだ。

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
【動画】1,280×720 / 30fps / 0EV / ISOオート / WB:オート
【動画】1,280×720 / 30fps / 0EV / ISOオート / WB:オート

・その他の作例
マクロの作例をと思って近づいたら挑戦してきたカマキリ。お腹が空いてるのかもしれないけど、カメラは食べられません
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/9秒 / F5 / 0.7EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
手ブレ補正の効果はシャッター速度で3段以上ありそうな感じ。光学ファインダーを使えばもう4段くらいは粘れそうに思う
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/35秒 / F5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 28.9mm(135mm相当)
「ローノイズナイトモード」は画像サイズが300万画素以下になるが、高感度でもまあまあの画質。それにしても超半端な感度
2,048×1,536 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO2748 / プログラムAE / WB:オート / 42.6mm(200mm相当)
四隅は少し乱れるものの、ピントが合った部分の解像感はすごい。レンズと撮像素子とエンジンのマッチングがいいのだろう
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/700秒 / F2.8 / -1.7EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
ピクチャーコントロールは基本的にスタンダードで撮っているが、グリーンの発色は肉眼で見た印象よりきれい
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/272秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 25.4mm(119mm相当)
MFで広角端の最短撮影距離にセットして、カメラを前後させてピントを合わせて撮ったカット
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F2.8 / 0.7EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
池からの排水路。水が多いときは川になるのだろう。底の細い溝にだけわずかに水が流れていた
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F5 / -0.7EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 32.6mm(153mm相当)
マクロまたはMF時は、広角端でレンズ前2cmまで、焦点距離8.8mmで5.5cmまで、望遠端で37cmくらいまで寄れる
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/104秒 / F3.2 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 8.8mm(41mm相当)
ピクセル等倍だとツタの葉っぱの表面の産毛まで見えてしまう。コンパクト機でここまで写るの、反則じゃないのかって思う
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/43秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 42.6mm(200mm相当)
パッと見のシャープ感を重視したコンパクト機にありがちな調整ではなく、エッジの優しいディテールのきれいなシャープさだ
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/220秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 25.4mm(119mm相当)
このくらい思い切ってマイナス補正すると、濁ったような彩度の低い画になることが多いが、本機はクリアなシャドーが出てくれる
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/27秒 / F2.8 / -2.0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 6mm(28mm相当)
解像力重視の設計が影響しているのかもしれないが、ボケの輪郭がちょっと硬い感じ。それにしてもピントが合った部分のシャープなこと
COOLPIX P7000 / 3,648×2,736 / 1/5秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / プログラムAE / WB:晴天 / 42.6mm(200mm相当)




北村智史
北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら

2010/10/21 00:00