【新製品レビュー】ニコン「COOLPIX P100」
COOLPIX P100 |
今回は、ニコンの高倍率モデル「COOLPIX P100」を採り上げる。実勢価格は4万600円前後だ。
COOLPIX P100は、同社が2009年3月に発売した「COOLPIX P90」の後継モデル。撮像素子を1/2.33型有効1,280万画素CCDから、1/2.3型有効1,030万画素裏面照射型CMOSセンサーに変更したのが今回の大きなトピックとなっている。高感度に強いとされる裏面照射型CMOSセンサーの実力を見ていきたい。画素数は250万画素ほど少なくなっているが、一般的な用途には十分だし、むしろ画素ピッチの拡大となり、ノイズ低減に寄与しているはずなので歓迎できよう。
レンズは従来機同様に広角26mm(35mm判換算の焦点距離)相当からだが、ズーム比が24倍から26倍になった。望遠端は624mm相当と超望遠レンズの領域だ。前モデルでは640×480ピクセルだったものが一挙にフルHD記録になったほか、ハイスピード撮影にも対応するなど動画機能も大幅に強化している。
■ISO800までは常用できそう
外観は、これまでのシリーズを踏襲した一眼レフカメラライクなデザインだ。高倍率ズーム機の場合ホールディングが問題になるが、本機はラバーのグリップでしっかり握ることができる。背面にもラバーがあるので親指が滑らないのもいい。液晶モニターは上下に動くバリアングル式を引き続き採用している。これは、三脚に付けた際にも楽な姿勢で液晶モニターを見ることができるので便利だが、縦位置に対応したフリーアングルだとなおよかった。
背面の親指部分にコントロールダイヤルを備える | グリップはラバーが巻かれており、ホールディングはよい |
液晶モニターは、3型と大きく約46万ドットと解像度の面でも健闘している。やはり23万ドットクラスに比べると46万ドットの綺麗さはありがたい。本機にはEVFも付いているので、日中に液晶モニターが見づらいときでも安心だ。ただ、EVFは0.24型の約23万ドットで、こちらももう少し解像度があるとさらに良くなると感じた。
液晶モニターは約46万ドットの3型 | 上下可動式になっている |
画質は全体的にコントラストが高くパキッとしたニコンらしいものだ。ベース感度が160と高めなので、高倍率であることを考えると使いやすいと思う。歪曲収差は、望遠端ではほとんど目立たないが広角端では樽型の歪みが出る。だが、これは歪曲補正機能をONにすればほぼ目立たなくなる。歪曲補正機能を使用しても、画角の変化は僅かなようだ。
広角端時 | 望遠端時 |
さて、高感度画質だがISO800程度までなら十分実用になるだろう。被写体が同じではないので厳密な比較はできないが、前モデルと見比べると1段か1段強程度はノイズが少ない印象だ。この機種に限らないが裏面照射型CMOSセンサー搭載機といえどもISO1600にもなるとそれなりにカラーノイズが増え、のっぺりとした絵にはなってくる。
フルHD(1,920×1,080ピクセル、30fps)画質の綺麗さは改めて述べるまでもないが、PCのディスプレイで見るにしてもフルHDの画質のよさは実感できるはずだ。なお記録フォーマットはH.264(MOV)形式となっている。
動画撮影用のスタートボタンを装備。周囲のレバーをHSにするとハイスピード撮影モードになる | ボディの最上部にはステレオマイクを装備 |
本機は、通常の動画以外にもハイスピード撮影が可能だ。既にカシオなどが先行している機能ではあるが、実際に撮って見るとやはり面白い。ハイスピード撮影は、基準の30fpsよりも多いフレームレートで撮影し、それを30fpsに戻すことでスロー映像を得る手法だ。240fps、120fps、60fpsから選択可能で、1/8~1/2のスロー映像を作成できる。動きの速い被写体を撮ると面白い。また、ハイスピードとは逆に少ないフレームレートで撮影して早送り風の映像を得る機能も搭載している。これは15fpsで撮影する機能で再生時には2倍の早送りになる。このように一般的なデジタルカメラとは違った動画を楽しめるのもよい。
通常の動画の設定。フルHDに対応する | HS動画(ハイスピード動画)の設定 |
アクティブD-ライティングも引き続き搭載 | 写真を合成してダイナミックレンジを広げる逆光HDR機能も利用できる |
■まとめ
COOLPIX P100が位置する高倍率機ゾーンは各社が参入しており、競争は激しい。富士フイルムの「FinePix HS10」やオリンパスの「SP-800UZ」といった30倍ズームを搭載したモデルも登場している。実勢価格で言えば、30倍ズーム機は数千円高い程度とCOOLPIX P100と大きく違うわけではない。そのため、ズーム比(特に望遠端)を必要とするなら30倍ズーム機を選択するのもありだ。
だが、先にも書いたとおりCOOLPIX P100でも望遠端は600mm相当オーバーで不足はないと言えそうだ。その分、裏面照射型CMOSセンサーやハイスピード動画撮影機能を搭載している点がライバルに対する優位点になるだろう。本機も含めていずれの機種も手ブレ補正機能は搭載しているが、望遠側では少しでも早いシャッター速度にしたい所だ。そうなると、高ISO感度でのノイズの少なさが効いてくるのではないだろうか。
内蔵ストロボをポップアップしたところ | HDMI端子も装備 |
記録メディアおよびバッテリー室 | 付属の充電器とバッテリー |
キャップは被せ式 |
■実写サンプル
※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
●画角
・広角端
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / 0EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:オート / 4.6mm
F4 | F5.6 | F8 |
・望遠端
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / -0.7EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:オート / 120mm
F5 | F5.6 | F8 |
●歪曲収差
・広角端
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / 1/130秒 / F4 / 0EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 4.6mm
ゆがみ補正OFF | ゆがみ補正ON |
・望遠端
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / 1/106秒 / F5 / 0EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 120mm
ゆがみ補正OFF | ゆがみ補正ON |
●ISO感度
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / -0.3EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 11.8mm
ISO160 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
●マクロモード
広角端 COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / 1/637秒 / F8 / -0.7EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 4.6mm | 望遠側 COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / 1/337秒 / F6.3 / 0EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 18.8mm |
●アクティブD-ライティング
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / F5.6 / 0EV / ISO160 / プログラムAE / WB:オート / 8.2mm
OFF | 弱め |
標準 | 強め |
●逆光HDR
※共通設定:COOLPIX P100 / 3,648×2,736 / F6.3 / 0EV / ISO160 / 逆光HDR / WB:オート / 37mm
通常 | 逆光HDR | アクティブD-ライティング |
●パノラマ(Panorama Makerで合成)
COOLPIX P100 / 7,643×2,289 |
●動画
※サムネイルをクリックすると、動画のダウンロードを開始します
・フルHD
1,920×1,080、30fps |
●HS動画
※サムネイルをクリックすると、動画のダウンロードを開始します
・15fps
1,920×1,080、30fps |
・60fps
1,280×720、30fps |
・120fps
640×480、30fps |
・240fps
320×240、30fps |
2010/6/8 00:00