ミニレポート

SIGMA 60mm F2.8 DNが安いのにすごくよく写る

(ソニーα6000)

 お手ごろ価格でよく写ると評判のSIGMA 60mm F2.8 DNを手に入れた。希望小売価格が税別2万4,000円。大手量販店の実売価格は税込で2万円をちょっと切る。お小遣いプライスである。ちなみに、カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色がある。

今回は、SIGMA 60mm F2.8 DNを手に入れたので、その紹介。

 ソニーには、E 50mm F1.8 OSSという、これも評判のいい中望遠レンズがあるが、一時期は税込2万5,000円ぐらいまで下がっていたのが、最近は税込3万円近くに値上がりしている。それと個人的に、75mm相当よりも90mm相当のほうが使いやすそうな気がしたこともあって、60mm F2.8 DNにした次第である。

Eマウント機のマウント標点(レンズ取りつけマーク)がマウント側にあるのはいいのだけれど、あまり見やすくない。ので、側面に白いテープを貼り付けてみた
レンズ側も同様。見栄え的にはあまりよろしくはないのだけれど、暗い場所でのレンズ交換の際の見やすさは上々である

 同じシリーズのSIGMA 19mm F2.8 DNやSIGMA 30mm F2.8 DNもそうだが、電源がオフの状態でゆすると、カタカタと音がする。まるで中で何かが外れていて、それが動いて音を立てているかのような音がするのである。どこかが壊れているんじゃないかと心配する人もいるらしいが、実はこれで正常である。使用説明書にもちゃんと書かれている。

 どうして音がするのかというと、AF用の駆動源としてリニアモーターを採用しているからだ。リニアモーターは磁力で物体を引っ張ったり押したりして駆動する仕組みで、電源が入っている状態では、フォーカス群(ピント合わせで動く部分)は、所定の位置で保持されるようになっている。が、電源オフの状態でフォーカス群を固定しておくような仕掛けがないため、フォーカス群がフリーになってしまう。それが、レンズが揺すぶられたときに動いて音を立てるのである。

 したがって、電源オンの状態で、軽く揺すぶってみて音がしなくなるようなら問題はないと考えていい。固定されているべきレンズなどが外れていたりするのであれば、電源がオンでも音がするはずなので区別できるはずだ。

 能書きは置くとして、使ってみての印象も書いておく。まず、AFはあまり速くない。と思う。純正レンズを持っていないのと、比較対象があのカールツァイスTouit 12mm F2.8なものだから、説得力がないのもあるが、感動するような速さでないのはたしかである。

 動かない被写体ばかり撮るのであれば、まず困ることはないとはいえ、α6000の売りである撮像面位相差AFが使えるのは画面中央だけというのは食い足りない。これはもうシグマさんに頑張っていただいて、ファストハイブリッドAF対応のファームウェアをよろしくお願いするしかない。

最短撮影距離が0.5mなのはまずまずだが、もう少し寄りたいなぁ、と感じるシーンもあったので、手もとにあったクローズアップレンズ(ケンコーのAC No.2とマルミの46→52リング)も使ってみた

 画質については、もうご存知の方も多いだろうが、文句なしにいい。開放をF2.8に抑えたこともあって、絞り開放から、画面の四隅まで、これでもかっ、というぐらいにキレる。細かく見ると、絞り開放よりはF5.6あたりまで絞ったほうがいいと思うが、実用上は、絞り開放からF11あたりまでなら、どの絞り値を選んでもばっちりシャープに仕上がってくれる。

 絞り値による描写の変化を楽しみたい人には少々つまらないかもしれないが、素直であつかいやすい特性で万人向けだと思う。しかも、遠距離はいいが近距離はアマい、みたいなクセもない。すごく使い勝手のいいレンズなのだ。

 それと、Touit 12mm F2.8との組み合わせで発生した露出のムラ(電子先幕シャッターがオンで、シャッター速度が1/1,000秒より速いときに起きることがある)は起きないようだ。まあ、どんな条件でも絶対にでないという保証はできないが、とりあえずは大丈夫そうな感じである。

 手ブレ補正機能がないのはもうひとつなところだが(MF時にピント拡大機能を使ったときに、画面がぷるぷるしてピントが見づらいのだ)、このお値段でこの写りなら文句はない。買って損はしない1本だと思う。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
レンズ単体での最短撮影距離付近。ピントが合っている部分はぱりっとシャープで、ボケはクセのない柔らかさ。60mm F2.8 DN / 1/1600秒 / F4 / ISO100 / 絞り優先AE / 60mm
これも最短撮影距離付近。雄しべのボケがとても自然で、うるさい感じがまったくないのがいい。60mm F2.8 DN / 1/1250秒 / F3.5 / ISO200 / 絞り優先AE / 60mm
これは少し遠めから。シャープな描写は「Art」シリーズならでは。60mm F2.8 DN / 1/200秒 / F5 / ISO200 / 絞り優先AE / 60mm
空の青さを強調したくてわざとアンダーめの露出。電子先幕シャッターを使用しても露出ムラは起きないようで、この点は一安心である。60mm F2.8 DN / 1/1600秒 / F8 / ISO100 / 絞り優先AE / 60mm
木と金属の質感や塗料の盛り上がった様子がすごい。2万円弱で買えるレンズの性能とは思えない。60mm F2.8 DN / 1/320秒 / F5.6 / ISO100 / 絞り優先AE / 60mm
クローズアップレンズAC No.2を使ってめいっぱい寄って撮ったカット。最大撮影倍率は、だいたい0.27倍ぐらいになる。60mm F2.8 DN / 1/125秒 / F4 / ISO250 / 絞り優先AE / 60mm
これもクローズアップレンズ使用。絞り開放では少しアマさを感じるが、画質はそこそこ実用的。フルサイズ換算だと0.4倍ぐらいになるので、けっこう楽しめる。60mm F2.8 DN / 1/200秒 / F2.8 / ISO100 / 絞り優先AE / 60mm
何気なく撮ったら絞り開放で、それをパソコンの画面で見て唖然とするシャープさなのだ。60mm F2.8 DN / 1/800秒 / F2.8 / ISO200 / 絞り優先AE / 60mm

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら